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156話

『村に襲撃!?』

「ああ。だから基地の方をいくらか動かす。指定した範囲には近づかないようにしてくれ」

『かしこまりました。あの』

「どうした?」

『キイナさんは、ご無事でしょうか・・・?』

「ああ。大丈夫だ。何人か怪我はしたみたいだけど、軽い打撲程度だった」


それも直接戦った男衆だけが怪我をした。

『ソキウス』の上から武器を当てられたくらいで、装甲を抜かれたわけではない。


そういえば、戦闘跡は色々調べた。

そして分かったのが、やはり相手はストレングスギアだということだった。

俺とキクヒメの想定通り、間に合わせの品と言ってもいい程度の性能の機体達。

武器も銃火器は持っておらず、あるのは普通にこの世界で手に入る剣などのみ。

それではどうやったって『ソキウス』の装甲は破れない。

パワーアシストすらまともに機能していないようなレベルなのだ、まず勝負にならない。


だがそれでも怪我はあった。

理由も俺たちの想像通り。相手が自分達と同じストレングスギアを纏っていたことだろう。

それに動揺して、接近を許してしまった。

遠距離武器を相手が持っていなかったことから、接敵した時点で殲滅も可能だったはずなのだが対応が遅れたのだ。

その結果、数名が戦闘初期でダメージを負うことになった・・・というわけだ。


「申し訳ございません。コウ様・・・」

「いやいいさ。相手がいきなりギアを持ちだして来たんじゃ動揺もするさ」


村長はそのことを甚く気にしていた。

俺から頂いた、貴重な素材を大量に使って作られた兵器である『ソキウス』を損傷させてしまったことをだ。

今までもかなり気を使って使ってくれてたようだが、先も言ったけど今回は仕方ない。


「人間に怪我がない方がマシだからな。修理も大して手間がかからんし」

「いえ。それもあるのですが・・・」

「おん?」

「あのような品を頂き、我らなりに扱えるように努力をしてまいりました」

「そうだな」


それは俺も知っている。

狩り以外でも何人かで集まって、ちゃんと『ソキウス』を使いこなせるように特訓をしていた。


・・・いやなるほどだからか。


「今だ扱い切れてないことにってことですか?」

「・・・はい。不甲斐なさを覚えます」

「んー・・・そこまで気にせんでもいいんですけどね」


個人的には、今回のこれは本当に仕方ないことだと思っている。

相手の動きを解析すると、妙にあの機体になれているように見えた。

恐らく、あの機体を使い始めてかなり長い。恐らく年単位だ。

さらに言うなら、集団戦闘の訓練も積んでいる連中の動きも見て取れる。

つまりはプロ・・・それもあれなら、この世界でも有数の実力を持つ集団だったのだろう。


それに対して『ソキウス』という格上の性能を持っているとはいえ、村長たちはストレングスギア戦闘で言うならまだギリ初心者の域。

しかも人と戦うなんてのはほぼほぼ初めて。

むしろもっとやられてもおかしくは無かった。

それでも数人の怪我と、僅かな損傷で済んだのは日ごろの特訓のお陰だろう。


「クロウ殿の手も煩わせてしまいましたが・・・」

「あー。逆にやらせないと怒っちゃいますよ」


クロウはペットだが・・・基本的には戦闘用なのだ。

だから戦うのは好きだ。定期的に戦わないと拗ねるくらいには。

そう言う点で見れば、今回は非常に運が良かった。やられた側にしてみれば不幸だっただろうが。


だってそうだろう?

恐らく彼らは、血を吐くレベルの鍛錬を行っているはずだ。

にも関わらず、たった一機に主力が潰された。

それも戦闘はかなり遊んでいたようにも見える。恐怖でしかなかっただろう。


「それに、ちょいと俺も甘く見てましたからね」

「甘く・・・ですか?」

「ええ。俺がいるから他にもランナーはいる・・・だったら、それを使って敵対してくるって奴もいるのは想定できただろうに」


まぁ相手の機体は最近作られた物ではないのは分かっている。

あれはかなり古い時代に作られて、そのまま保管されていた機体のようだ。

残った残骸を解析して分かったことだ。

・・・そして、機体のデータを吸うことであれを作ったのが誰かも分かった。


ここまで来れば、誰が作ったか分かるだろう。

レギアスだ。レギアスが生きていた時代。その時に作られた機体だった。


「すいません。暫くはその辺の強化周りも変えさせてもらいます。ちょっとうるさくなるかもしれませんが」

「とんでもない!ご自由になさってくださいませ」


今まで村に敷いていた防衛網は、基本的に対ストレングスギアを想定していない。

勿論ある程度は出来る。だが訓練された集団相手には無意味に等しい。

ストレングスギアを扱うだけの知識がある相手なら、間違いなく対応可能だろう。

そもそもの問題としては、防壁があったがそれが機能していなかったことだろう。

起動方法を手動にしてしまったのが行けなかった。敵がきたら自動でやらないといけなかった。


だからそこから強化する。

今度はそもそも村の中に入らせないように。

基地を動かすのは、その為の準備をしているのだ。時期に用意された物がこちらに届くだろう。

村長の許可も取れたしな。本気でやらせてもらう。


だがその前に・・・そもそもの元凶を潰さないといけない。

















「リア。悪いが質問がある。答えないって選択肢はないぞ」

『おおう。どうしてどうして。いつにもまして殺気立っておるが』

「そらそうだろ。こちとら告白しようと思ったのに問題発生したんだぞ」

『あー・・・それはご愁傷様だな』

「マジでな!!」


そう。忘れてはいけないキイナさんへの告白だ。

モルトン王国の事が終わったから、ちゃんと伝えるつもりだったのだ。

それが・・・そんな場合ではなくなってしまった。

そもそもそういう空気ではない感じだし。先にやらないといけない事が出来てしまったしな。


まぁ分かる・・・分かるんだが・・・イラつくのはしゃーないよな・・・?


若干リアに八つ当たりしている自覚はあれど、ヘタに抑えると逆にダメになりそうなのでこのままいかせてもらおう。


「んで質問なんだが・・・これを見てくれ」

『・・・これは・・・何かの残骸か・・・いやまさか』

「昨日、俺が住んでる村にこれを着た連中が襲い掛かって来た。

 んで、これはレギアスが作った物なのも分かってる。見覚えがあるな?」

『・・・見間違えるわけがない。ああ、確かに覚えているよ』


リアの顔が一気に真面目な物になった。どうやら当たりらしい。


「これがどういう目的で作られたか、聞かせてくれるか?」

『・・・作られた状況と、誰が使っていたかの話だな?』

「そうだな」

『・・・これは、厄災との戦いで我らの兵が使っていた物だ』

「やっぱりそのあたりだったか」

『当時の兵は精強だった。だがそれでも厄災を相手にするには全く足りんかったのだ』


その差を少しでも補うために作られたのがこの機体。

量産型ストレングスギア『ロウポーン』

通常では『ポーン』という名前の機体なのだが、素材も製造工程もかなり質を落として作られたので『ロウ』


「全身が揃ってない連中もいたが?」

『恐らく戦場に残った物を回収した連中がいたのだろう。

 むしろ良く扱えていると思うが』

「・・・まぁそうだな」


確かにそれはそうだ。

アカリの『紅月』という、高性能機ですら数年でダメになりかけた。

ダメージが大きかったというのもあるが・・・それ以上の年月が経っている量産型が今の今まで動かせるレベルであることは驚くことなのだ。


だが今の俺は、それが出来るということを知っている。


「モルトン王国で、これより遥かに高性能な機体を少しだけだが修復出来た奴に会った」

『なんと!?それは誠か?』

「ああ。錬金術師のコーリィってやつだ」

『ほう・・・そやつは?』

「いや関わってないはずだ。それに知り合いの知り合いだしな」

『ふむ・・・だが一人が出来るのなら、他の者でも出来ないとは言えんな』

「俺もそう思ってる」


恐らくは錬金術師が相手にもいるのだろう。

装甲の劣化を抑え、エネルギーの補給を行えるレベルの錬金術師が。


だがそこは割とどうでもいい。

いや良くは無いんだが・・・気にしなくても問題ないレベルでしかない。

どう見積もってもアカリと同レベル。

錬金術師としてみればこの世界の中ではトップクラスなのだろう。

だが関係ない。俺には一切届かない。


「これがどれだけあるかは・・・まぁ分からんか」

『正確な数は分からんが、それでも言えることがある』

「何だ」

『恐らく数は大してないはずだ』

「何で言い切れるんだ?」

『簡単な事だ。ほとんど厄災との戦いで、人間事消えてしまったからな』


そういうことか。

確かに『ハイドラ』クラスの相手と戦ったらあの程度の性能では影も形も残らないだろう。

一発食らったらとかそういうレベルではなく、掠ったらアウトだ。


『だから僅かな数しか所持しておらんはずだ。

 それもまともに動かせるほどの形を残しているとなると猶更だ』

「OK。把握出来た。・・・残りはお前が個人的に所有してるってことでいいな?」

『・・・まぁそうだな。悪いが渡す気はないぞ』

「分かってるよ。まぁそのうちデータだけ貰うかもしれん。アルに襲われそうだし」

『んん?アルがか?』

「体の事だよ」

『なるほどそういうことか。ならば構わんぞ。奴も喜ぶだろう』


何か流れで許可をもらったが・・・後回しだろうな。

先に・・・先に叩き潰さんといけん連中がいるからな。


それに相手がまだストレングスギアを持っているのなら、俺にとってはこの上なく好都合だ。


今までこの世界で、俺は少なくない数の敵と戦ってきた。

それも相手はこの世界でも脅威として知られている化け物達。

だがそもそも、俺の専門はそいつらではない。正直言って、俺は怪物退治は専門外なのだ。


では俺の専門は何か。

もはや言う必要もあるまい。


何より、もう会えないとはいえ、友人の遺産とも言える物を悪用されていて怒らない程優しい人間ではないのだ俺は。


「前に行ってた約束・・・守れないわ多分」

『だろうな。私も・・・少々本気を出さざるを得んようだ・・・』

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