従魔登録
街に戻った俺たちは、入るときに門番の人に止められた。
なぜなら俺の頭の上に大きな蜘蛛がくっついているのだから。もしこれを見逃す人が門番をやっているなら、首にした方がいいくらいだ。
俺たちは門番の人に説明して、なんとか街に入ることができた。まぁ、また水晶のお世話になったんだけどね。
道中、二人から話を聞いていたのだが、魔物をテイムした場合、従魔登録なるものをしなければならないらしい。そして登録をすると証明書をもらえるので、それで町の出入りができるようになるのだとか。
今回は特別で、登録するために入れてもらえたのだが、街の決まり事で二人の兵士が俺たちの後を監視するためについてきている。
魔物が暴れたときに対処するためなのだろうが、多分俺の頭の上にいる奴が暴れたら、この二人では止めることは無理だろう。まぁ、暴れさせるつもりなんてないんだけどね。
冒険者ギルドに入るときも注目を集めることになった。今までもシノとリュゼの二人がいるから目立っていたのだが、さらに目立つ要因が増えてしまった。
「れ、レインさん、どうしたんですか?」
いつものようにセレナさんの受付に並んだのだが、俺の番になって俺の頭の上の蜘蛛におびえていた。
「森の中でこの子蜘蛛を助けたら、テイムしてしまったんですよね。なので登録お願いします」
「わ、わかりました。少々お待ちください」
そう言ってセレナさんが奥の部屋に行ってしまった。もしかして虫が苦手なのだろうか。
セレナさんがすぐに戻ってきたのだが、なるべくこちらを見ないように一枚の書類を渡してきた。
「こちらに記入をお願いします」
渡された書類は従魔登録証で、内容は名前と種族だけだった。名前か。全然考えていなかった。
そもそもこの子は雄と雌、どちらなんだろうか。鑑定してみると雄だった。
雄か。だったら種族名からとってロイとかどうだろうか。シルクスパイダーとして登録するが、本当はロイヤルシルクスパイダーだからな。
ロイ。我ながらいい名前だと思う。
「よし、お前は今日からロイだ」
名前を決めた俺は登録証に記入をした。もちろん種族はシルクスパイダーと書いておいた。見る人が見ればばれてしまうのだが、そもそもロイヤルシルクスパイダーだと疑う人はいないだろう。まだDランクの俺たちがAランク相当の魔物を従えているとは思わないだろうからな。
こうして無事登録を終え、登録証を発行してもらって、それを兵士の人に見せると、兵士の人もすぐに元の仕事に戻っていった。
その後、俺たちは依頼の報告をするために一度買取所に向かった。
すると、そこで会ったガイさんにも驚かれてしまった。
「レイン、お前さんそれはどうしたんだ? 大丈夫か? 頭食われてるようにしか見えないんだが」
確かに頭の上に載っている今の状態では、食べられていると思われても仕方がないだろう。
「大丈夫ですよ。こいつは新しい仲間のロイです」
「まさかシルクスパイダーをテイムするとは、なかなかやるな」
最近は北の買取所も賑やかになってきたのだが、こうして来ると毎回ガイさんが話しかけてくれる。
「それで、これをお願いします」
そう言って俺はオーク討伐の証の耳と薬草を六束渡した。
「オーク七匹に薬草六束だな。よし、これを受付に出しに行きな。また来てくれよ」
そうして俺たちはギルドに寄った後、買い物をして屋敷に戻った。
屋敷に帰った後、まずはロイのステータスを確認することにした。従魔にした魔物はステータスを確認できるようになるらしい。
・ロイ
種族:ロイヤルシルクスパイダー(幼体)
レベル:54
HP:540
MP:50
攻撃力:60
耐久力:20
知 力:25
速 度:85
器 用:75
幸 運:5
魔法属性:風
種族スキル
・糸生成Lv1・操糸術Lv1・毒生成Lv1
魔物のステータスは人間と項目が違った。魔法属性や種族スキルという項目がある。
俺はロイのステータスの項目をさらに鑑定してみた。
幼体:ステータスが四分の一
魔法属性:その魔物が使う魔法の属性
種族スキル:その魔物が扱うスキル。中には人間と同じスキルを持っているものもある。
俺はシノとリュゼにもわかるように、ステータスを紙に書き出して見せた。
「これは強いですね。成体になったら私たちの中で一番強くなるんじゃないでしょうか」
「そうだな。多分今のままでも俺が戦ったら負けるだろうしな」
速度と器用が俺よりも高いため、攻撃を当てるのは難しいだろう。リュゼも相性が悪いので難しいかもしれない。シノも決定打に欠けそうだ。
「ロイ、お前今のままでも糸を出せたりするか?」
俺はロイに半信半疑で話しかけてみた。テイムした魔物は意思疎通ができるらしいので、試しにしゃべりかけてみたのだ。
するとロイが体を揺らして返事をしたかと思うと、糸を生成し始めた。
「おぉ、すごいじゃないかロイ」
俺はロイの頭をなでてやると、蜘蛛なのでよくわからないが、嬉しそうに体を揺らしてくれた。
「これはいいですね。裁縫で服を作れば、そこら辺の防具よりいいものができますよ」
「そうですね。手触りもいいので、普通の服よりも着心地はよさそうですよ」
二人とも糸を見てとてもうれしそうにしていた。やはりどこの世界の女性もおしゃれは大好きらしい。
「ロイ、一日に出せる糸の量ってどのくらいだ?」
俺はロイに聞いてみた。俺の予想ではMPを消費して糸を生成するのかと思ったのだが、ステータスに変化が見られないため、ダメもとで聞いてみた。
ロイが体を横に振ったので、これはわからないということだろうか。
「とりあえず今出せる限界まで出してみてくれないか?」
そう頼むと、ロイがまた糸生成に入った。ちなみにロイが生成した糸を鑑定するとこんな感じだ。
『ロイヤルシルクスパイダーの糸』
糸系の最上級素材
ロイヤルシルクスパイダーを倒すと少量手に入る。
服や防具の作成において、これ以上のものはないと言われるほどの素材。
手で触ってみると、前世で触れたどの素材よりも触り心地がよかった。これを言葉で表現するのは難しいだろう。
結局ロイは糸を一kgほど出して、もうこれ以上は無理だと訴えかけてきた。
しかし、これだけの量が毎日とれるなら十分すぎるほどだ。全身ロイヤルシルクスパイダーの糸で作った服を着るのも夢じゃない。
とりあえず服を作るにしても、まだ生活費を稼ぎきれてないので、また今度にしよう。
この作品の続きが気になる、面白いと思った方はぜひ下の☆をクリックして応援していただけると嬉しいです!!!




