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第70話 「俺たちでもう一度世界を救うんだ」

Side.復興大臣時代

「着いたな」


 レックスたちが辿(たど)り着いたのは、かつて世界を危機に(おちい)らせた古代兵器があった遺跡。

 しかし、遺跡はどこにもない。レックスたちは戦いの際に遺跡を丸ごと破壊していたから。


「なにもないから跡地(あとち)って感じだね」

「そうじゃな。遺跡自体はほとんど破壊してしまったからのう」


 セレナとポーラは遺跡があった場所を静かに(なが)める。レックスも当時のことを思い返しながら、遺跡の跡地を見つめていた。

 遺跡自体はなくなったものの魔力は感じる、つまり古代兵器の残骸(ざんがい)があるということ。あの戦いで全てを破壊したと思っていたのに。


「ここにある残骸を壊せばきっと終わるはずだ」

「きっとそうよ。行ってみましょう」


 レックスたちは崩れた足場をゆっくりと降り、遺跡の残骸から中へと足を踏み入れた。

 崩れている遺跡の隙間からは太陽の光が()し込み、松明(たいまつ)がなくても自然と進むことができた。

 しかし足場は悪く、足の踏み場を間違えてしまえば崩落する恐れがある。レックスたちは慎重に、遺跡の奥へと歩みを進めていった。


「こうして見ると、あの戦いがどれだけ熾烈(しれつ)だったのかが分かりますね」


 サファエルは息を()んで石の壁をなぞる。

 あれだけの戦いで、むしろ形を(たも)てていることが奇跡なのではと思うくらいだった。

 遺跡の内部はところどころ(くず)れているせいで、自然と進む道は決まっていた。まるでこちらに進めと言われているような気がした。


「残骸があるのは、多分あそこだよね。古代兵器の心臓があった場所」

「きっとそうですね。僕もあそこ以外にないと思っています」


 セレナとサファエルが話していて、レックスたちも自然と(うなず)いていた。

 足元が悪い足場を通り、崩れそうな壁を避けながらレックスたちは奥深くへと進んでいく。

 魔力を頼りにしながら、一際広い部屋に到着した。そこには古代兵器の心臓があった場所。部屋には崩壊した歯車が各所に落ちていて、戦いのあとの形がそのまま残されていた。


「懐かしい……って言っていいのかな」

「懐かしい出来事だよ。なんたって世界の危機になった場所と世界を救った場所なんだから」


 レックスは一歩を踏み出し、近くに落ちていた歯車に触れる。確かに魔力が収まったのを確認し、納得するように頷く。


「ここに落ちてるのは全部残骸だ。集めてどんどん壊していこう」

「そうと決まれば、一箇所(いっかしょ)に集めて壊していきましょう。レックスが浄化したものから順に壊していけばいいわ」


 レックスたちは部屋に散らばっている残骸を集める。


(これも、残骸の一部なのかな)


 レックスは壁に埋め込まれている残骸に触れる。それは古代兵器の心臓があった場所。

 レックスが残骸にゆっくりと触れた、そのとき。残骸が光り出し、ゴゴゴ、と地鳴りのような音が響いた。

 (あわ)てて手を引っ込めると、(きし)んだ音がして天井が崩落(ほうらく)してきた。


「レックス、危ない!」


 マリカが飛び出して崩落からレックスを救う。


「ありがとう、マリカ」

「いいえ、ここから抜け出しましょう」


 マリカの声を合図に、レックスたちは部屋を飛び出した。部屋を立ち去る前にふとレックスが振り返ると、残骸が宙に浮き、心臓部分に集まっているのが見えた。


「いきなりなにがあったのかな」


 先頭を走りながらセレナが首を傾げる。


「わしの推測じゃと、恐らく鍵じゃ」


 足を止めないまま、ポーラが考え込むように(つぶや)く。レックスたちの視線がポーラに集中する。


「残骸が目覚めたのは、テヴァス王の封印魔法が鍵になっていた。つまり、レックスが心臓に触れたことで封印が解けたと考えるのが自然じゃろう」

「じゃあ、また俺がやらかしたってことかよ!」

「王族の血じゃから仕方ないのう」


 やれやれと息を吐くポーラ。

 また自分のせいか。王族というのはあまりにも面倒なものなのではとレックスは頭を抱える。「仕方ないですよ」とサファエルは苦笑しながらレックスをなんとか慰めた。


「もしかして、レックスが手に入れたのは浄化魔法じゃなくて、封印魔法だったんじゃないかしら」

「封印魔法?」


 セレナの疑問に、マリカは頷いて話を続ける。


「封印魔法を覚えたレックスがこれまで残骸に触れたから、一部が封印されて魔力が収まったと考えても話は繋がるわ」

「ですから、先ほどは封印魔法という鍵が心臓部分に触れたことで共鳴(きょうめい)したのですね」

「それが自然な流れよね。だから、残った残骸の封印が解けて――」


 レックスたちが外に出ると、地鳴りがして遺跡が完全に崩壊した。

 すると、手の形をした黒い影が遺跡から伸び、遺跡の残骸が外殻(がいかく)として(まと)わりついていった。影に外殻が全て纏わりつき、最後には巨大な人型として姿を現した。


「……古代兵器がまた目覚めるってことよね」


 マリカの背中を、冷や汗が一筋伝った。

 次の瞬間、古代兵器の目が光り、熱線(ねっせん)が勢いよくレックスたちに向かって飛んできた。レックスたちは散開(さんかい)して熱線をなんとか(かわ)す。熱線はレックスたちの背後にあった森を消し飛ばし、遠くで爆発を起こした。


「どうしよう、古代兵器が目覚めちゃったよ!」

「かなりまずい状況ですね……」


 セレナたちは古代兵器を見上げながら(あせ)りを見せる。

 まさか古代兵器が目覚めるとは思わなかった。あのとき倒したはずなのに。少しの残骸で元の姿と変わらないところまで戻ってしまうなんて。


「みんな、落ち着いて」


 マリカの(りん)とした声が響く。全員の視線がマリカに集中する。


(おく)する必要はないわ。また倒せばいいのよ」


 マリカは不敵に笑い、腰に()えていた剣を抜く。


「それに、封印を解いたのも封印魔法だけど、倒すにも再び封印魔法が鍵になるはずよ」

「そうなの?」

「これまでの残骸は封印魔法で弱めて破壊してきたじゃない。きっと原理は同じよ」


 古代兵器の拳が降ってくるのを、マリカは剣を盾のようにして防ぐ。


「レックス、お願いできるかしら」


 マリカの()()ぐな(ひとみ)がレックスに向く。レックスの答えは決まっていた。


「もちろんだ」


 自分が起こしたことなのはもちろんだが、自分がやらなければならない。封印魔法を唯一覚えている自分だからできることだ。


「やろう。俺たちでもう一度世界を救うんだ」

「では、まずはあの鎧を剥がすところからじゃな」


 ポーラはいくつもの兵士たちを召喚し、降霊(こうれい)させる。

 セレナは手元で水属性の魔法を生み出し、サファエルは光属性の魔法で槍を作り出す。


「それじゃあ、いくぞ」


 レックスたちは一斉に、古代兵器へと走り出した。

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