7月27日③ エンドロールは観る派
「この映画なんですか?」
差し出され一つのDVDには「景色」というタイトルが真ん中に書かれて、背景には雲一つない快晴の写真があった。
「『詐欺師』と言った私は結構適当で、詐欺師のイメージと当てはまってるように感じたんです。」
彼女は苦笑いしながら俺に話を続けた。
「『色んな顔を持っている』のが詐欺師のイメージなんですよね。」
「なるほど?」
確かにそのイメージはある。表の顔は優秀な人間だが裏ではネットを使ってサクラ商法をしてたりする人がいる世の中だ。納得がつく。
だから紀土元就は表向きは正体を掴めない少年を演じて、裏の顔はオラオラしてるのか?
「つまり、この映画を通して新しい『顔』を知れたとことですか?」
「そうですね…『顔』を知ることが出来ました。」
彼女の顔がまるで初恋を体験したような少女漫画のヒロインと同じ顔をしていた。まるでその顔で心が打たれたような。
「とりあえずこれを観てきてください。これ私のメール番号です。」
さっきの顔を忘れるように慌てて携帯のメール番号を見せてきた。多分無意識にあの顔をしていたのだろう。
それだけ紀土元就の何かしら今までにない別の表情を出した。そういうことなのだろうか。
「で…部活飛んだと思ったらまさかの映画鑑賞しようって…自由すぎない?」
俺は家に帰ってきて燈を誘って映画を鑑賞することにした。こういうのは状況を同じにすることが大切だと思う。だから俺と燈。二人で観てみることにした。
「紀土元就の友達に会いに行った。それで色々話を聞いたけど結論として、紀土元就は相当の不思議っ子。」
「話聞きに行ったの!?」
燈は驚いて寝っ転がりながらみてた携帯を頭の上に落としていた。
「なんであんた…そこまで気になるの?」
正直まぁ…そうだよな。『他人』の遺品を渡しに行くだけで終わりで良かった。けど俺は多分好奇心に負けてしまった。
「映画のエンドロールは観る派か?」
燈は俺の話をそらしたように思ったのか、呆れた表情で答えた。
「一応観るけどそれとこれは違うんだって!」
「俺も観る派。だから観たいんだよ。この結末を観たいんだよ。」
少しイラつきを見せた燈は俺の目の前に立ち上がって声を少し荒げた。
「不謹慎過ぎる!いい加減にしてよ!」
俺はDVDをセットして再生した
「ごめんな…けど俺は笑える最後を迎えたい」
紀土元就はこの映画で何を感じたのか。そしてその紀土元就の表情と考えで人波灯利は何に心を打たれたのか。それを知りたかった。
だから俺はエンドロールの関係者は何人いて、中心にいた人は何人いたか、ゲストは何人いたか。俺の目で確認したくなった。
高校生の気まぐれ日記①
今日は燈がスポーツドリンクの粉をぶちまけて粉まみれになってた。ミスをあんまりしない燈だから一年生全員が驚いた。
by 南葉 悠真




