4
──放課後。
二学年開始早々、イキナリ疲れた。それは、黒羽の所為だ。なにが目的なのか、黒羽は休み時間になると、わざわざ私に声を掛けてきた。やれ「緑山さんの趣味は?」とか、やれ「緑山さんの好きな食べ物は?」etc.etc.……。数え上げたらキリが無い程に黒羽からの質問責めだった。これでは、どちらが転校生か分からない状況だった。
私は部活に興味ないので帰宅部であり、そそくさと帰る。
「──お帰り、蒼」
「……ただいま」
家に帰り着くと、ユミアが出迎えた。まあ、今や我が家には私とユミアだけなので致し方ないが。
「ねえねえ、新しい友達は出来た?」
「……別に。皆、お姉ちゃんの事件で嫌煙してたから……」
一瞬、異様に近付いてきた黒羽を思い浮かべるが怪しさMAXなので除外し、ユミアの問いに返す。
「そっか、残念だったね」
ユミアはそう言うが、彼女の声音には感情が籠もらず淡々としていた。
──さて、ここ数日で魔法少女としての出動は初日の遭遇戦と連絡のあった一件の全二件のみ。
「──暇ね……」
「暇なのは、平和な証拠だよ」
ユミアの言葉に、“そりゃ、そうか……”と思い、休日をゴロゴロと過ごす。
──ふと、私は目を覚ます。いつの間にか、寝ていたようだ。小動物なユミアも私と同じく、ぐーすかと寝ている。
──ブーッ、ブーッ、ブーッ。
すると、突然、スマホが振るえた。スマホを手に取り、魔法少女専用のアプリを開き画面を見ると、
「……それ、救援要請だね……」
寝惚け眼のユミアの言葉通り、それは確かに救援要請だった。
「……成る程。少し遠いけど、急げば間に合いそうね……」
私は、ベッドから立ち上がり、手を握り力を込める。すると、手の平の中に緑色の光が生まれ、瞬く間に私の全身を包んだ。
緑色の光が消えた後には、って、アレ?
「──お! 凄いね、蒼! まさか、一段階上のパワードスーツ・フォームに変身するなんて!」
「……え? パワードスーツ・フォーム?」
「そう! 基本は秘密なんだけど、私らと契約した相手の相性がイイと魔法少女としての覚醒みたいな? 力を出せるんだよ!」
……全く、意味わかんない。だが、普段よりも強い力が出せる事は理解した。
私は颯爽と自室から外へと飛び出すと、早速、力を使ってみる。
すると、手、足、胴体、背中、そして頭部に緑に輝くアーマーが出現!
「これが、パワードスーツ・フォーム……」
「そうさ! パワードスーツ・フォームは軽く生身の十倍の力が出る。だから、必ず、攻撃する前に“いつものアレ”を使うんだよ!」
「分かった。じゃあ、行ってくる!」
私は背中のパーツの羽根を拡げると、これまでに体感した事の無い、猛烈なスピードで目的地へと向かうのだった。
家から数分後。私は現場に到着。既にこの辺りの担当の魔法少女が大きめサイズの魔獣と戦っていたが、旗色が悪いようだ。
私は直ぐに自衛隊へ、現場への到着と討伐開始の報告。さてさて、それじゃ、行きますか!
「AC術式、発動! 緑山 蒼、助太刀に参上!」
私は、魔法少女を殴り飛ばして悦に入る魔獣の頭部に蹴りを見舞った!
──げめごっ!
上空からの攻撃に、地面に頭部を強かに打ち付ける魔獣。よたよたと、顔を上げ、
「……成る程ね。こりゃ、凄いわ!」
私は軽く後方にステップすると、アームパーツと一体になったクロスボウ──いや、ボウガンを天に向けて構え、
「──さあ、これでお終い!」
ボウガンに出現した緑色の光の矢を解き放つ! 天に上った緑色の矢は、直ぐに向きを変えて、地面に這い蹲った魔獣の全身に突き刺さった。
そして、土煙が晴れた後には、全裸の人と小動物──いや、異星人が其処には横たわっていた。
私はアーマーパーツを消してから、自衛隊に状況終了の連絡を入れると、魔獣に殴られた──確か、名前は赤城 紅羽を助け起こす。
「……あ、ありがとう」
「どういたしまして」
赤城は見た目に以上にはダメージはないようで、放っておいでも問題ないだろう。
そして、自衛隊が被害者の人間と異星人を収容して去ったのを見届けると、私は帰るのだった。




