表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/22

18話 神の雷

めったにひけません。

夕焼けの河原に八人の九曾の生徒たちが集まっていた。

AクラスとFクラスの生徒である。

「さぁ、戦いを始めましょう。沈みかけの夕日が背景なんて、風流で結構ね」

夕焼けを一瞥して、目を細める井九佐 美咲。

「こんな場所で戦って、周りの人たちに迷惑がかかるじゃない。しかも、校外での戦闘は禁止のはずだけど」 

「そうね、校外での戦闘は、他の市民を巻き込む可能性があるから禁止されているわね。でも、大丈夫よ、明日葉。世の中には、便利なものがあるのよ」

Aクラスの生徒たちが、河原の四隅に四角い結晶のような物を置く。

すると、辺りの景色から人々及び建物が消えて、夕焼けだけが見える。

「これって、よくいう結界ってものよ。これで、心置きなく戦えるわね。あなたたちの要望で、今回は二組のタッグ戦よ。ま、私は、聖生静と戦えれば何だっていいのだけれど」

太一たちは、静だけを戦わせるのは気が進まなかった。

ならば、援護できるタッグ戦ならまだ安心だと考えたのだ。

「ルールを確認しとくよ。武器ありのフリーマッチで、戦闘不能になったほうが負け。2チーム対2チームのタッグ戦で、2試合行われる。1勝につき1ポイントで、2ポイント獲得したほうが勝利。引き分けになった場合は、代表チーム同士の再試合でいいよね?」

「いいわよ、明日葉。日が暮れてしまうわ。始めましょう」

第一試合目

明日葉ゆかり・風上太一

     VS

福二卓郎・金子智樹


 試合前に、太一の頭の中に声が響く。

(太一、ちゃんと戦いの準備はできた。今回は、初めて風椿を使うのだから、しっかりしてよね!)

この声は、楓花だった。

(楓花ちゃんて、こんな頭の中で会話なんてできる厨二キャラだったの!?)

(厨二キャラって・・・。今、私は風椿に宿っているのよ。だから、直接話すことはできないわ)

(あ、そういえば、風椿って、楓花ちゃんが宿らないと機能しないんだっけ?)

(そうよ。私がいないと、この刀はただのおんぼろなんだから)

(うん、がんばるよ。楓花ちゃんの特訓をここで活かしてみせる)

(がんばるのよ。私も精一杯がんばるから)

「ほら、風上君。相手が待っているよ。クラスの名誉のためにも、私たちが頑張ろう」

頭の中で会話していた太一に、明日葉ゆかりが話しかける。どうやら、呆けているように見えたらしい。

「そうだね。やってやろうよ!」

Aクラス側では、井九佐と他2人が話し合っている。

「福二君、金子君。容赦してなくていいから、潰してしまっていいわ」

「井九佐の嬢さんのために、会長のために負けるわけにはいかないっすねぇ。おい、金子。本気だしちゃっていいっすからね」

「ウゥ・・・わかった」

明日葉と太一は、福二と金子に対峙した。

福二は、やせ細った体つきで、短い髪を全て立たせている。

顔は、まるでキツネのように細い輪郭をし、目は吊り上がっている。

それに対して、金子は、かなりの巨体で、2mくらいの身長があるだろうか。

熊のような見た目で、でかい剣を持ち、仁王立ちしている。

太一は、持ってきた刀を抜いた。

これは、楓花から特典で貰った風椿だ。

この刀の長さは、1m40㎝くらいだろうか。

鞘は黒く光、高級そうな雰囲気がする刀だった。

太一は、以前からこの刀は、どんな刃をしているのか気になっていた。

だが、刀を引き抜こうとするたびに、楓花は言った。

「私が宿るまで、この刀を抜いちゃだめ」

と一言だけ言われていた。なので、この刀が振れる日がやっと来たのである。

「よし、いくぞ!」

太一は、刀を一気に引き抜いた。

妙に軽い、太一の最初の感想だった。

あまりにも軽いので、刃先をみた。そこには、刃がなかった。

厳密に言うと、刃はあるのだが、あまりにも短かった。

「ええええ!?なんで刃がないの!?」

太一は、思わず声に出してしまった。

「風上君、その刀で戦うの・・・?」

「どうしようもない刀持ってきちゃって。Aクラスも舐められたもんっすねぇ」

「あいつ、しょぼい」

仲間からも、敵からも批判を受ける太一。急いで、頭の中の楓花に話をかける。

(楓花ちゃん!どうゆうこと!?刃がない刀なんて、ただのおもちゃだよ!)

だが、話しかけても楓花は、返事をしなかった。太一が慌てているうちに、試合の笛がなった。

「風上君、もう時間がはじまったから、戦いに集中して」

「うん・・・」

明日葉は、ナイフのようなものを8本、腰に巻いているバックから取だした。

片手に4本、4本を一辺に持ち、腕を交互に振りかぶり投げた。

ナイフは、福二と金子に飛んでゆく。

が、福二と金子は、いとも簡単に避ける。

福二は、周りに張られた電流に当たり焼け焦げ、金子は大剣で薙ぎ落す。

「ま、こんなのじゃ掠りすらしませんかね」

投げたナイフの行き先を見届け、ごちる明日葉。

「飛び道具使うのね、明日葉は。井九佐嬢さんの恨みは、おいらが晴らさせてもらう」

福二は、腕を前にだした、そこから、電流の波が放出され、明日葉を襲う。飛ぶ矢よりも速い電流を横に跳び回避しようとするが、電流の速さのほうが上回っていた。

「ちょ、ぎゃあああああ」

「明日葉さん!!」

「仲間の安否を気にしている場合じゃないっすよ」

太一は、前に振り向いた。目の前には、一気に詰め寄る金子の姿があった。斜めから振り下ろされる大剣を、間一髪で回避した。

「あぶな・・・」

態勢を立て直した。意識を集中に、無数の風の刃を出現させる。なおも追撃をしてくる金子と福二に風の刃が襲いかかる。

「あいつ、風使いか。くそっ、数が多すぎる」

「うがあああ」

奴らが攻撃を苦戦している間に、明日葉に近寄る。

「明日葉さん、立てる!?」

片腕を抑えながら、よろよろと立ち上がる明日葉。周りの地面は焼け焦げ、煙を上げている。

「だ、大丈夫よ。いきなりの電撃で、ちょっとびっくりしちゃっただけ」

「あまり無理しないでね」

「何言ってるの。一撃さえ当たれば、私の勝ち。私は、あの短髪キツネ目野郎をやらせてもらうよ。心底ムカついたし」

「じゃ、俺はあのデカ物を倒す」

太一は、剣を見た。なぜか先ほどより、剣のリーチが長くなっていた。不思議に思ったが、これくらいの長さなら、戦えると思った。

「やっかいな攻撃してきやがって。次は、こんなもん効かないっすよ」

「うっがああ」

太一と明日葉は、走り出した。

明日葉は福二に接近する。

それを迎え撃つように、電流を帯びたパチンコ玉のような物体が何個も飛んでくる。

「何度もあんたの攻撃にあたってやりますかっての」

バックから護符を取出し、自分の周りに防御壁をだす。

電流の玉を見事全弾弾き返した。

「やるじゃん・・・!」

「私は、飛び道具だけじゃない!!」

明日葉は、先ほどより長いナイフを取出し、一気に間合いを詰め、五月雨のような突きを繰り出す。

流れるような連撃に、先ほどとは打って変わって守りに徹す福二。

体を引き、しゃがみ、電撃の壁で、防ぎかわしてゆく。

「嬢ちゃんのナイフ捌き、常人のそれじゃないっすね」

「褒めてくれてありがとう。でも、こんなもんじゃ終わらないよ」

片方の手に、もう一本のナイフを取出し、さらに連撃を繰り返す。

「どう、これで防ぎ切るのは無理じゃない?」

福二の身体に傷がついてゆく。

電流の壁が邪魔し、ダメージを軽減させているが、何本もの切れ目が無数についてゆく。

血は少しだが、飛び散る。

「これ以上は、じり貧っすね。なら、これならどうっすか」

明日葉の頭上に真っ黒い雲が覆う。

それは、普段頭上にある雲のような色暗さではなく、漆黒と呼ぶべき雲が出来上がり、一本の図太い雷が落ちた。

「なっ・・・!?」

明日葉は瞬時に防御壁を貼るが、それを破り、明日葉と福二を巻き込んだ。

地面を揺らすほどの大きな爆音が響き、衝撃は、数十メートルの範囲にまで及んだ。

太一と金子にも、衝撃波が襲う。

「明日葉さん!!」

太一は、耐えながら、名前を叫んだ。砂煙が舞、明日葉と福二の姿が確認できなかった。

先ほど明日葉と福二が戦っていた場所から、声があがる。

「あはは、俺の勝ちっすね」

砂煙が引いてゆく。

そこには、倒れた明日葉と立ち上がろうとする福二がいた。

「まぁ、俺の神の雷を使わせたのは、Fクラスの割にはがんばったほうっすかね」

立ち上がろうとした瞬間に、福二の膝が崩れ、地面に倒れる。

「あれ?なんで?足が動かないっすよ。嬢ちゃんの攻撃なんて、大して受けてないし、俺が神の雷の衝撃で動けなくなるわけがない」

「あぁー、あんたの雷、すごい威力ね。もう体が動かないわよ」

倒れた明日葉から声だけが響く。

「おい、明日葉あああ。なんでこの俺が、動けないか聞いてるんすよおおおおお」

怒り喚く福二。

「あんた、私が何か能力を使った記憶ある?」

「あ?」

「私の能力は、体内で毒を生成することができる能力よ。それを、私のナイフに塗りたくって、戦っただけ」

この時、福二の身体には神経性の毒が既に体内を駆け巡っていた。即効性のある毒を使用していたため、福二の身体は動けなくなった。

「ま、お互い動けないからドローってところね。Aクラスの能力者に、まともに戦ったら勝てる気しないもの」

「くっ・・・」

何をしても動かない体に、福二は諦めた。

「さすがだよ!明日葉さん!」

「風上君、あなたの戦いがあるのだから、がんばってね」

「わかった」

太一は、金子と向かい合い、走り始めた。







モチベーション維持が難しいなぁ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ