ロイと共闘
次の日、俺たちは依頼を受けて南の草原に来ていた。今回はお金稼ぎが目的ではなく、ロイがどれくらい戦えるのかの調査と、ロイを含めた戦闘の連携確認が目的だ。
南の草原には、ヴェルディアスの大量発生する時期以外は、ゴブリンやコボルトなどの低ランクの魔物が生息している。駆け出しの冒険者がよく訪れる場所だ。
「よし。まずはロイが一人で戦ってみてくれ。レベルの低いゴブリンだから大丈夫だと思うけど、油断はするなよ」
そう言うと、返事の代わりに体を揺らしたロイがゴブリンに向かっていった。
ちなみにゴブリンは、前もってシノが見つけてきてくれたので、それを倒してもらう予定だ。数は十一匹で、レベルは三~五。万が一にも負けることはないだろう。
戦闘が始まると、ロイは速度を生かした動きと生成した糸を使い、いとも簡単にゴブリンを倒していった。
ロイが生成した糸は、作り方によって硬さや細さが変わるらしく、少し離れたところから見ると、ゴブリンが勝手に切れていっているようにしか見えなかった。これから一緒に戦うときは気を付けなければ、ロイの糸で真っ二つになってしまうかもしれない。
十一匹のゴブリンは、一分もたたずに全滅してしまった。
倒し終えたロイは、褒めてほしそうにこちらへ飛びかかってきた。俺はそれに応えるように体を撫でてやった。
「二人とも、ロイの戦いを見てどうだった?」
俺には戦闘のことはよく分からないので、二人に聞いてみた。
「私は接近戦が主体なので、あまり分かりません。次は糸以外で戦っているところも見てみたいですね」
そうリュゼが教えてくれた。確かに今の戦い方は、どちらかと言えばシノ寄りの戦い方だろう。なので次はシノの話を聞いてみた。
「そうですね。自分の速さを生かした攻撃はとてもよかったです。ですが、蜘蛛の体を生かした攻撃もしたいですね。ここら辺にも低木があるので、木の側面からの攻撃などがいいかもしれません」
ロイはシノからのアドバイスを真剣に……聞いていた。
「二人ともありがとう。ロイ、次はリュゼが言っていたように、糸以外の戦い方も見せてもらってもいいかな」
そう伝えると、また体を揺らして返事をしてくれた。
次の敵を探すのに少し時間がかかってしまった。まだ大量発生から時間がたっていないので、ランクの低い魔物が少ないそうだ。
次にシノが見つけてくれた魔物はコボルトだった。さっきより少ない六匹の群れだ。
さっきも思ったのだが、森ではホーンラビットしか倒していなかったので、ゴブリンもコボルトも今回見るのが初めてなのだ。
ゴブリンはよく見る緑色の子供のような見た目で、腰布一枚に武器を持っていた。コボルトの方は犬の魔物で、中型犬くらいの大きさだった。
コボルト戦も相手はレベル五ほどで、また一分足らずで終わってしまった。
今回は、先ほどアドバイスの少なかったリュゼからいろいろ聞いてみた。
「私が見た感じ、もっと自分の体を知る方がいいように見えました。どこが硬いのか、どこが鋭いのか。それをすべて把握できるようになれば、もっと楽に敵を倒せるようになるでしょう。人間でも、自分の体のどこが動かしやすいかなどを気にしますからね」
リュゼのアドバイスも本格的で、俺の戦闘にも生かせそうな話だった。確かに、自分の体の癖などを把握しておけば、いざというときに役に立つだろう。
「ロイに対する戦闘アドバイスはこれくらいでいいでしょ。ここからは、ロイと一緒に戦うための連携を考えないとな」
二人に見てもらっていたのは、ロイの戦闘スタイルだけではない。今後一緒に戦っていくうえで気を付けるべきところや、逆にロイに気を付けてもらわなければならないところなども確認していた。
まず、戦闘中にこちらが気を付けなければならないことはなさそうだという結論になった。ロイの糸の攻撃範囲はそこまで広くないため、普通に戦っていれば攻撃が当たることはないだろう。
逆に、ロイに気を付けてもらうことは、戦闘中にこちらへ近づきすぎないようにすることだけだ。
この後、一度一緒に戦闘をしてみることにしたのだが、適当な魔物がなかなか見つからないので、そこら辺にいるヴェルディアスを倒すことにした。
大量発生していないだけで、いるにはいるのでそれを狩る。シノに三匹ほどの群れを探してもらい、戦闘を開始した。
一緒に戦ってみて思ったのだが、ロイは俺たちに足りなかった火力を十分に補ってくれていた。ステータス上の攻撃力の数値は高くないのだが、鋼鉄のような硬さの糸が高い火力を生み出していた。
今までは急所を攻撃してとどめを刺していたのだが、ロイの攻撃なら両断できてしまった。
敵を全て倒し終わるまでの時間は、ロイの参戦前後で大体半分ほどになった。
最後に解体をしたのだが、ロイがやりたがっていたので試しに糸で切ってもらった。すると切れ味がよく、今後も手伝ってもらうことになりそうだ。
解体を終えた俺たちは街へ帰った。街に入るときにまた門番に止められたのだが、昨日発行した証明証を提示すると、何の問題もなく入ることができた。
今後も街に入るときはいろいろと面倒くさそうだが、ロイの活躍からすればどうってことないだろう。
こうして俺たちは、ロイとの初依頼を終えることができた。
この作品の続きが気になる、面白いと思った方はぜひ下の☆をクリックとブックマーク登録して応援していただけると嬉しいです!!!




