キングウェアウルフ戦 前半
拠点をあとにして5分もたたないうちに俺たちはウェアウルフとの戦闘が始まっていた。
先行していたBランクパーティーが気づきすぐに戦闘態勢をとれたからよかったが、俺たちが見つけた地点より明らかにこちら側に来ていた。
「数は大して多くない。さっさと片付けて先を急ぐぞ。ここで時間をかけている余裕はない」
ギルドマスターがそう言いながら戦闘を行っていた。
相手の数は10匹程度。これに対してこちら側は27人いる。それにここにいるのは全員Bランク冒険者だ。1対1でもウェアウルフに対して後れを取るものはいないだろう。
もちろん俺たちが参戦するまでもなかった。
2分もしないうちに戦闘が終わり、しっぽだけ回収して魔法使いがあとはすべて燃やした。
「ギルドマスター。俺たちが一度見てきます。数分待ってくれませんか?」
「すまんが頼んでもいいか?」
俺とシノは隠密スキルを発動させながら森の奥へ入っていった。
先ほどの場所に戻ってみると明らかに数が増大していた。
「これはまずいな。ぱっと見50匹はいるぞ」
「そうですね。これはこちらを待ち伏せしているのだと思います」
「戻ってギルドマスターの指示を仰ごう」
急いで戻るとギルドマスターがすぐに話しかけてきた。
「それでどうだった」
「数がさらに増えてました。おおよそ50匹です」
すると周りから驚きの声が上がった。それもそうだろう。ウェアウルフが50匹もいれば小さな村が壊滅するレベルの強さを持っているからだ。
「これは罠だとわかっていても行くしかなさそうだな。ここで無視をするわけにはいかない。全員武器を構えておけ。正面突破だ」
「ギルドマスター。俺とシノは一度そこで戦闘が起こっている間にキングウェアウルフが本当にいるのかを確認してきてもいいですか?」
「わかった。お前たちはそっちの様子を見てきてくれ。もちろんお前らの仲間のリュゼは任せておけ」
「はい。お願いします」
そうして5分もしないうちにウェアウルフの群れと冒険者の衝突が始まった。
俺たちは戦闘が始まって敵の目がそちらに向いているうちに姿を消してキングウェアウルフの場所まで急いだ。
「こっちです。ついてきてください」
俺はシノに道案内をしてもらいながら進んでいった。道中にウェアウルフを確認したが、全て戦闘が起こっている場所に向かっている様子だった。
「ここです」
シノは茂みの手前で止まった。奥には開けた場所とそこに寝転がっている大きな狼がいた。周りには何十匹ものウェアウルフが徘徊していた。
『鑑定』
キングウェアウルフ レベル:53
ウェアウルフの上位種。とても多くの群れを引き連れる。
俺はそれに加えてインターネットでもキングウェアウルフについて検索した。
『キングウェアウルフ』
狼型の魔物
ウェアウルフの上位種
その大きな体に見合わぬ速度を生かした攻撃と爪から飛ばされる風魔法が脅威。
「間違いない。あれはキングウェアウルフだ。急いで戻ろう。このことをいち早く伝えないと」
キングウェアウルフはまだ眠っているがいつ動き出すかわからない。それに元いた群れの数と森ですれ違ったウェアウルフの数を合わせると余裕で100匹を超えるだろう。
俺が行っても役に立てるかわからないが、それでも大急ぎで戻っていた。
「ギルドマスター。いました。キングウェアウルフです」
戻ってきた俺たちは戦闘中の皆に向かって叫んだ。
「川を渡って少し進んだところにいます。まだ動いていませんがいつこちらに来てもおかしくありません。それに加えてキングウェアウルフの周りには数十匹のウェアウルフがいました」
「そうかありがとうな。お前たちも戦闘に加わってくれ。無理はするなよ」
俺たちもすぐに戦闘に加わった。俺はウェアウルフと1対1でも勝てないため、隠密を発動させながら木の上で弓を撃っていた。
しかし下は乱戦模様で人が多く、少しでも間違えると当たってしまいそうでなかなか攻撃できなかった。
20分くらいたったころだろうか。倒しても倒しても次々に森の奥から新しいウェアウルフが出てくるため一向に終わる気配がない。
そんななかシノがすごい速さでこちらに来ていた。
「ご主人様。キングウェアウルフがこちらに来ています。多分私以外の方々も気づいている人は少なくないと思います」
俺にはよくわからないのだが、シノが言うには気配察知にキングウェアウルフの気配が引っ掛かったらしい。
だが俺とシノ以外の冒険者たちは直接見ていないため、こちらに近づいている気配がキングウェアウルフのものなのかわからないのだろう。
「皆さんこっちにキングウェアウルフが近づいてきています。気を付けてください。キングウェアウルフのレベルは53です」
「みんな聞こえたな。キングウェアウルフがいつ来てもいいように戦ってくれ」
俺とシノは一度リュゼと合流して後ろに下がった。
前もって話していたのだが、俺は論外だがリュゼとシノもここにいる冒険者たちと比べたらまだ力不足だ。だからキングウェアウルフとの戦いは後方から弓や魔法を撃って攻撃に参加することにしたのだ。
そして俺たちが後ろに下がり、いつでも弓や魔法を撃てるように準備を完了してすぐに左の方から悲鳴があがった。
「うわああああああああああああああ」
声のする方に顔を向けるとそこにはキングウェアウルフに咥えられた冒険者がいた。
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