26話 拠点を求めて
ブラックリスト戦を終えて、ソル達の元へ戻ってきたレンとミレイ。ソルから告げられたのはパーティーランクが「2」になるということだった。
「まじか、もうランク上がるのか!? まだ2つしか依頼達成してないよな?」
「それがな、カイルの拾ってきた例の球体が魔界樹の新種のものと断定されたんだ! しかも、その新種の魔物がタイミング良く特別危険指定されて、ブラックリストに登録されてたみたいなんだ!」
ソル達がギルドから聞いた話によると、魔界樹の新種が特別危険指定された魔物として、報酬金と貢献値を懸けられていたとの事だった。
「つまり僕らはギルドの依頼を2つ以上達成して、且つ規定値以上の貢献度を得る事が出来たんですよ!」
「ま、そうは言っても1から2になるのはそんな難しくはないわよ。2日でランク上がるのはなかなか珍しい部類だと思うけど」
「ちょっと駆け足になっちまったが、結果良ければ良いだろ! ダッハッハ!」
「次のランクに関しては依頼の数も必要になるんだからもう少しコンスタントにしてよね」
「そんなこんなでな、二人がいない間にちょっと話していた事なんだが……俺達の拠点を造らないか!?」
突然の提案だった。まさかNPC相手とはいえ、出会って2日〜3日で拠点の提案までされるのは予想外だった。
「拠点!? 確かにあったら何かと便利だし、ワクワクするけど……金、足りるのか?」
「私お風呂広い所がいい!」
「僕は自分の部屋が欲しいです!」
「俺は修練する場所が欲しい!」
「そうか、なら私はラボが欲しいな」
みんなレンの疑問をよそに、それぞれの願望と欲望を解放させている。
「みんな欲しい物にはレスポンス早いな……てかこれ全部叶えたら、絶対お金足りないよね?」
「そうだ、そういう訳でここからは資金集めもとい金策も必要になる! 依頼をひたすら達成しつつ気づいたら金も貢献度も貯まってる作戦だ!」
「そのまんまですね」
「要は利回りの良い依頼を探せってことか」
「それが分かりやすいし早いだろうな! それと、金勘定についてはミレイにやってもらおうかなと思ってるんだが、どうだ?」
「私でいいのか?」
「まあ、ミレイが嫌じゃなければいいんじゃない? この中じゃ一番頭良さそうだし」
「任せてくれ。フラッシュ暗算とか昔よく頭の体操でやっていたから計算は得意だぞ」
(普通の人間が電卓叩くよりもミレイが暗算する方が遥かに早いしな……)
「じゃあ、決定だな! 明日から気合い入れてくぞ!!」
「「「おー!!」」」
なるべく利回りの良い依頼を行うことで、報酬と貢献度をとにかく貯めていくという、基本の延長線上のような結論に至り、全員で気合いを入れる。
※ ※ ※
「おーい! どうだカイル? そっちは?」
ソルとカイルは依頼の関係で、とある採掘地へ赴いていた。二人で岩盤を叩きつつ、辺りに散らばっている石を手あたり次第確認する。
「あっ! ありましたよ! 『魔晶石の原石』!」
「ナイスだ! これでこっちの依頼は片付いたな」
一方でレン達はカギの落とし物を見つける依頼を受けていた――
「レン、倉庫内の何処かに落ちているカギを回収する依頼だ、パターンは昔と変わらないぞ」
「なるほど、てことは入って右奥のコンテナの裏か、正面突き当たり左のコンテナ2段目の隙間か、左側の壁寄りで真ん中辺りのコンテナの真下か」
「その通り」
「ねぇ、見つかった?」
「いや、まだだ。でもこの正面の左横コンテナの下が怪しいんだよな」
「どれ?」
ミィナはコンテナを持ち上げて真横にどかした。
「あー! あった! よくこんなの見つけたわね! すごいじゃない」
「俺、さっきあのコンテナ持ち上がらなかったんだけどな……」
「気を落とすなレン。ミィナの方が力が上なだけだろう」
「いくら世界観が違うとはいえ、やっぱり女の子にパワーで負けるのは切ないんだ」
——拠点を造るという決意から1週間が経ち、5人は二手に分かれて依頼を進めていた。達成した新たな依頼は5件。着実にパーティーとしても安定し始め、ギルドの中ではソル達の存在を注目し始めているパーティーもあった。
「なぁ、ミレイ。いくつか依頼も終わったところで途中経過どんな感じなんだ? 目標金額には近づいたか?」
「近づくもなにもまだ10分の1にも達してないぞ」
「嘘だろっ!?」
「概算で話すが、私達の全所持金が大体16000G。住める建築物を作成するだけでも相場が50万G超えだ。そこに特注要素を加えたら更に値が上がるんだぞ?」
「そりゃあ簡単に拠点が手に入ったらそこら中、拠点だらけになりそうですもんね」
(そもそも拠点の作成って割とゲームの後半の方でやってたような事だしな……)
「ああーー!! やっぱりデカい買い物は甘くねぇな。もっとなんかこう、良い依頼の話しや情報は無いものか……」
ソルは頭をクシャクシャしてもどかしさをかもし出していた。
(情報……あっ、そういえば)
レンは懐からナルからもらったカードを出し、裏面を確認する。
“何か困ったことがあればギルドパーティー『紅影』まで!”
「みんな、せっかくだからたまには少し遠征しないか?」
「なんで? むしろ節約するとかじゃなくて?」
「ギルドや依頼があるのはエルムダールだけじゃない。他の街に行けばもしかしたら良い話しが聞けるかもと思ってな」
レンはこれも何かのキッカケだと思い、ナルのカードに記載されている『セアラ』という街へ行ってみることを提案した。




