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かくして秋雨は降る  作者: 霜月風炉
間章

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134/142

第134話

 アフリカ大陸モーリタニアとマリの国境付近に収獲者を内包した隕石が墜落したのはつい昨日のこと。

 碌な対応が出来ず、穿たれた穴から現れる収獲者によってモーリタニア、マリを起点に周辺国へ多大な被害が齎されていた。

 連日降り注ぐ隕石を着弾する前——宇宙で隕石を撃墜する作戦がNATOより起案された。

 しかし、いざ調べてみれば隕石は宇宙から飛来したのではないことが発覚。大気圏に発生した原因不明な空間の歪みから突如現れ、そのまま墜落するいう超常現象が発生していたのだった。

 歪みの前兆は観測不可能。人類は出たとこ勝負を強いられることになった。

 世界の情勢は目まぐるしく、海外の渡航は厳しく制限された。

 更に異能力者組織を抱える日本、アメリカ、イギリス、フランスは、世界各国より支援を要請されるのだが、アメリカは拒否、イギリス、フランスはEU圏の国家への支援を表明。日本は政府が五行神家の手綱を握れていない故に、対応に苦心している状況であった。


「——それは政府直々に我々を脅していると捉えても良いのか?」


 政府との交渉を言って担うことになった紅蓮は、交渉に訪れた担当者へそのような言葉を投げかけていた。

 「日本のために協力を要請する。断るのなら我々にも考えがある」と半ば脅しともとれる発言を政府担当者は行っていた。

 金や名誉では動かない五行神家に痺れを切らした結果ではあるのだが、相手があまりにも悪い。


「是非ともその考えというものをお聞かせいただこうか?」

「その気になれば我々は法を用いることで、その立場を崩すこともできるのですよ?」

「なるほど? 是非とも実行すると良い。俺、神火守家は勿論、その他の家に仕える術者であれば、難なく乗り越えると思っているがね? 立場なんざ、元々、五行神家自体が知られていなかった存在だ。そんなものに必要性を感じたこともないな」


 汚物を見るような眼差しを紅蓮は目の前の担当者へ向ける。

 

「そもそもだ。我々としても穏便に済ませていることがわからないのか?」


 紅蓮は溜息交じりに言う。

 本来、政府との交渉を担うのは玲香であった。しかし、どうせ碌なことにならないことが目に見えて分かっていたので、紅蓮が代理で対応しているに過ぎない。

 玲香がこの場にいたのなら、間違いなくすっぱり切れ味よく「嫌ね」で終わっていたはずだ。

 故に紅蓮としてはとても穏便に済ませているつもりなのだが……どうやら政府には伝わっていないようである。


「日本の、ましてや世界の危機になんて協調性のない!」

「いや、アナタたちに言われる筋合いは微塵もないのだがね……」

「後悔しますよ?」

「…………はぁ」


 紅蓮は深い溜息を吐いた。

 それがひとつの区切りであった。

 場に強烈な熱が発生する。


「——国のお偉いさんか何かは知らないが、こうも高圧的だと俺もムカつくんだわ」


 紅蓮は立ち上がり、担当者を睨みつける。


「政治家? 官僚? アンタが何処のどいつかは知らないが、どうやら俺たち五行神家を随分と舐め腐っているみたいだな?」


 サーっと担当者の顔から血の気が引く。今、目の前に立つ紅蓮から放たれる圧が相まって、化物と相対しているような感覚に陥る。


「再三言うが、俺たちに国の意向は知ったことでじゃない。勿論、収獲者という脅威には立ち向かう所存だ。だが————」


 ギロリと更に視線を鋭くし、紅蓮は担当者を射抜く。


「——政治家と官僚(お前たち)の椅子取りゲームに関与する気は毛頭ない」


 紅蓮はそう吐き捨てた。

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