表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かくして秋雨は降る  作者: 霜月風炉
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
116/121

第116話

 冷気と共にその場に降り立った秋雨は、荒い呼吸を繰り返しながら凍りつかせた蜘蛛へ氷刃刀を振るった。

 強固だった外皮はいとも簡単に砕け散り、その形はもろくも崩れ去った。

 蜘蛛のその終わりを見届けた秋雨は、地に氷刃刀を突き刺し、もたれかかるように何とか立っていた。


「今は一体が限界か……」


 秋雨は自重するように呟く。

 比較と超越の理を有する収獲者へ最も効率的な解決方法は、一瞬で葬り去ること。

 比較させず、超越させず、強烈な一撃で片を付けることこそが有効だった。

 頂点捕食者であるアンネリーゼは蜘蛛程度なら易々と一撃で葬れる。なお、周囲の精神汚染はある程度許容することが前提ではある。

 一方の秋雨だが、今有している手札でそれが可能となるのは相伝術式のみ。その相伝術式を発動するために限定解除(リミットブレイク)が必要となれば、あまりにもリスクが大き過ぎた。

 現に今の秋雨は肩で息をしている状況であり、他の蜘蛛はすべてアンネリーゼに任せざるを得なかった。


「助かった。君のような実力者がいるとは思わなかったよ」


 秋雨に声を掛けてきたのはレギオーだ。

 その隣にはレミネ、順にルクス、パドルフの姿も在った。


「あ、ああ……見ての通り、動けなさそうなんだ。アンネリーゼ……俺の仲……連れが駆け回っているから大丈夫だろうけど、周囲の警戒だけ頼む」

「勿論だ。俺はレギオー・カークランド。あと俺のパーティメンバーのレミネ・スプリングフィールド、ルクス・クロス、パドルフ・アンダータだ」


 それぞれが秋雨に向かって会釈する。

 秋雨もそれに倣って小さく頷いた。


「神水守秋雨……こちらの様式に倣うならシュウウ・ミナモリだ」

「よろしく頼む、シューウ。レミネ、ルクス、パドルフ。三人は周囲の警戒を頼む。俺は彼と少し話がしたい」


 レギオーの指示に従い、三人は周囲の経過のため秋雨とレギオーの側から離れる。


「疲れているところ悪いな。何となくだが、シューウはあの蜘蛛のことを知っているのか?」

「アンタよりは知っていると思う。だけど、詳しくは知らない。ちゃんとした話を聞きたいなら、俺の連れから聞いてくれ」


 秋雨は眉間に皺を寄せながら答える。


「そうか。しかし、とんでもない化物だな。俺の必殺の一撃すら亀裂を入れる程度しかできなかったぞ」

「あの外皮に亀裂を入れることができるだけでも、アンタは相当な実力者だよ。少なくとも術なしなら勝てる気しない」

「謙遜も過ぎれば嫌味だぞ。シューウも俺より若いのに随分な実力じゃないか」


 ガハハと笑い声を上げるレギオーに、秋雨は顔を顰める。


「はあ……」

「しかし、術と言ったか? 魔法とは違うことは何となくわかるんだが、誰でも使えるもんなのか?」

「……蜘蛛を凍らせた相伝術式は無理だ。普通の術なら……素質があればって感じだ」


 秋雨はそう言ってレギオーを見る。

 パッと見た感じではあったが、恐らくレギオーには素質はない。


「その感じ、俺には無理そうだな?」

「……まぁ」

「ああ、別に気にしちゃいない。昔から魔法はからっきしでな。唯一使える魔法が武器へのエンチャントだけなんだ。ま、それを突き詰めたからこそ、今の俺があるんだがな」


 ケロッとした様子のレギオー。

 そうこうしていると、空から黒い雲に乗ったアンネリーゼがフワフワと降りて来る。


「とりあえずこの町にいる蜘蛛は潰したよぉ。だけど、数人ほど発狂した人がいるけどねぇ?」


 サラッとそんな報告をしてくるアンネリーゼに、秋雨は深い溜息を吐く。


「わかってはいたが、少しは周囲に気を遣ったらどうだ?」


 秋雨のそんな言葉に、アンネリーゼは反省の欠片も見せずに答える。

 

「結構気は使ったんだけどなぁ? 本気だったら一瞬で済んだけど、この町の人々が廃人だらけになるけどねぇ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ