家探し
奴隷契約が済んだ俺は家を選んでいた。
「レイン様、家を買うにあたってなにか条件などはございますでしょうか」
「そうですね、とりあえず3人が暮らせる広さの家で。あとは居住区とは別に離れに工房として使える場所がある物件がいいですね」
「ちなみにその工房で何を作るのか教えてもらうことは可能ですか?」
「魔道具ですね。魔道具以外にも武器とか防具も作りたいので、鍛冶場があればなおいいんですけど」
「それなら確かご要望に沿える家が一軒ございますので、まずはそこに案内しましょう」
俺と奴隷の二人はグレンさんに連れられて馬車に乗り込んだ。二人は当然のように俺の左右に座ったのだが正直美少女二人に隣に座られると緊張してしまう。
「今から案内する場所は前に鍛冶師の方が住んでいたところです。レインさんの工房にも使える離れのある家は、うちの商会では今そこだけとなっております」
少しの間馬車に揺られていると到着した。
馬車から降りて見ると、とても豪華な屋敷が建っていた。
「あの、本当にここで合ってますか? どう見ても貴族様の屋敷にしか見えないんですけど」
そこにあった豪邸は前に見たこの街の領主の館とそこまで大差ないほど大きなものだった。
「はい、ここで間違いございません。こちらが当商会が保持していて唯一レイン様の要望に沿える物件でございます。まずは屋敷の中をご覧ください」
そう言ってグレンさんは屋敷の中を案内してくれた。外から見ると豪華な屋敷だが、中を見ると思ったよりも機能的な作りになっていた。
ちなみに俺の目的であるトイレと風呂だが、トイレも改造できそうだし、お風呂場が作れそうな場所も見つけられた。
次に鍛冶場にも案内してもらった。鍛冶場は思っていたよりも広く、作業スペースも多いため、魔道具の工房としても使えるだろう。
「どうでしょうか、レイン様」
「そうですね。俺の希望にとても沿った家なのですが、とても大きくて管理できるか、それにこんなに大きな屋敷だと一体いくらくらいになるんでしょうか」
「ここの屋敷なのですが、通常の値段よりもものすごく安くなっているんです。前の持ち主の方がうちの商会に売った時に条件をいただきまして。それに沿わない相手には売らないでほしいと。その代わりにこの屋敷もだいぶ安く買わせてもらったのですが」
「その条件っていったい何なのですか?」
「それはこの鍛冶場をちゃんと使える者に売ってほしいと。ですが、安くはなったといってもこの屋敷を買って維持できる職人の方はなかなかいらっしゃらなくて、もうこの屋敷も10年ほど売れ残ってしまっているんです。それにこれほど大きな屋敷を管理するのにも結構かかりますので、早めに売ってしまいたいと年々値段を下げているんです」
「ちなみにその具体的な額って」
「大金貨10枚でございます」
大金貨10枚か。それは破格だ。しかしこの屋敷を買ったとして管理できるかどうか。そんなことを考えていると後ろから声がかかった。
「あの、ご主人様。屋敷の管理でしたらお任せください。私とリュゼで話していたのですが、管理できないほど大きくはありません」
そう話しかけてきたのは獣人族のシノだった。二人で何か相談しながら屋敷を回っているなとは思っていたが、そんな話をしていたとは。
「そうです。掃除などは私たちがやりますので、ご主人さまは気になさらないでくださいませ。それと、正直これ程の屋敷を大金貨10枚でというのは破格です」
リュゼも自分にまかせてほしいと言ってきた。
後半を俺以外に聞こえないようささやいてくれたのは配慮してのことだろう。確かに安いのはわかるが、本当にいいのだろうか。
「グレンさん、少し二人と話してもいいですか?」
「えぇ、どうぞ」
返事を聞いた俺は二人に話しかけた。
「正直俺には、この屋敷を二人で管理しきるのは難しいと思う。屋敷にずっといるなら別だが、二人には俺の護衛としても活動してもらうことになる。そうなると屋敷にいる時間はそれほど取れないぞ」
「それなら大丈夫です。私が風魔法を使って掃除できますから、広さは問題ありません」
そうリュゼが答えた。
「私も家事スキルを習得しておりますので、細かなところは私にお任せください」
今度はシノまでそんなことを言ってきた。
スキルや魔法でそんなことができるのか。それなら管理もできるかもしれない。二人もやる気みたいだし、問題は俺の財布と決断力か。
正直ここまでいい物件は探してもなかなかないだろう。鍛冶場付きの家なんてなかなかない。
条件を出した俺が言うのもなんだが、正直そんなものなんてないと思っていた。最悪離れがあれば自前で炉を作り、一から工房を作ろうかと思っていたくらいだ。
2,3分考えた末に、俺はこの家を買うことにした。
「わかりました。この家を購入させてください」
「ありがとうございます。それでは一度商会の方に戻り、手続きと鍵のお渡しをいたします」
俺はどうしてこうも押しやセールに弱いのだろうか。そんなことを考えながら商会に戻ってきていた。
「こちらレイン様の屋敷の鍵と、こちら屋敷の権利書でございます。それと最後に、家を購入したものは年に一度領主様に税金を納めなくてはならないのでご注意ください」
「わかりました。今日はありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました。また何かご入用になりましたら当商会をよろしくお願いいたします」
こうして俺は立派すぎる屋敷を手に入れてしまった。
この作品の続きが気になる、面白いと思った方はぜひ下の☆をクリックして応援していただけると嬉しいです!!!




