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4話 楓花ちゃん到来!(前篇)

 太一は、走っていた。

普段走り慣れていない太一には、かなりきつい運動だった。

駅周辺を走りながら、虱潰しに深見優子を探している。

額には汗がびっしり浮かんで、今にも目の中に入りそうだ。

現在PM6:00。ビルの隙間から見える沈みかけの夕日は、妙に赤黒い。

辺りはだいぶ暗く、日はどんどん沈んでいく。

行先を知らないので、闇雲に探すしかなかった。

太一は、不吉な予感を感じていた。

今までの人生の中で、太一の予感は当たったことがない。

その予感は、ただの不安からくるのかもしれない。

いわゆる強迫観念というやつだ。だが、解消せずにはいられなかった。

モヤモヤとした何かが心の中で渦巻いているのだ。


「ここらへんには居ないか。あ、そうだ。携帯に電話かけてみよう」

感じたことのない焦りに、今まで携帯の存在を忘れていた。

prrrrrrr

「おかけになった電話は、電源が入ってない状態か・・・」

ピッ

携帯を切る太一。

「くそっ、でないか・・・。暴漢なんかに襲われてなければいいけれど・・・」


駅周辺にはいないようなので、西へ向かった。

そちらの方角には、住宅街があるからだ。

優子の家があるとしたら、住宅街だろうと太一は考えた。

高層ビル群を抜け、走ること十分。急に開けた場所にでた。

そこは、建造物の工事現場だった。

あいたま新都心の付近は、未だに開発途中の土地なので、工事現場は多く存在した。

太一は、付近に誰かいないか、暗い中目を凝らして呼びかける。


「深見さーん!いるなら、返事してくれー!」


付近を模索する。連なる工事現場を一つずつみてゆく。何番目だろうか。

工事現場の中に、人影が見えた。どうやら何人かいるようだ。

話している声が聞こえてくる。

太一は、気配を消しつつ、工事現場の中に入り、木材の陰に隠れた。

そこにいるのは、男三人と女一人のようだ。段々と暗闇に目が慣れてくる。男たちの格好は、まるで世紀末っぽい恰好だった。


「いやぁ、君かわいいねぇ。どうして、こんな場所に一人でいるのかなぁ?ここらへん、危ないお兄さんたちがいるって、教えてもらわなかったのぉ?」

甲高い男の声で、金髪のモヒカンヘア。

「やめてください!私、急いでいるんです。離してください!」

聞き覚えのある少女の声。

「ちょっと、色っぽさがたりねぇが、こうゆうなんていうの?いかにも、可愛いって感じの女の子が苦しむ顔がみてみたいぜ」

「キエエエエエエエ (ロリ系マジ好み)」


(深見さんが危ない!!)


太一は、勢いのまま現場に飛び込んでいた。

そこには、三人のチンピラが、深見優子を取り巻く構図ができあがっていたからだ。


「深見さんを離せ!!」

「先輩、どうしてここに・・・」。

「なんだおめぇ?俺らは、この娘とこれからいいことしようって感じなんだけど、邪魔とかしちゃってくれるの?」

甲高い声のチンピラが、太一を睨みつける。威圧に、太一は少しひるんだ。

「翔さん、こいつボコッちゃっていいんじゃないんすか?何様かしらんけど、こいつマジうざいっすよ」

「キエエエエ(ムカつく)」

「俺は、深見さんの・・・・先輩だ!だから、即刻彼女を離せ。でないと、痛い目にあってもらう!」

三人のチンピラに立ち向かう太一。今は、恐怖よりも、怒りが勝っている。

「ふーん、じゃ、今日のリーダーへのお土産は、こいつらに決定だな。いくぞ、おめええら」

臨戦態勢にはいるチンピラ。


「しょうがない、俺の力をみせてやる」

太一は、腕をあげ、手のひらを空にかざすと、周囲がざわつきはじめ、風が起こり始めた。

その風の威力は、どんどんと強くなっていく。

「なんだ、急に風が吹き始めたぞ・・・。もしかして、お前、能力持ちかよおお」

「俺のかわいい後輩に手をだしてくれた落とし前はつけさせてもらう」

勢いがどんどん増し、工事現場の中だけ暴風域になっていた。

チンピラたちは、全く動けないでいた。

工事現場内の軽い備品などは、空へ舞いあがっている。

その風の中では、目を開けることすら困難であった。

「さぁさぁ、どうした。動かないの?俺をぼこるんじゃなかったの?」

「くっ、だから、能力持ちはたちが悪いぜ・・・」


チンピラたちが動けない隙に、太一は、深見優子の元へ近づいた。

「深見さん、深見さん!この風が吹いているうちに、逃げるんだ」

「えっ、でも、先輩を置いていくなんて無理ですよ」

「ゆっくり話し合っている時間はないんだ。この風は、五分間の間しか、吹かせられない」

「えっ、そうなんですか!?じゃあ、先輩は、私が逃げた後どうするんですか?逃げるんですか?」

「いや、風見さんが逃げ切るまで食い止めるか、もしかしたら、ぶっ倒しちゃうかもだけど」

「先輩・・・。本当に心配なんです。無事に帰ってきてくれますか?」

悲しい顔をした優子に、太一は、笑顔でサムズアップした。

「俺が、こんな奴らに負けるわけにはいかないだろう?」

「わかりました。先輩のこと、信じます」


 そう言うと、深見優子は、工事現場の出口に向かい、走り出した。この風の中でも動ける優子は、なかなかタフだなと太一は思った。太一は、優子を逃げるのを確認した。

(あんなこといったけど、俺の能力って使えないんだよなぁ)

太一の能力は、風を五分間しか吹かせられない寂しい能力である。しかも、他に戦えるような技もないし、肉弾戦も得意ではなかった。そんなことを考えているうちに、五分立ってしまった。次第に風が収まり、周囲が静まりかえった。


「お?風が止まりましたね、兄貴。これで、あの兄ちゃん倒せますぜ」

「馬鹿野郎。おまえらよく見てみろ。さっきの嬢ちゃんがいなくなってんぞ。お前逃がしやがったな?」

顔を引きつらせた翔。額に青筋が立つほどだった。

「お前らが、風でおどおどしている間に逃げてもらったのさ。まぁ、お前らの相手なんて俺一人で十分だ。」

太一は、近くの木材を拾い構えた

(何もないよりはましか。こうなりゃ、やけだ)


戦いの始まりである。

「いくぞ!俺の太刀を受けてみろ!」

そして、十分後。太一はぶっ倒れていた。

太一の素人な剣筋なぞ、喧嘩慣れしたチンピラたちには、全く歯が立たなかった。

「お前、口だけは一人前だ・・・なっ」

太一の鳩尾に翔の拳が入り、崩れ落ちる。今まで感じたことない痛みと吐き気が、太一を襲った。

「ぐはっ」

「おらおら、どうした?こんなんじゃ物足りないぞ?」

倒れた太一の顔を、足で踏みつける。


(女の子の前だからって、かっこつけすぎたかな)


あの場合、深見優子を逃がすことしか、太一にはできなかった。

今まで、運動も武道も大してしてこなかった太一には、あれしかなかった。

それでも、女の子の前では、恰好をつけてしまう性格。

しかも、かわいい後輩だ。自分が殴られれば澄むなら、それでいいと考えたのだった。

「くそっ、このままやられてたまるかあああ」

太一は、立ち上がり、最後の一撃を打ち込んだ。

「おせぇよ。ゴルァ!」

チンピラBは、渾身の余裕でかわし、カウンターの回し蹴りが、太一の顔に入る。

「うがああああああああ」

太一は、獣のような声を上げる。ドラム缶の山に吹っ飛んだ。目の前が真っ暗になりかけた。

「キエエエエ (俺様が手を出すこともなかったな)」

「お前ら、とどめを刺すぞ、やっちまええ」

チンピラたちが、襲ってくるのを目視したのを最後に、太一の意識は飛んだ。

一瞬、チンピラたちの背後に人影がみえたような気がした。


 太一は暗い闇の中にいた。絶え間ない痛みが、全身を襲う。辛い、苦しい、怖い。

そんな気持ちが、太一の胸の中に渦巻いていた。


(うぅ、痛いのは嫌だ。 辛いのも嫌だ。 苦しいのもすごく嫌だ。痛いのは嫌だ、嫌だ、嫌だ)


意識が朦朧としている中で、そんなことを思う。

打撲、擦り傷、切り傷、様々な傷を先ほどの喧嘩で負うはめになった太一。

今までの人生の中で、ここまでの怪我を負うことなんてなかったのだ。

太一は、耐えていた。

耐えることは、とても辛い。

何分たったのであろうか。

数時間たったようにも感じるが、もしかしたら、数分しかたってないのかもしれない。

急に、一筋の光が、天高くからさしこんできた。

その光は、とても暖かく気持ちよかった。


(あれ?痛みが消えて行くぞ。体が軽くなってゆく)


光を浴びた部位から、どんどん傷が癒えて行く。

そして、傷痕さえ残らず完全に治癒した。太一は、自分の体をあちこち確認した。

「すごい!傷が全部回復している!」

太一は、飛び跳ねて喜んだ。痛いことが、本当に嫌だった。

「あー、なんて情けない奴なのかしら。ほんと、それでも男なのって感じ?」

太一は、声が聞こえる方向へ意識を向けた。

そこには、小さな人が空をぷかぷか浮いていた。

長い金色の髪に、少し尖った耳。瞳は、燃えるように赤いワインレッド。

鼻は高めで、口はとても小さい。緑のドレスを纏った、美女であった。いや、美女ではあるのだが、顔は童顔だった。

「痛い、痛いって、あんたもう高校生でしょ?少しぐらい男気みせなさい、ぽりぽり、ぐびぐび」

小さい美女は、片手にビール、片手にチー鱈を持っていた。

見た目は、フランス人形のように可憐なのに、おっさんみたいな酒とつまみのチョイスである。

「うっ、確かに、俺は痛みとか辛いこととか苦手だよ。でも、そこまで言わなくても・・・」

太一は、へこんでいた。

「ていうか、君は誰さ!?」

「普通、自分から自己紹介するものでしょ。まぁ、いいわ。私がじきじきに自己紹介してあげる。見てなさい」

彼女は、ビールとチー鱈を足元に置いた。


「初めまして。私は、風の精霊、楓花よ。以後お見知りおきを。楓花ちゃんって呼んでね♪」


スカートを両手でつまみ、仰々しく礼をする楓花。ビールを飲んでいた時の、おっさん臭さはなくなっていた。

一人の可憐なお嬢様が一瞬だけ垣間見えたのだ。

お嬢様モードの楓花は、とても可愛かった。

だが、挨拶が終わると、どっかりとあぐらをかき、ビールを飲み始めた。

「私ってさー、お嬢様ルックスでしょ?だから、こうゆうキャラ、世間受けいいからやっているのよね。まぁ、君の前じゃやらないから安心して。じゃ、次、君の番ね」

「ええと、名前は、風上太一。歳は、16歳で、春から九曾高校に入学することになっているんだ」

「うん、全部知ってる。とりあえず、太一って呼ばせてもらうわね」

ばっさり切る楓花。

「ひどい・・・」

「私が、気分よくお酒を飲みながら帰宅途中に、太一の声が聞こえたのよ。風の能力を持っている人間は、あまりいないから興味が湧いたのね。だから、どんな人物か見に行ったら、病院のベッドで苦しそうに寝ていたから、助けてあげたの」

太一は、思い出した。深見優子を助け、チンピラに怪我させられたことを。

「そうか、俺はチンピラに殴られて、怪我して・・・。誰かが病院に搬送してくれたんだ」

「あれ?ここはどこだろう。今、病院にいるはずじゃないのか?」

辺りを見回す太一。二人を照らす光以外は、全て闇に包まれていた。聞こえる音は、太一と楓花の声しか聞こえなかった。

「私たちの今いるここは、太一の精神世界よ。だから、安心なさい、恐れることはないわ」

「俺を助けてくれるなんて、君は優しいんだね」

目を細める楓花。

「太一、私はあなたを助けたのは善意だけじゃないわよ。慈善事業を行っているわけじゃないんだからね。教えてあげる、本当の理由を」




地の文って、本当に難しいですね。

自分の語彙の少なさに、驚きます。

もっと、日本語勉強しなければ・・・。

何かおすすめの勉強方法とかがあれば、教えてください。

よろしくお願いします。

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