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かくして秋雨は降る  作者: 霜月風炉
第五章

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127/133

第127話

「おーおー、次から次へと降って来てるな!」


 ゴビ砂漠、釧路湿原の他に、アメリカ・ネバダ州レイチェルにも隕石が落下し、その中から収獲者が溢れ出ているという情報が出回っていた。

 フランスのリヨンから南下した辺りに広がるヴェルコール自然公園。

 そこで空を見上げながら、カルロスは危機が迫っているとは思えない声音で、且つ上機嫌に言う。

 そんな様子を見ていたレアは眉間に皺を寄せながら、呆れ気味に口を開く。


「あのねぇ、団長……一応はフランスの危機なんだから、少しは緊張感を持ってくれない?」

「はっはは、硬いことを言うなよ。落下を許したら、ゴビ砂漠みたいな地獄が広がるってことくらいわかってるぞ! だからこそ、政府が俺たちに泣きついて来たんじゃないか」


 十二勇士としては初めから火の粉は払うつもりでいた。

 それもその筈、自身の母国の滅亡を望んでいるワケではない。また、国を守ることが十二勇士の存在理由でもあるからだ。


「しかし、アンタが協力してくれるとは思わなかったぞ、マーリン」


 カルロスがそう言って振り返った先には、顔を顰めながら心底不機嫌そうな表情を浮かべたマーリンがいた。

 その隣には彼女を宥めるアルトリウスとエリスティマの姿があった。


「正直怠いとは思っているけど、アルとの生活を守るために脅威は退けないといけないからね」

「そんなこと言わずに、頑張ろう」

「勿論、アルのためなら頑張るさ」

「……私はマーリンの宥める方が怠いわよ」


 お互いに見つめ合うマーリンとアルトリウスへジト目を向けつつ、それはそれは深い溜息をエリスティマは吐く。

 そんな様子にレアが同情をするような視線を向けていた。

 ふと、エリスティマとレアの視線がぶつかり合う。


「…………」

「…………」


 言葉は不要だった。

 お互いに目で健闘を祈り合う。

 それはきっと苦労人にしかわからないアイコンタクトであった。


「さて、隕石が落下する前にぶち壊してやろうじゃないか!」


 その言葉と同時に、カルロスが剣鎧(エペ・アルミュール)としてジョワユーズを身に纏う。


「さあ、全力で行こうぜ、相棒(ジョワユーズ)!」

「無論だ、相棒(カルロス)!」


 ダン——という音と共に、周囲に烈風が吹き荒れる。

 それはカルロスが空へと向かって跳躍した衝撃によるもの。

 カルロスの姿はみるみる小さくなっていく。


「……アイツ、あのまま宇宙まで行くんじゃないの?」

「大丈夫よ。団長もそこまで馬鹿じゃない……はず」

「そこは言い切りなさいよ。まあ、うちの人たちも大して変わらないけど……」


 溜息を吐きながらエリスティマは言う。


「さて、カルロスがどの程度暴れ回るかはわからないけど、私たちも備えるわよ! マーリン! アル! いちゃつくのも程々にしてよね!」

「まったく君はいつもプリプリ起こっているな。そんなのでは男も寄ってこないぞ」

「黙りなさい、マーリン!」


 そんな二人の言い合いを困り顔で眺めつつも、腰の鞘から剣を抜く。


「エリスの言う通り、僕たちも備えよう。カルロスのことだからそんなに出番はないとは思うけど、備えるに越したことはないからね」


 アルトリウスがそう言った時だ。

 頭上で鮮烈な閃光が瞬いた。


「団長が収獲者の満載された隕石と衝突したわ」


 レアの言葉と共に、マーリンとエリスティマの争いは一瞬で終わる。


「さぁて、働くとしようか!」

「マーリン、その感じをいつも出してくれると助かるんだけど?」

「そうプリプリしないでくれよ、エリス。ま、被害は少ない方が良いからね。カルロスの取りこぼしがあれば、手早く片付けよう」

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