大きな買い物
戻ってきたグレンさんは二人の女性を伴っていた。グレンさんは椅子に座り、二人の女性はその後ろに立った。
二人の見た目は普通の人間とは少し違っていた。一人は角としっぽ、もう一人は耳としっぽが生えていた。
「こちら当商会おすすめの戦闘奴隷でございます。ほら、お前たち自己紹介しなさい」
そういうと、まずは角としっぽが生えた女性が挨拶をした。
「リュゼといいます。竜人族です。盾と剣を使った戦闘が得意です。ぜひともよろしくお願いします」
とても奴隷とは思えないほど美少女だ。角が生えてるのは竜人族だからだろう。確かに尻尾もどこか鱗っぽく見える。
次に耳としっぽが生えた女性があいさつした。
「私はシノです。斥候が得意で短剣を使います。獣人族です。よろしくお願いします」
この子もとても美少女だ。獣人族というだけあって、確かに動物の耳とふさふさのしっぽが生えている。
「二人とも当店自慢の奴隷でございます。ぜひレイン様にご購入いただければと」
「精一杯働きますのでよろしくお願いします」
「私も出来る事なら何でもしますので、どうか」
奴隷の二人が自分を売り込んでくる。正直、こんな美人な人に迫られると断りづらい。
自己紹介を済ませた二人は部屋から出て行った。
「どうですかレイン様、あの二人は」
「正直、自分にはもったいないくらいの美人ですね」
「そうでしょう。うちには今、あの二人以上の奴隷はいませんから。ちなみにあの二人はメイドの教育も完了していますので、身の回りの世話も出来ますよ」
「ちなみになぜあの二人は、なんであんなに自分を売り込んでくるんでしょうか」
「それは自分の待遇を考えてでしょう」
そういうと、グレンさんは説明をしてくれた。
女性の奴隷を買う人は主に三種類いるらしい。お金持ち、お年寄り、冒険者だ。
それぞれ買う目的は違い、お金持ちの場合は性奴隷や愛人として。お年寄りは自分の介護として。冒険者は自分のパーティーメンバーや護衛として。
お金持ちに買われた場合、気に入られれば愛人になって出世できる可能性はある。しかし大体正妻の方がいるらしく、主人に気に入られても周りからは嫌われてしまうらしい。
次にお年寄りに買われる場合だが、主に介護目的で買われるらしい。お年寄りだと夜の相手もなく、奴隷としてはとても楽らしい。しかし介護のため奴隷を買う人はごく少数らしい。
最後に冒険者だが、主人側も奴隷に命を預けるためか自然と待遇は良いらしく、戦闘がある程度できる奴隷からすると一番のねらい目らしい。
「しかし奴隷を買う冒険者の方はあまり多くありません。なので彼女たちの行動は、この機会を逃したくないという心理からくるものだと思います」
それであんなに必死に売り込んできていたのか。それなら納得だ。できる限りいい待遇のところで働きたいというのは、前世でもこっちでも一般人でも奴隷でも同じなのだろう。
「ちなみにこれは余談ですが、あの二人は性奴隷になることを承認しています。それに生娘です。なので病気の心配も一切ございません。それゆえ少々値は張ってしまいますが」
「そ、そうなんですか。ちなみに値段っていくらくらいなんですかね」
「二人合わせて大金貨20枚でございます」
「少し考える時間をもらえませんか?」
「えぇ。かまいませんよ」
正直、この先俺がこの世界で生きていくためにもパーティーメンバーはほしいと思っていた。しかしこっちに知り合いは一人もいないため、メンバーの当てもない。
それに死と隣り合わせの冒険者だ。もしもの時、見捨てられないとも限らない。そう考えると、奴隷をメンバーにするのは悪くない話なのかもしれない。
今回のクリスタルホーンラビットの収入で懐は潤っているので、大金貨20枚も払えない額じゃないが、俺はほかにも買いたいものがある。
「もう少し安くなりませんかね?」
「正直これでも結構値段の勉強はさせてもらっているんです。これ以上はさすがに厳しいですね」
「それなら家を買いたいと思っているんですが、それも一緒に買うので、もう少し安くしてもらえませんか?」
グレンさんは少し考えた後、こう答えた。
「わかりました。二人の値段をこれ以上下げることはできませんが、家の方の値段を勉強させてもらいます」
「ありがとうございます」
「では一度準備をしてきますので、少々お待ちください」
そういってグレンさんは部屋から出て行った。
買ってしまった。買うつもりなんて全くなかったのに、まんまと口車に乗せられてしまった。
それに大金貨40枚も手に入れた後に、あんな美少女二人が大金貨20枚なんて安いと思ってしまった。
「どうするかなぁ」
もともとは売ったお金で家を買って、自分の工房を持ってしばらくのんびり過ごそうと思っていたのだが、想定していた数倍の出費になってしまった。
「冷静になって考えると大金貨20枚って二百万円もするんだよな」
そんなことを考えながら少し待っていると、グレンさんがさっきの二人と数人の従業員を連れて戻ってきた。
「それでは先に奴隷契約の方を始めましょう。レイン様、左腕を出してください」
いわれた通りに左腕を出した。
まずグレンさんが連れてきた従業員が、二人の方に向かって何かブツブツと詠唱をした。
詠唱が終わると魔法陣みたいなものが浮かび上がり、俺の方に飛んできた。俺の左手の甲のところで止まり、従業員が今度は俺の方に向かって呪文を唱えた。
すると俺の甲にその魔法陣が刻まれた。
「これで契約は完了です」
こうして俺は正式に二人の主人となった。
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