初戦闘
朝日が昇り始める少し前俺は目を覚ました。
「昨日は暗くて周りもほとんど見えなかったが今日はずいぶん遠くまで見えるな」
木の上からあたりを見回すといろいろなものが目に飛び込んできた。
北には大きな山脈。頂上には雪が被っておりそれが東西に連なっている。
東西は見える限り森が広がっており目に見える範囲すべて森だった。
南にはなんと少し進むと広い平原が広がっていた。進むならこっちの方角だろう。
「はぁ、それにしてもほとんど寝られなかったな」
それもそうだ。慣れない環境なうえいつ魔物に襲われるかわからない状況でぐっすり眠れるわけがない。
幸い寝ている間に襲われることはなかったが夜の間は今まで聞いたことがない生き物の鳴き声や、すぐ下を何か生き物が通りすぎていく気配などがあり落ち着いて過ごせる時間は一度もなかった。
少し寝られたといっても眠気に負けてうとうとする程度だったため疲れはほとんどとることができなかった。
まだ東の空に少し太陽が顔を出したくらいの頃にはすでに俺は木を降りて歩き始めていた。
朝ごはんはもちろんバックに入っていた携帯食料だ。昨日も食べたが味はそこまで悪くなく今のところは満足している。
しかし問題は飲み水のほうだ。手持ちの水袋に入っている水が残り少なくなっているためどこかで水の補充をしなければならない。残りを見るに今日はよくても明日には水が切れるだろう。
「どうにかして水場を見つけるか、人の痕跡を見つけたいな。」
そして俺は朝見渡した時に見つけた南の平原を目指して進み始めた。
少し森を南にすすんでいると進行方向の茂みからガサガサと物音が聞こえてきた。
「なんの音だ?明らかに今そこの茂みから聞こえたよな。」
俺は腰の剣を抜いて構えた。戦闘経験はないのでとても不格好な構えだがしないよりはましだろう。
そして恐る恐る茂みに向かって歩いていると茂みから小柄な影が飛び出てきた。
出てきたは影は前方3メートルほど前で止まり明らかにこちらを向いている。
よく見るとそれはウサギの形をしており頭には小さいが鋭い角が生えていた。
『鑑定』
・ホーンラビット
小型の魔物
鋭い角を生かした突進攻撃を行う
「まじか、最初から魔物に出会うとは。さっきの速度でこっちに突進してきたら結構危ないかもな」
俺とホーンラビットがにらみ合っていた次の瞬間、向こうが勢いよくこちらに突っ込んできた。俺はぎりぎりのところで横に飛び何とか攻撃を回避することに成功した。
そして後ろを振り返ると木に角が刺さり動けなくなっているホーンラビットがそこにはいた。
「えっと、まじか。これどうしよう」
さっきまであんなに怖かったホーンラビットだがこうなるとかわいく見えてくる。しかし魔物は魔物だ。いつまた角が抜けて襲ってくるかわからない。
俺は覚悟を決めて剣をホーンラビットめがけて振り下ろした。
「異世界転移特典で精神的なサポートがあってよかったな。もし前世のままだったらとどめを刺すことはできなかっただろうし、もし殺せたとしても生で血を見て倒れてただろうな。」
一応神様からの特典で転移するときに精神の保護などいろいろなアシストがつくらしい。なんでも昔、戦闘とは無縁の生活を送っていた人が転移したあとモンスターを殺したもののメンタルがやられてしまい自殺する人がいたらしい。
なので転移してきた人がある程度の殺生になれるまで精神に保護がつくらしい。
ホーンラビットを殺した俺は解体の仕方なんてもちろん知らないためまずやり方をインターネットで調べた。
『ホーンラビット解体し方』
そして出てきた通りの手順で解体の作業を開始した。
まずは首を切って血抜きをした。これをしないと肉が生臭くなりおいしくなくなってしまうらしい。
次に皮をはがし、おなかに切れ込みをいれ内臓を取り出して最後は肉をとる。初めての解体にしてはうまくいったように思えたが可食部がだいぶ減ってしまっていた。
また、ホーンラビットの角は町で取引できるらしいのでバックに入れて持っていくことにした。
「ふぅ。なんとか解体できたなあとはこれをどうやって食べるかだよな」
調べたら焼かないと食べれないとあったがまだお腹はすいていないし、ここでまた止まって火を起こしていてはいつまでたっても先に進めないため肉を持ったまま先に進むことにした。
内臓や捨てる部分は土を掘り地面に埋めた。こうすることで土にかえるかほかの野生動物が餌にするらしい。
魔法を持っている人がいる場合はすべて焼き切るのが普通なんだそうだ。
ちなみに魔物のお肉は普通の野生動物より強くて倒すのが大変な代わりに、肉が腐りにくいらしい。
ちなみにどれくらい腐らないかというと生で3日、ちゃんと冷やして保存すれば1ヶ月は持つそうだ。
なので俺は角と同じくバックに詰め先を急ぐことにした。
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