21話 一之瀬恋璃、まさかの引退2
今更ながら、シュタインズゲートをみていました。
やっぱりSFものっておもしろいですね~
映画もやってるし、見に行こうかなぁ
「・・・上、風上君!!」
「ハッ!」
太一は、自分の名前を呼ぶ声に、意識が覚醒した。
ガタッと音を立て、立ち上がる太一。周りの生徒は、太一に視線を集める。
やっと状況が読み込めてきた。どうやら、危惧していたことが、現実になってしまったらしい。
「君、大きないびきをかいて、授業進行を妨害するつもりかい?私が警官だったら、公務執行妨害で逮捕しているよ」
「すみません・・・」
周りから笑い声が聞こえてくる。
顔から火がでるような思いに駆られるのであった。
「罰として、95ページの最初から読みなさい。今から彼が読むところは、能力学でも基本で、大事なところだからみんなもしっかり聞いているように」
太一は、能力学95ページを開き、読みだす。
「ええと、能力とは、感覚の一種とされている。嗅覚、触覚、視覚などの一種である。能力を能覚とも言われ、我々人類が能力を知覚できるようになったのは、ここ100年の間である。なぜできるようになったかは未だに解明はされていないが、国同士の戦争によるものが大きいとも言われている。人間は、戦争の中で様々な化学兵器を使用した。特に、核兵器は素の人間には太刀打ちできる代物ではない。核戦争が行われる中で、人間の新たな防衛本能が目覚めたのではないか。こう捉えている学者も多くいる。その能力は、今では人類を助ける一つの道具になっている。が、それを悪用するものも多く表れる。60年代前半から能力を扱う犯罪者集団が現れ、多くの人々を殺害し、凶悪な事件が勃発した。今では、各国のPSCによってだいぶ鎮静化されたが、まだまだ能力を悪用するものは絶えることはない」
「ここまでで結構。今日の能力学の大事なところは、2点。能力は、感覚の一種。もう一つ、能力というものは、科学の力によって能力値の増幅および、技能の補助は禁止されている。強化や補助をすれば、感覚の相互バランスを崩して人格に影響が出るというケースもあるということ。これぐらいだね」
「宿題は、90ページから100ページを要約してくること。石田、いつも宿題忘れるんだから、忘れないように、手のひらにマジックで書いときなさい」
石田タカシに、冗談ぽくつっかかる教師。
「・・・」
「石田、聞こえているのか!」
「はい、先生」
「いつもの元気がないな。はい、今日の授業は終わり」
そう言い終わると、終了のチャイムが鳴った。
授業が終わると、早速、九条蓮華の周りにFクラスの生徒たちが集まる。
転校生が来たときの恒例、質問タイムだった。
「ねぇねぇ、九条さんは、どこからきたの?」
「なんで九条さんは、髪を全部隠しているの?」
「九条さんの好きな食べ物って何?」
どんどん質問攻めをされてゆく九条。太一は、傍からその様をみていた。
すると、九条はいきなり席から立ち、教室から出て行こうとする。
ドアを開け、少しだけ振り返り、一言つぶやいた。
「ごめんなさい。そうゆうの、あまり興味ないんです」
教室の扉が閉まる。九条を取り巻いていた数人が、取り残される。
「なんだよ、あの態度。ムカつくな」
「何か気の障ることいったかしら・・・」
「なんか嫌な感じだね」
取り巻き立ちが、口ぐちに文句を言って散った。クレアと聖生さんも何かを思ったらしく、太一のほうへやってきた。
「どうしたの?聖生さん、クレア」
「さっきの見ていたでしょ?九条さんとのやりとり」
「うん、見ていたよ。あの子、あまりクラスに溶け込む気がないみたいだね」
「そうね。でも、私的には、みんなと仲良くなってほしいとおもうのよ」
「はい、私もそう思います。せっかくの新しいクラスメイトなのに、仲良くなれないなんて勿体ないです!」
「でも、どうやったら仲良くなれるのだろうね・・・」
「そうね・・・」
九条蓮華が、どうしたらクラスで打ち解けることができるのか、太一たちの話は、お昼休みまで続いた。普段は、石田タカシの4人を含む面子で食事をしていたが、今日は、太一、静、クレアの3人で食事を取っていた。
場所は、いつもの屋上だ。
「うーん、思いつかない・・・」
「そうね、大した意見が出てないわね」
「じゃ、3人の意見を一度まとめてみませんか?」
静が、苦しむ2人に提案する。
「それがいいわ」
「まずですね、風上さんの意見はですね・・・。九条さんを誘って食事会をする、です」
「やっぱり、美味しい食事をみんなで取れば、仲良くなれるとおもうんだよね」
「それもなかなかいいわね」
「次は、クレアちゃんの意見です。ええと、勉強会をして、私の学力をみんなで向上させる、です」
静と太一は、クレアの方をみる。
自己中な意見に、冷ややかな目線を送る。
「え、なんで、二人ともそんな目でこっちをみるの!!みんなで私の勉強を教えれば、きっと仲良くなれるはずよ!私の学力を上げるのは、根気を要するわ。だから、きっと困難を乗り越えて、絆は強くなり、ついでに私の学力が上がり万々歳よ・・・。はい!すいませんでした!ただ、私の学校生活を楽にする方法を、ご教授願いたいだけです!」
クレアの相変わらずのキャラに、太一と静で笑いあった。
「そういえば、九条さんのことで忘れていたけど、石田はどうしたの?」
「今朝からタカシの様子がおかしいんだ。話しかけても、呆けているし。昼食も誘ったのだけど、今日は一人で食べたいってさ」
「心配ですね。石田さんは、いつも元気いっぱいなんですが。授業中もなんだか変でしたね」
「そうだね。放課後にでも、タカシと少し話してみるよ」
「うん、お願いね。石田のツッコミがないと、調子狂うしね」
「了解。いろいろと話してみるよ」
3人が昼食を終えて、クラスに戻ろうとした。すると、屋上のドアが、音を立てて開いた。そこには、井九佐 美咲が立っていた。
太一とクレアは、臨戦態勢を取る。一度、勝利した相手だが、また襲ってくるかもしれない。だが、それはいらない心配だった。
「静あああ。一緒に、ご飯しようよ!」
ぴょんぴょん飛び跳ね、こちらによって来る。以前の冷たい美咲は、そこにはいなかった。
「美咲ちゃん、もうご飯食べちゃいましたよ?」
「え!?もう食べちゃったの・・・?」
驚いた表情を見せ、だんだん顔が歪んでくる。今にも泣きそうであった。
「泣かないでくださいよー。これあげるから、泣き止んでくださいね」
静は、スカートのポケットから飴を取り出した。
「静、ありがとう。また夜に電話するから、待っていてね」
満面の笑顔を作り、屋上から出て行く。
「ねぇ・・・?井九佐って、あんなキャラだっけ?」
「正直、俺も驚いた」
「あの戦いから、ずっとあんな感じになってしまったんです。まぁ、美咲ちゃんとまた仲良くなれたので、良しとします!」
静は、とても嬉しそうだった。
太一とクレアは、学内で一番強いのは、ある意味静なのかもしれないと思った。




