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かくして秋雨は降る  作者: 霜月風炉
間章

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129/134

第129話

 収獲者・蜘蛛(斥候)。

 律はそれらを難なく次々と屠っていく。

 超越させる前に高火力の魔法で叩き潰していくが、多勢に無勢。

 打ち漏らしたものは後方にいる雪を筆頭に、術者たちが一撃で刈り取っていく。

 そんな中で律は隕石の落下地に鎮座し続ける五体の蟷螂のような収獲者に視線を向けていた。


「蜘蛛はひたすら攻めて来るけど、あの蟷螂は一向に動く気配を見せないな。そもそも隕石の中からどんだけ湧いて出て来るんだ? 質量保存の法則は完全に無視か?」


 隕石の落下地点には巨大な穴が開いている。

 そこからワラワラと蜘蛛が湧き続け、倒しても倒してもキリがない。

 恐らくあの蟷螂は穴を守っている。少なくとも律はそう判断した。


「……本能的に動いているかと思えば、役割はこなしている。蜘蛛は雑兵みたいなものなのか?」


 長文詠唱魔法を放ち続けながら、律は蜘蛛を討っていく。

 比較と超越の理。確かに厄介な能力ではあるが、律は戦いの中である程度の法則を見つけ出していた。


「姉さん、聞こえる?」


 耳に取り付けている通信機で、律は雪へと問い掛ける。


『聞こえるわ。どうしたの?』

「比較と超越について、法則がわかったと思う」


 蜘蛛を屠りながら、律は続ける。

 

「恐らく比較と超越を行うのは攻撃を受けた個体にのみ適応されているみたいだ。言ってしまえば一撃で倒せば問題はなくて、戦い続ければ続けるだけ強くなる。要は経験値をどれだけ与えずに倒せるかが鍵だと思う」

『なるほど。長期戦は不利になるってことね?』

「ああ。それと恐らく超越は比較した相手に個に対して行われると思う。実際、俺が打ち漏らしたヤツは問題なく倒せてるんだよな?」

『ええ。今のところは問題ないかな? そっか……一人なら一撃で倒せば良いけど、それが無理ならチームで相手にすれば良いってことか』

「数人で一体を抑えて、一人が強烈な一撃でブチのめす。これならある程度は対応できると思う」

『……わかったわ。全体に通達してみるね』


 雪との通信が切れる。

 蜘蛛は次から次へと際限なく湯水のように溢れ出て来る。


「……隕石が墜落した時点でアウトだった可能性があるな。このままだと消耗戦。そうなると圧倒的に不利だ」


 魔法を放つことに関しては、律としても余裕はある。しかし、人間である以上は食事を含め様々なことが必要であり、ひたすら戦い続けることは不可能でしかない。


「あの穴を塞がないと終わりは見えないか……」


 穴を守るように鎮座する五体の蟷螂を視界に収めながら、律は「どうしたものか」と考える。


『律、聞こえる?』

「姉さん?」

『遥さんからこっちに向かってるって連絡があったよ』

「やっとか。会議はどうなったて?」

『それが玲香さんが痺れを切らして切り上げたって』


 その報告を聞いて、律は乾いた笑い声を溢す。


『とにかく遥さん以外の当主もこっちに向かってきているから、もう少し頑張って!』

「了解」

『それと玲香さんは一足先にこっちへ来るみたい』

「オーケー。そんじゃ、もうひと踏ん張り頑張りますか」

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