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かくして秋雨は降る  作者: 霜月風炉
間章

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128/134

第128話

「話には聞いていたけどよぉ、面倒どころで済ませる話じゃねぇな」


 銃口から立ち上る煙を吹き飛ばしながら、ルークは素直な感想を述べる。

 アメリカ・ネバダ州レイチェルに位置する通称エリア51。

 偶然なのか、必然なのか、奇しくも宇宙人関係の噂が蔓延る地に収獲者が乗った隕石は落下した。

 銃士会は現地アメリカ軍との協力により、何とか収獲者を抑え込んでいた。

 ゴビ砂漠の失態があったこともあり、初めこそはスムーズに殲滅を行えていたのだが、現在は比較と超越の理によってジリジリと押されつつあった。


「仕留めそこなったら強くなるのは反則どころじゃねぇ。流石の俺も疲れるって話だぜ」

「ま、そんな愚痴が溢せるのなら、まだまだ余裕がありそうじゃないの?」


 トン、とルークの隣に舞い降りて来たのはガーネットだ。


「ったりめぇだ。姐さんほどじゃないにしても、まだまだやれるぜ」

「そう。銃士会側に死人が出ていないのは当然として、軍の方はそれなりの死傷者が出ているわ。比較と超越——異能力者以外じゃ、相当分が悪い戦いになるでしょうね」

「だろうな。俺たちなら一撃の威力を高めて、ばかすかぶっ放せば魔力(たま)切れさえ気を付けりゃ、何とかなるからな。軍人は量産品の火薬兵器。一発の威力は奴さんにしたら豆鉄砲みたいなもんだろ?」


 現状、軍の行動はすべて銃士会のサポートが主となっている。

 それでも収獲者の素早い動きによる被害が出ていることは、単に銃士会の者たちと異なり身体強化の術を持っているか否かがある。


「軍にもプライドがあるみたいでね。核兵器を投下する話が出ているみたいよ」


 やれやれと首を振りながらガーネットは呆れたように告げる。


「マジかよ。まだ始まったばかりだってのに、決断速くねぇか?」

「そうね。そもそも核で収獲者を全滅させることができるかも判断付かないのだけど……」


 そういうガーネットではあるが、その内心では「核兵器は無意味だろう」と考えていた。

 現状、世界各国で収獲者との戦いが勃発している。

 北海道釧路湿原では、東京会談の際に頂点捕食者である九十九を討った桜目律が最前線に出ているとガーネットは聞いている。

 そんな強者がまだ完全討伐を成し遂げていないのなら、核兵器は無意味だと思うのだ。


(生命体の頂点である頂点捕食者を打倒した人間が手古摺っているのだから、ただの人間が作った兵器が意味を成すとは思えない。だけど、軍——いえ、アメリカとしての威信を世界に知らしめる必要があるのでしょうね。何処よりも早く収獲者を打倒したというステータスが欲しい……まったく馬鹿馬鹿しい)


 ガーネットは軍、国の上層部が考えているであろう思考をイメージし、深い溜息を吐く。


「溜息ついてどうしたんだ?」

「いや、この期に及んでも人間は愚かと思っただけよ。結局、どこまでいっても争いはなくならないのでしょうね」

「はっ、違いねぇ。ま、俺は強ぇヤツと戦えているだけありがてぇ。まだまだ、俺は強くなれるってわかるからな」

「そうね。ま、軍からの退避命令が出るまではブチかましてやりましょうか」

「オーケーだ、姐さん!」


 銃声が響き渡り、火薬の香りと砂塵が漂う戦場。

 少しづつ押され始めていく中、数時間後アメリカ軍は遂に核兵器の投下を決定した。

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