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(2巻出ます)新米魔女の異世界お気楽旅 ~異世界に落ちた元アラフォー社畜は魔女の弟子を名乗り第二の人生を謳歌する~  作者: 三毛猫みゃー


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第86話 魔女、教える

「あのエリーさん、こちらの方もお願いできますか?」

「はいはい、見せてみなさい。ふんふんこれならこっちかな」


 私はポーションなどと一緒に置いている湿布をミーシアに手渡す。軽い捻挫だからポーションを使うまでもない。私は現在ギルド区にある教会に来ている。こんな所で何をしているかというと、慈善事業的な? あ、はい、そんなわけ無いのはバレバレですね。


 簡単な話しなのだけど、呪い事件が未だに尾を引いていて教会でまともに動ける人間が減っている。そのために私が臨時で雇われているわけです。流石に今回のは、呪が解けましたと言ってもすぐにまともに動けるものでもない。


 しばらくは体内の魔力も不安定なので、見た目は元気なように見えても魔術のたぐいは上手く使えなくなっている。まあ無理やり治す方法はなくなはいけど、自然に治るのを待つほうが良いと思うから黙ってる。


「本日は今の方で最後になります。エリーさんありがとうございます」

「いやーなんだか最初の頃に比べると日に日にお客さんが増えてない?」


 んーと腕を上げて肩を回しストレッチをする。


「ふふ、お客さんだなんてここはお店じゃないですよ」


 お布施というお金をもらって治療しているわけだから、病院と似たようなものだと思うけど。そこは神官として譲れないようだ。


「そうですね。治療を求めて来られる方が増えたのはエリーさんのおかげですね。エリーさんほどの錬金術師はこの王都にも居られませんから」

「まあ、それほどでもあるけど。錬金術師が教会を間借りして治療とか良いのかなとは思うのだけど」

「このギルド区の教会は六神教と言いましても闇神様を特に信仰しています。闇神様は六神様の中でも一番寛容な神ですので、問題はありませんよ」


 いやーそれってどうなんだろう? アンジュに聞いた限りでは寛容というよりは、適当って言ったほうが良くないかな。あれ? なんだか闇神とはすごくシンパシーを感じてしまう。


「あなた達がそれでいいなら私のほうは特に問題ないけどね。一応王族からの依頼でもあるから」

「依頼といいますと、今日もやられるのですか?」

「んーあの子達次第かな。やる気があるなら指導はするけど無ければそれまでだね」

「そうですか」

「なんならミーシアも一緒に来てみる?」

「えと、よろしいのでしょうか?」

「別に神官だからって錬金術や薬草学を学んじゃ駄目ってことはないでしょ。私なんて錬金術師であり薬師でもあり魔術師でもあるからね」

「あの教会長にお伺いして来ます」

「それじゃあ、私は先にギルドへ行ってるから許可が取れたらいらっしゃい」

「はい」


 ミーシアは頷いた後に教会の奥へ早足で歩いていった。あの教会長なら許可は取れるだろうね。一度だけ呪いの治療の時に会ったけど、薬草や毒草を扱う人特有の指の色だった。


 私はミーシアを見送り教会を出て、冒険者ギルドへ向かう。ギルド区の教会から冒険者ギルドまでは歩いて五分とかからない。途中にある屋台で串焼きやパンにスープなどを適当にまとめ買いして収納ポシェットに入れていく。


 ここ最近の日課になっているので、売る方もわかっているようで私が通る時間に合わせて用意してくれていたりする。ちなみにスープは鍋ごと買い取っている。今ではこの界隈では、大人買いの魔術師とか言われてたりする。


 言い間違えたのか、本当にそう思っていたのか知らないけど、大食らいの魔術師とか言った屋台は次の日から全然見なくなったけど、私は何もしていないからね。そんな屋台での買い物は冒険者ギルドに着くまで続く。


 ギルドに入って空いている受付の前まで行く。まだ日も沈んでいない夕方手前のこの時間はギルドも空いている。


「ティア、今日はどんな感じ?」

「あっエリーさん、いらっしゃいませ。えっと今日は十人くらいですね」

「へー結構残ってるってことかな」


 私がそういうとティアこと、ティアーラが微妙な表情を浮かべている。ティアーラの見た目は赤い髪をアップにまとめていて、美人さんというよりも可愛いらしい二十歳くらいの女性だ。


「残っていると良いますか、入れ替わっていると良いますか」

「ああ、そういうことね。良いんじゃない、学びたい子が残った上に新しい子を連れてきたってことでしょ」

「エリーさんがそれで良いのならギルドからは何も言いません」

「私のやることは変わらないからね。才能のあるなしにかかわらず初歩は教えるし。才能があって上をめざすというなら手助けをするだけだから」

「ギルドとしても、新しい錬金術師や薬師が王都に生まれるのは大歓迎ですからね」

「そろそろ混んできそうだし行くね」


 ティアの元を離れて、ギルドの奥の訓練場へ向かう。通路を通り両開きの扉をくぐると訓練場の中に入った。訓練場は野球場くらいの広さがあり、そこには一三人の少年少女がたむろしている。


「待たせたかな、ごめんね」


 少年少女が一斉に私を見て頭を下げてくる。年齢はバラバラで六歳くらいの子から一五歳くらいの子まで様々だ。


「それじゃあ、まずは初めての子もいるようだし自己紹介ね。私はエリー、あなた達に錬金術と薬学を教えるわ。そうね、ここにいる間は私のことは先生とでも呼んで」

「「「よろしくお願いします先生」」」

「よろしい。それじゃあまずは前回のおさらいと課題の確認からね。新しく来た子はとりあえず錬金術や薬学がどういったものかを見るといいわ」


 とまあ、こんな感じで王都にいる数少ない孤児に錬金術と薬学を教えるのが、アルバス経由でうけた王族からの依頼である。今回の呪いの事を考えてか、錬金術師を育てたいらしい。そこで白羽の矢が立ったのが私というわけだね。



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