作戦会議
作戦会議を始めた冒険者たちは俺たちにいろいろな質問をしてきた。基本的に応答はリュゼとシノに任せて、俺はギルドマスターと話をしていた。
「それで結局お前たちは討伐に参加するか?」
「二人はともかく流石に俺は参加できません。レベルも実力も足りていませんから」
「それはそうなんだけどよ。少なくともシノには参加してほしいんだが、二人ともお前さんの奴隷なんだろ? 二人はお前が参加しないなら行かないと言ってきた」
さっきギルドマスターが二人だけと話がしたいと言ってきたので許可をしたのだが、どうやらこのことを話していたらしい。
「ちなみにここにいる冒険者の皆さんのレベルはどのくらいなんですか?」
「そうだな。低いやつで30後半、高いやつだと50くらいだ」
「そうなると余計に俺たちは必要ないんじゃないですか? なぜシノを同行させたいと?」
「それがだな。斥候を任せられるやつがいないんだよ。ここにいるやつらはみんな前衛の戦士か後衛の魔法使いか弓使いだ」
話を聞いていると、モンスターに対しては基本隠密行動をとることはないため、冒険者には斥候向きの人材は少ないらしい。
「ダンジョンに潜るような奴らはちゃんと斥候を用意するんだが、地上でモンスターを狩って生計を立てるやつらは基本戦闘職ばっかで、いても高ランクパーティーに回復職がいるくらいだ。斥候を入れるやつはあんまりいない」
「そうですね。一度シノと相談してみてもいいですか?」
そういって一度ほかの冒険者たちと話しているシノをこちらに呼んだ。
シノには今ギルドマスターから聞いた話をそのまま伝えた。
「そうですか。ですがここにいる冒険者の中には索敵ができる人たちも少なくありませんが、どうして私なんでしょうか」
そういうとギルドマスターが顔をしかめて教えてくれた。
「普通の魔物ならいいんだ。でもウェアウルフは鼻が利く。隠密のスキルがないとすぐにばれてしまうんだよ。そうなったとき、一人で調査に出ているやつがすぐに殺される。それで俺が現役だった頃に、俺の仲間が一人キングウェアウルフの群れに殺されてるんだ」
「ギルドマスター。ちなみに隠密のレベルって関係あるんですか?」
「いや、隠密のレベルが関係するのは人間に対してだけだ。魔物が気配察知のスキルを持っていることはありえない。相手が気配察知のスキルを持っていなければ、レベル1でもばれることはない」
話を聞いてみると、そもそも魔物には取得できるスキルとできないスキルがあるらしい。その代わり人族(獣人や竜人、エルフやドワーフなどの種族も含まれる)も、魔物が持っているスキルの中で取得できない物があるらしい。
しかし近づきすぎると野生の勘なのかばれてしまうことがあるらしい。特にレベルが高い相手にはばれやすいのだとか。今回のように偵察で遠くから見ておく分にはばれないのだとか。
「それなら俺とシノの二人で行ってもいいですか? 実は俺も隠密のスキルを取得しているので」
「お前も持っているのか? 普通隠密のスキルは厳しい訓練を受けなきゃ手に入れられないのだが、お前はどうやって手に入れたんだ?」
「え、普通にクリスタルホーンラビットを倒したら手に入れましたよ。多分警戒心が強い相手をバレずに一撃で倒したからとかじゃないですかね」
「私の五年の努力が一瞬で……」
シノがどこか遠い目をしながらそんなことをつぶやいていた。
「それでシノ。お前はどうする。レインが行くならついて行ってもいいって言ってたよな」
「はっ。すみません。ご主人様が行かれるのであれば、もちろん私もついて行きます」
「すまんがよろしく頼んだぞ」
そういって俺とギルドマスターとの話し合いは終わった。
俺は本当は危険なところにわざわざ行くのは嫌なのだが、今は緊急事態なのでそんなことは言ってられない。
俺とシノが隠密スキルを使った偵察。リュゼは討伐隊に参加することにしたらしい。ギルドマスターがリュゼのステータスを確認して大丈夫だと判断したらしい。
リュゼとしてもやはり俺とシノだけ行くのは納得できなかったらしい。
作戦会議が終わったのは夕方の鐘が鳴ってから一時間以上たった後だった。作戦の決行は明日の早朝になった。
俺たちは一度屋敷に戻り夕食を取ろうと考えたのだが、時間も時間なので外食をすることにした。場所は俺が前にお世話になっていた野うさぎ亭だ。
「いらっしゃい。あらレインちゃんじゃないの。今日は食事かい?」
「はい。食事でお願いします」
「じゃあ空いている好きなところに座りなよ」
女将さんに言われた通り空いている端の席に着いた。俺たちはご飯を注文して明日についての相談をした。
「とりあえず二人のステータスの確認だな。鑑定をするぞ」
二人の許可を得て俺は鑑定した。
・リュゼ
レベル:35
HP:750
MP:120
攻撃力:135
耐久力:120
知 力:70
速 度:55
器 用:55
幸 運:35
スキル
・剣術Lv5・盾術Lv5・風魔法Lv5・槍術Lv3・馬術Lv3
・体術Lv2・料理Lv2・家事Lv2・魔力操作Lv2・魔力感知Lv2
・火魔法Lv1・解体Lv1
職業スキル
・竜剣術Lv3
・シノ
レベル:34
HP:740
MP:40
攻撃力:70
耐久力:50
知 力:40
速 度:120
器 用:120
幸 運:40
スキル
・短剣術Lv5・投擲Lv5・気配察知Lv4・料理Lv4・家事Lv4
・隠密Lv4・罠解除Lv3・裁縫Lv3・魔力感知Lv2・罠設置Lv2
・解体Lv2・水魔法Lv1・魔力操作Lv1
職業スキル
・闇討ちLv2
なんと二人ともレベルが2も上がっていて、リュゼは風魔法が、シノは隠密のスキルレベルが上がっていた。
ちなみに俺のステータスはどうなのかというと、
・レイン
レベル:15
HP:350
MP:30
攻撃力:50
耐久力:25
知 力:15
速 度:40
器 用:60
幸 運:20
スキル
・弓術Lv4・鑑定Lv3・解体Lv3・火魔法Lv2・魔力操作Lv2
・魔力感知Lv1・隠密Lv1・剣術Lv1・鍛冶Lv1・木工Lv1
・料理Lv1・裁縫Lv1・錬金術Lv1・陶芸Lv1・細工Lv1
・付与術Lv1・薬草採取Lv1
ユニークスキル
・インターネット
なんと5レベルも上がっていた。弓術のレベルが上がるのはわかるのだが、火魔法と魔力操作のレベルが上がっているのに驚いた。魔法は今日ウェアウルフの死体を燃やすのに使っただけだからだ。
火魔法がLv2になるとファイヤーウォールが使えるようになる。これは相手の攻撃を炎の盾で防ぐスキルだ。
しかし物理的な攻撃を防ぐのには向いていない。もちろん炎で焼ききれるものなら防げるのだが、石や矢じりの部分などはどうしても火魔法では燃えないため、主に魔法に対する防御に使われる。
「これなら明日も何とかなりそうかな」
「はい。大丈夫ですよご主人様」
シノがそう言って励ましてくれる。
「最悪の状況になってもご主人様だけは守ります」
そうリュゼは言ってくれるのだが、
「いや俺は隠密スキルがあるから、むしろリュゼはすぐに逃げてくれ」
そう言って俺たちは夕食を済ませ、明日のために屋敷に戻ってひと眠りするのだった。
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