報告
何とか森を出た俺たちはすぐに冒険者ギルドに向かった。一刻も早く森の異変を伝えるためだ。
俺たちは買取窓口のほうに向かわず直接ギルドに向かった。ギルドに着いた俺たちは真っ先にセレナさんのところに行った。
「冒険者ギルドへようこそ。レインさん、そんなに急いでどうしたんですか?」
「セレナさん、一大事です。すぐにマスターを呼んでもらえませんか?」
「要件はなんですか?」
「西の森の異変についてです」
「ここで話せない内容でしょうか」
「はい。できればほかの人に聞かれないところで」
「わかりました。すぐに応接室を用意いたします。少々お待ちください」
そういうとセレナさんは奥の部屋に入って行った。俺たちが数分待っていると別の職員が呼びに来てくれた。
「マスター。レインさんをお連れしました」
俺たちを連れてきてくれた職員が部屋の中に声をかけるとすぐに声が返ってきた。
「おう。入ってくれ」
俺たちが入った部屋はどうやら応接室ではなくギルドマスターの仕事部屋らしい。一番奥の机でギルドマスターが作業をしているので間違いないだろう。
「そこの椅子に座ってくれ。今書類仕事の最中だからやりながらになるが話は聞いてるから説明してくれ」
そういわれたので俺たちは説明を始めた。
まずいつもは現れない場所にレッサーボアが出現したこと。その原因がウェアウルフの数が増えているからではないかということ。
ウェアウルフの群れの数が異様に多く、もしかしたら西の森にキングウェアウルフが出現したかもしれないということ。
ギルドマスターも最初は話半分みたいな感じで聞いていたのだが、ウェアウルフの群れの数が異様に多かったと聞いて顔色を変えた。
「これがその時の戦闘で得たウェアウルフのしっぽです」
「お前たち。今の話に偽りはないんだろうな。もし嘘をついているなら冒険者資格の剥奪じゃあ済まないぞ」
「断じて嘘じゃありません」
「セレナ、一応だが魔道具を持ってきてくれ。悪いがお前たちの話をすぐに信じるわけにはいかない」
それはそうだ。まだ駆け出しの俺たちがこうしてギルドマスターに会って話を聞いてもらえるだけありがたいのだ。
これも前に一度クリスタルホーンラビットの件で会っているから、一応話は聞いておいてやるか程度にしか思われていなかっただろう。
「わかってます。話を聞いて下さりありがとうございます」
「それでもし出現が本当だった場合、お前たちは何処まで協力してくれる」
「正直に言えば俺は戦力になりません。足手まといでしかないでしょう。しかしこの二人なら確実に戦力になってくれると思います」
俺はまだ実力ならEランク程度なのだ。二人のおかげで何とかCランクの魔物を倒させてもらっているだけだ。もし一人のままだったらまだ森の中で薬草採取をしていただろう。
ギルドマスターは二人を値踏みするように見つめていた。
少しの間沈黙が続いたが、すぐにセレナさんが部屋に戻ってきて緊張が解けた。
「マスター、お待たせしました」
「おう、じゃあ早速お前さんからだ。この水晶に触れな」
そう指示された通りに俺たちは順番に水晶に触れた。もちろん全員嘘はついていないため青色に光った。
「これは本当か。セレナ。すぐにBランク以上の冒険者を集めてくれ。それからレインとそこの二人。地図を持ってこさせるからどこで遭遇したのか教えてくれ」
本当だとわかった瞬間ギルドマスターの雰囲気が変わった。それからの行動は迅速だった。職員がすぐに地図を持ってきてどこで何があったかの報告が始まった。
「はい。ここでレッサーボアを解体していたのですが、それをウェアウルフに嗅ぎ付けられたみたいで。はいそうです。そこの下流にある岩場で戦闘を行いました」
今は俺の代わりにシノが説明を代わってくれている。正直俺はあの森の中の地形など覚えていないからシノに任せるしかなかったのだ。
リュゼはというとギルドマスターと戦闘時に受けた感触について話していた。
「それでどんな感じだったんだ」
「はい。それが普段のウェアウルフよりも統率がとれていたように感じました。なんというか意思疎通が行われているような」
「それは普通ではないな。Cランク以下のやつらは行かせない方がよさそうだな」
そんなことを話しているとセレナさんが戻って来た。
「マスター。一応今この街に滞在しているBランクパーティーの二つとAランク冒険者の方へ連絡しました。すぐに用意してくるようです」
「よしわかった。じゃあ部屋を変えよう。悪いが今の話をもう一回お願いできるか?」
「はい。今の話でよければいくらでも」
そうして俺たちは集まって来た高ランク冒険者の人たちに対してもう一度説明をした。
「マスター、この話本当なんですか? 初心者のやつがわざと大きく言ってるとか」
集まった冒険者のうちの一人が真剣な表情で質問をしてきた。内容は明らかに失礼だがそれは仕方のないことだろう。今までにも初心者の間違いで高位の冒険者が出動したが何もなかったなんてことは一回や二回で済む回数じゃない。
それに周りの冒険者の人も何人かはそう思っているらしい。
「いやそれはない。この3人のステータスを確認させてもらったが通常のウェアウルフなら余裕で倒せるやつらだ。そんな奴らがおかしいっていうなら何かあると思って間違いない」
そうギルドマスターには冒険者たちが集まる前にステータスを見せていた。相手の強さを図る基準にどうしても俺たちのステータスを確認したいそうなので。ギルドマスター以外の誰にも見せないという契約の元ステータスを教えたのだ。
「そうですか。君たちすまんね。信用していないわけじゃないんだがこっちも仕事なんだ。行っても何もありませんじゃ困るからね」
「それはわかっています。先輩がたが気にするのは当たり前だと思います」
「話は以上だ。今から行動に移してくれ。キングウェアウルフを見つけたら戦闘するんじゃなく一度戻って来い。戦うのは全員そろってからだ。わかったな」
そうギルドマスターが言うと部屋全体から返事が返ってきた。
そして冒険者たちはキングウェアウルフと戦うための作戦会議を始めた。
この作品の続きが気になる、面白いと思った方はぜひ下の☆をクリックして応援していただけると嬉しいです!!!




