新たな仲間
屋敷に戻った俺は、エルフの女性に話を聞いた。俺はなるべくかかわらないようにしていたのだが、リュゼとシノとは少し仲良くなったようだ。
まず彼女の名前はエルシアというらしい。故郷の森を出て世界を見て回ろうと冒険していたところ、盗賊に襲われて抵抗していたら奴隷にされてしまったらしい。
「そうか。それで、この先どうしたい? もし故郷に戻りたいなら送っていくけど」
「いえ、エルフの里は閉鎖的で、一度外に出ると戻っても居場所がないんです。外とのかかわりもほとんどありませんし。それに、奴隷に落とされてしまった私には居場所はないでしょう」
どうやらエルフは排他的な種族らしい。でも彼女はどうしてわざわざ戻れないと知って、故郷を離れて旅に出たのだろうか。気になったが、今は聞かないほうがいいだろう。
「それで、エルシアの選択肢は二つある。このまま俺の奴隷になって暮らすか、どこかの商会に卸して、そこで別の人の奴隷になるかだ。やはりいろんな手段で調べてみたけど、君を奴隷から解放する手段はない」
心苦しいが、どうやらこの世界には違法奴隷をもとに戻す術はないらしい。もし違法奴隷に落とされると、家族に主になってもらったりして普通の人として暮らすか、奴隷として暮らすしかないのだとか。
「今日までの5日間、リュゼさんやシノさんと話していたのですが、レインさんのところはとても過ごしやすいと教えてもらったので、せっかく仲良くなれましたし、ここで働かせてください」
「そんな、別にここは他とそんなに変わらないと思うんだけど?」
そう俺が言うと、リュゼとシノが信じられないという顔でこちらを見ていた。
「何を言っているんですか? ご主人様! ご主人様より奴隷に優しい人を、私は今まで見たことありません」
「そうです。奴隷に一緒の食事や新品の物を買い与える主人など、ふつうはいないんですよ?」
二人はそんなことを言っているが、日本という奴隷制度のない国で育った俺からすると、奴隷と言われてもただの人間にしか思えない。
「そうなのかな? で、エルシアはここで暮らすということでいいんだね? それで何かやりたいことはある? 奴隷になったと言っても、もとは一般人なのだから、俺としては好きに生きてほしいんだけど」
「それですが、ぜひ私もレインさんのパーティーに入れていただけませんか? レインさんは冒険者なんですよね。それなら私の目的も果たせると思うので」
「わかったよ。それならまず奴隷契約をしに行かないとね。今のままだとエルシアは逃亡奴隷として殺されかねないから、俺の奴隷として登録しないといけないんだ。ごめんね」
「いえ、わかっています。気にしないでください」
方針を決めた俺たちはグランツ商会に向かった。馬車の返却もあるし、信用できる商会なので安心して奴隷契約も進められる。
お店に入った俺たちは、従業員の人に頼んでグレンさんを呼んでもらった。呼んでから数分もせずにグレンさんがやってきた。
「お待たせいたしました。それで今日はどのような御用でしょうか」
「馬車の返却と、こちらの女性との奴隷契約をお願いします」
「わかりました。契約魔法を使える者を連れてきますので、少々お待ちください」
そのあとはスムーズに事が運び、前回のように右手の甲が光ったかと思うと契約が完了した。
「これで終わりでございます。代金は銀貨5枚です」
俺たちは料金を払い、馬車を返却した後、屋敷に帰った。
「それじゃあ改めて自己紹介しようか。俺はレイン。冒険者をやりながら趣味で魔道具を作っている。使う武器は主に弓だな。それと、こいつはロイだ。種族はロイヤルシルクスパイダーで、まだ幼体だが成長したら俺たちの中で一番強いだろう」
「改めまして、私はリュゼです。種族は竜人族です。主に剣と盾を使った戦闘を行います」
「私はシノです。種族は獣人族で、隠密と短剣を使った戦闘をします。大体このパーティーでは斥候を務めることが多いです」
俺たちの紹介が終わって、エルシアの番になった。
「私はエルシアと言います。見ての通りエルフ族です。私は風魔法と弓を使って戦闘をします。これからよろしくお願いします」
「それじゃあエルシア、これからよろしくね。それと、もし良かったらでいいんだけど、ステータスを見させてもらってもいい?」
「構いませんよ」
俺は許可を得たので、鑑定を使用してステータスを見た。
・エルシア
職業:精霊使い
レベル:32
HP:720
MP:300
攻撃力:60
耐久力:40
知 力:150
速 度:60
器 用:80
幸 運:30
スキル
・風魔法Lv6・魔力操作Lv5・魔力感知Lv5・弓術Lv4・気配察知Lv2・馬術Lv2・解体Lv2・火魔法Lv1・水魔法Lv1
職業スキル
・精霊魔法Lv2
エルシアのステータスには、見たことがない職業とスキルがあった。
「もし言いたくなかったらいいんだけど、精霊魔法ってどんな魔法なの?」
「精霊魔法は精霊を召喚して使役する魔法です。スキルレベルが低いうちは低ランクの精霊しか呼び出せないので、バフをかけるくらいですが、レベルが上がっていくと高位の精霊を呼び出すことができて、強力な攻撃をすることもできるようになります」
「すごいな。多分だけど、これはエルフ固有のものだよね」
「そうですね。今まで人間の精霊使いには出会ったことがないので、多分エルフ固有のものだと思います」
低ランクでもバフをかけられるのであれば、とても優秀なスキルだ。それに火力枠としても、エルシアの風魔法は役に立ちそうだ。
そのあと俺たちは仲良く食卓を囲み、その日はお開きにした。
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今日気づいたのですが数日前に日間ランキングのほうにランクインしていたみたいです。
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