王都観光4日目
今日は朝一から買い物に出かけた。行く場所は、おすすめしてもらった観光名所の最後の場所、王都の南側にある大通りだ。
昨日グランツ商会で臨時収入があったので、懐がだいぶ温かくなった。なので今日は心置きなく買い物することができそうだ。
今日買いたいと思っているものは、日用品はもちろん、王都でしか手に入らない食材や、魔道具作成に必要な材料や道具などだ。とりあえず大通りの最南端まで馬車で向かい、そこから順番にお店を回る予定だ。
馬車から大通りを眺めていたのだが、朝一なのにもかかわらず、ものすごい量の人が歩いていた。
「とりあえず手前のお店から順番に見て回って、入りたいお店を見つけたらそこを見ようか」
さすが王都というだけあって、いろいろなものが売られていた。食材一つとってみても、今まで見たことがないものがたくさんあった。
そんな感じで大通りを進んでいって、最初に入ったお店は食器屋さんだ。うちの家で使っていたのはただの木製の食器だったので、ちょうどいい機会だと思い、とりあえず4セット+お客さんが来たとき用に余分に買った。
次に入ったのは、冒険者御用達の武器、防具屋さんだ。確かにいいものが並んでいるのだが、どうしても値段と性能が合ってないように感じてしまう。
ここで買うよりも、同じ値段で材料をそろえて作ったほうがいいものが出来上がるので、いったん店を後にした。
その次に入ったお店は、なんとロイが入りたそうにしていたところだ。中に入ると、そこには従魔用のいろいろなものが売っていた。
リード、首輪や専用の洋服。ほかにも従魔が扱う用の武器や、従魔用の食糧なんかも売っていた。その中でロイが一番興味を持っていたのは、従魔用のおやつだ。
「ロイ、これが欲しいのか?」
そんなふうにロイに聞いてみると、こっちを向いて、欲しがっていたものを足で指してアピールしていた。
俺はロイが欲しがっていた餌を数個選び、買って店を出た。
お店を出るとちょうどいい時間だったので、一度食事をとることにした。今日は行くお店を決めており、王都でも人気のレストランを昨日のうちにグランツ商会の人に言って、予約を取ってもらっていたのだ。
俺たちは目的のレストランに着くと、これまた奥の豪華な部屋に案内された。このレストランはほかのお店とちょっと違って、一般の人でも食べられるように、予約でしか取れない席と、朝から並んで入れる席と、種類が何個か分けられている。
その中でも今日俺たちが入るのは、前日の予約で入れる超豪華な席だ。基本的に貴族や大富豪の会食に使われるような席らしく、少し居心地が悪かった。
しかし料理を食べると、そんなことを気にしなくなるくらい、とてもおいしかった。確かにこの味なら、朝一から並んで食べる価値はある。
「これはおいしいな」
「そうですね、ご主人様。食べたい人が朝から並ぶ理由がよくわかります」
「さすがにここまでの味は私では再現できなさそうです」
シノはそんなことを言っているが、今回セルディアの街から王都までの旅の途中で食べた料理を、なるべく再現できるように頑張っているのだ。
エルシアはというと、何も言わずにもくもくと食べており、ロイはお店の人に許可をもらって、先ほど買った従魔用の餌を与えていた。
そんなふうに料理に舌鼓を打ち、満足してお店を後にすると、また買い物に戻った。
食事中に決めたのだが、午後はなるべく魔道具作成や武器、防具の作成に使う素材や道具を購入するために、二組に分かれて行動することになった。
分け方は、普段から魔道具作成をやっている俺と、服を作ってもらっているシノを分けて、俺のほうにリュゼとロイ、シノのほうにエルシアという感じだ。
「とりあえず俺たちは魔道具ギルドに行ってみようか」
セルディアの街にはなかったが、この王都にはほかにもいろいろな種類のギルドがたくさんある。鍛冶師ギルドに料理人ギルド、裁縫師ギルドや錬金術師ギルドなどだ。
「ここはまた冒険者ギルドとは雰囲気が全然違いますね」
「そうだな。冒険者ギルドよりもだいぶ落ち着いているな」
俺たちは従業員がいるカウンターに行き、俺はギルドに登録した。登録の仕方は簡単で、3つ以上の生産職スキルを持っていればいいらしい。俺は紙に持っているスキルを書き、青い水晶に触れ、登録を終えた。
俺はそのままその従業員に、このギルドで売られている道具を見せてもらった。その中でよさそうな道具を2、3個買い、ギルドを出た。
次に向かったのは鍛冶師ギルドだ。魔道具ギルドと同じく登録を済ませ、いろいろと見せてもらうことにした。登録の際に鍛冶レベル6だと書くと、とても驚かれた。多分だが、俺の年齢で生産職をここまで上げているのが珍しいのだろう。
鍛冶師ギルドでは、道具以外にもセルディアの街ではなかなか手に入らない金属などの素材を購入した。
その後、いろいろなお店を回ったが、なかなかいいものがなく、シノたちと合流し宿に戻った。
「お疲れ様。そっちはどうだった? 結構な荷物を見るに、だいぶ満足いく買い物ができたようだけど」
「そうですね。裁縫師ギルドと、あとは本屋にも寄って、魔導書と魔法に関する本を数冊購入してきました」
魔導書か。確かにセルディアの街ではなかなかお目にかかれないものだが、さすが王都、普通に本屋でも魔導書が買えるとは。
「それで、なんの魔導書を買ってきたんだ?」
「それはお楽しみです!」
シノが何を買ったか言おうとしたのだが、エルシアがその口を塞ぎ、そんなことを言ってきた。
「わかったよ。楽しみにしておく」
そのあとは宿で夕食を食べ、部屋に戻った。
「それで明日はどうする? 俺はゴズさんのところへ行くけど、3人は何かやりたいことがあれば全然そっちに行ってもらっても構わないよ」
「私はご主人様についていきます」
そんなふうに答えたのはリュゼだ。
「わかった。もしかしたら同行できない可能性もあるから、もしそうなったときどうするか決めておいてくれ。ほかの2人はどうする?」
「そうですね。私は図書館に行こうかと思っています」
「そうだな。シノには昨日の続きを任せよう。それでエルシアは……って言っても、多分魔導書を覚えるよな」
「はい!」
エルシアが買った魔導書は、魔法の強さによって習得までの時間がかかる。多分だが、昨日シノに返してもらったお金から逆算しても、それなりにいい魔導書を買ったとわかるので、明日はそれを覚えるのに使うのだろう。
「それじゃあ今日は解散で」
観光四日目の買い物は、全員満足のいく形で終わった。
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