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かくして秋雨は降る  作者: 霜月風炉
間章

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132/140

第132話

 放った伝術式・転換――世界樹の墜落ユグドラシル・インパクトが相殺される。

 その光景を見た玲香は口角を上げ、その要因となった三体の甲虫へと視線を向ける。


「長距離攻撃を主としている収獲者ねぇ? 面白くなってきたじゃない」


 その声には歓喜の色が混じり、危機と対面しているような雰囲気は一切ない。

 玲香はパチンと指を鳴らす。

 同時に一体の甲虫を貫くように樹木が突き上がる。


 木之業・陽型——木枝槍(もくしそう)


 甲虫を一体貫き、沈黙させる。

 玲香はそのまま残りの二体を潰すために、上空から一気に収獲者のど真ん中へと墜落するように突っ込んでいく。

 ダン——という衝撃と共に、蜘蛛を吹き飛ばしながら、甲虫の一体を圧殺する。

 続けざまに玲香は指を鳴らし、鞭のような樹木で残りの一体を縛り上げる。


 木之業・陽型――うねり木蛇(もくじゃ)


 バキン——という金属が折れたような音と共に、縛り上げていた甲虫の外皮を砕き、活動停止に追い込んだ。

 そんな状況下で蟷螂が玲香へと突っ込んで来る。

 大きなか鎌が振り上げられるが、玲香はジッと迫る蟷螂へ視線を向けたまま告げる。


「天照」


 灼熱と眩い輝きが爆発する。

 0.01秒という一瞬で蟷螂の他に、周囲の蜘蛛諸共を一瞬で蒸発させ切った。

 玲香が戦闘に参戦して僅か数分で、あたりの収獲者を殲滅しきってしまった。


「————さて……」


 ほう、と息を吐いた後、玲香は隕石によって穿たれた穴へと向かってゆったりと歩いて行く。

 そんな彼女の元へ律が小走りへ駆け寄って来る。


「玲香さん!」

「あら、律。強くなったとは言っても、まだまだみたいね?」

「いや……アナタが強過ぎるだけなのでは?」


 律は引き攣った笑みを浮かべながら答える。


「ま、それは良いのだけど。穴の中を見るわよ」

「……穴ですか?」

「気づかなかった? 隕石に乗って来たという割には収獲者が多過ぎだったでしょう? 上空から見た感じ、穴の中の次元が歪んでいるみたいなのよね」


 玲香はそう言いながらどんどん穴へと向かって歩いて行く。

 律はその背中を追い掛けながら、口を開く。


「言われてみれば確かにそうですね」

「だからさっさと穴を塞いでしまおうって話よ」


 穴の側に着いた玲香はその中を覗き込む。


「——へえ?」


 律もその穴の中を覗き込む。


「……何ですか、コレ?」


 二人が見た穴の中には黒いものが渦を巻いている光景だった。


「次元の歪み。恐らく地球と何処かに繋がっているワームホールみたいなものでしょうね。収獲者の流入が止まっている内に塞いでしまいましょうか」


 玲香がパチンと指を鳴らす。

 木の槍が穴の外壁を砕き、そのガラガラと音を立て、瞬く間に土砂によって黒い渦は埋まって見えなくなってしまった。


「……一先ずはこれで大丈夫でしょう。ついでに囲っておきましょう」


 そう言って、玲香はその穴を囲うように樹木を生やす。


「……はぁ、終わった」


 律は安堵の声を溢しながら、ドサッとその場に座り込む。

 玲香はそれを見て「まだまだね」と言葉を掛けた。


「一旦は日本の危機は去ったけど、他の国はどうなるかしらね? 更に言ってしまえば、これで終わりとは思えない」


 玲香はそう言って空を見上げるのだった。

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