第131話
頭上に突如として現れた大樹に、蜘蛛も蟷螂もそれを認識した。
強大なエネルギーを内包した核弾頭以上の破壊力を有する殲滅兵器——それが蜘蛛と蟷螂の収獲者の分析であり、認識であった。
蟷螂はキチキチキチという音を立て、門の向こう側にいる存在へ報告を上げる。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■」
「■■■■■■。■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■」
それは人間には絶対に理解できない言語。
ただ、それは収獲者には意味を成したもの。
カーン…………という音が鳴り響く。
その音が止んだ時、穴の中から巨大な砲塔を模した甲虫が三体這い出してきた。
甲虫はその砲塔を落ちて来る大樹へと狙いを定める。
「■■■■■■■■■■■■」
三体の甲虫はその大樹を目視しただけで比較した。
そして、その大樹を甲虫は一回超越する。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■■■■■■■」
三体の甲虫、それぞれの砲塔に光が収束していく。
落ちて来る大樹。
その内包したエネルギーが少しづつ漏れ出し、周囲に荒々しい風が吹き荒ぶ。
直撃すれば、この場に存在している収獲者は跡形もなく蒸発し、消え去るだろう。
だが、それは収獲者には許されない。
すべては創造主へ果実を送り届けるため。
「■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■」
三体の甲虫は二回目の超越を行った。
しかし、まだ足りないと認識した。
故に、三回目の超越を行った。
だが、まだ足りないと認識した。
更に四回目の超越を行った。
足りない。足りない。足りない。足りない。
「■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■」
三体の甲虫は比較と超越を繰り返す。
五回、六回、七回、八回、九回、十回————短時間の間に幾度も幾度も超越を繰り返す。
かくして甲虫は大樹への超越を終えた。
三つの砲塔に収束した光が臨界に達する。
そして、その三つの光が大樹へ向かって発射された。
光は音を置き去りにし、通過した空間を歪ませ、落ちて来る大樹へと直撃する。
ギュワンという反発反響する音が周囲に響き渡り、三つの光と大樹が一瞬だけ拮抗した。
それは瞬きの間、次の瞬間——大樹は三つの光に包まれ、跡形もなく消滅してしまった。
「■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■」
三体の甲虫は声を上げる。
それは他の収獲者を奮起する声か?
それとも人類へ絶望を齎す奇声か?
ただ、少なくとも玲香が放った相伝術式・転換は、収獲者の手によって打ち消されたのだった。




