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150話

「行くぞ」

『システムオールグリーン。『オルカ・ラーゼン』降下開始』


眼下に広がる広大な海原。

そこに落ちる一機の凶器・・・そう。私です。


冗談はさておき、サーベスを移動させ目的地の上空まで来たのだ。

アルが見つけた海魔の現在位置。

そこのマジで真上に陣取った。頭上を取ることで、奇襲を決めるつもりなのだ。


『オルカ・ラーゼン』と共に『シャイク』とその他の装備も一緒に降下している。

そのまま落とすと破損の危険があるので、コンテナに入った状態でだが。


着水すると、コンテナが上から開いていき全ての装備が海上に投げ出される。

それを持ち、『シャイク』にまたがれば準備完了。


「目標の深度は」

『アル様の情報では、水深約8000メートルです』

「深いな」


まぁ機体は全然問題ない。俺の体もだ。

強いて言うなら、光が届かないだろうから視界の悪さが問題か?

ある程度はカメラで補助して見えるが、どうしても光があるのと無いのとでは違う。

平衡感覚何かを気にしなくていい分、楽なのかもしれないが。


「まぁいいか。その為の装備もあるっちゃあるんだ」


使うかどうかは別にして、周囲を照らすだけの道具もある。

それに『シャイク』にもライト付いてるし。何とかなるだろう。

最悪はセンサー頼りでの戦闘だが・・・そこは敵次第だな。


「潜るぞ」

『潜水モード起動』


ぞろぞろと大量の装備を引き連れつつ、高速で深く潜っていく。

その速度は潜水艦の比ではない。

特に迂回しなくていいようだから、この調子なら1時間で着くだろう・・・まぁそれは長すぎるので加速するが。


『追加ブースターを『シャイク』に接続。航行レベルをアップ。

 機体周囲に保護フィールド展開。加速開始まで3・・・2・・・1・・・スタート』

「おっぐ」


どんどん加速していく。

流石に水中でこの速度は負担が大きい。

これでも保護フィールドのお陰でかなり軽減されているんだけどな。

そのうち慣れていくことはあるが・・・やっぱりきついわ。


この加速モードは、『オルカ・ラーゼン』になって追加された物だ。

正確にはオルカになった時に『シャイク』を改造した結果こうなったのだ。

ただ加速するだけなら『シャイク』のブースターを弄るだけでも出来た。

だがそれだと、乗っている俺と『シャイク』自体が壊れる可能性が高かった。


それを回避するためにブースターの負荷軽減のための追加ブースターを装備。

そして俺の体を守る為に、薄い膜の様な保護フィールドを展開できるようにした。

今の俺の状態を説明すると、物凄い速度で飛んでいる槍に、薄い膜を被りながら乗っている人間だ。

この保護フィールドは、耐G性能も高く熱などにも強い。

これ一枚で大気圏も・・・突破出来るのかは分からんが温度だけ見れば耐えられると思う。

多分その前に衝撃で機体と俺が壊れるけど。


そして、加速にある程度体が慣れてきたところで、目標の深度に近づいてきた。

大体残り500を切ったところで、周囲に生物がいなくなる。

更に生贄娘が感情をあらわにした時にも感じた魔力もまた、このあたりから感じ始めていた。


「・・・いるな」

『周囲に特異な魔力反応。広範囲に広がっています』

「どっちだ」

『下です』

「視界に出せ」

『了解しました』


魔力が視覚化される。

すると、特異な魔力と呼ばれた物が見渡すあたりに広がっているのが分かる。

そして下に行くほど濃くなっている。

悪いことに、その魔力の発信源は・・・とんでもなく大きいのも分かった。


「サブマリンの射程に入ったら撃っていいぞ」

『迎撃される可能性があります』

「これ推測サイズから考えて、どっから撃っても同じだろ・・・てか」

『こちらに向かって高密度の魔力の塊が接近中』

「ほらな!!」


やっぱり気が付かれていたようだ。

まぁこの海で奴に向かってくる存在なんていないんだろう。

いるとしたら、己に敵対するもの。

眷属なら、それはそれで分かるんだろうからな。


向かってきていたのはイカの触手の様な物だった。

様なと言うのは、あまりにもデカすぎて断言出来ないのだ。


だがまっすぐ向かってくるだけの物に当たるわけもなく、『シャイク』を操り回避する。

そのついでに、触手を『オーディン』という槍で切ってみる。

想定ではかなりの硬さだったのだが、思ったより手応えは軽かった。


「あん?」

『魔力密度が高いだけの様です』

「いやこの手ごたえは・・・」

『追加で同じ反応が接近中』

「これもしかしてもしかするか?」


次々に触手が襲い掛かってくる。

『シャイク』の追加ブースターを切り離し、安全圏まで自動操縦で下がらせる。

俺は逆に、『シャイク』のパイルバンカーを、回転モードにしてドリルの様に突き進む。

その勢いで、俺の周りに衝撃が渦巻く。それは一種のバリアの役目を果たす。


触手がバリアに触れた途端、先ほど切った触手の様に軽い手応えを残して消えていく。

やはりだ。この触手は実体が無い。これは魔力で構成された物だ。

だから物理的な衝撃を受けると霧散する。

正面からは受け止められないだろう。今みたいに衝撃波によるバリアか、横から攻撃するしかない。

だがバリアで受け止められるのなら・・・問題なく突っ込める。


次々に触手を消して来ながら進んで行くと、無駄だと悟ったのか触手の攻撃が止んだ。

代わりに、氷の槍が飛んできた。


「ってんなのもありかい!」


これはバリアでは受け止められない。

衝撃波のバリアは、物理的な攻撃は苦手なのだ。

すぐに解除して、ミサイル迎撃用のシステムを起動する。

使用用途が違うが、それでも割と何とかなる。

俺も『赤星』を構えて撃ち落とす。


かなり遠くから撃っている様で、弾幕は濃いがこれならどうにかなる。


「残り距離は!」

『残り300』


流石にこの弾幕の中では『アトミックサブマリン』は撃てない。

もう少し近づくか、弾幕が止まるかだ。

恐らく攻撃が無意味だと分かれば、違う攻撃が飛んでくるはずだ。

狙い目はその一瞬。


「・・・今だ!!」

『『アトミックサブマリン』掃射開始』


攻撃が止んだ。奥からはまだ何も来ていない。だが魔力反応はある。

僅かな隙を見逃さず、切り札を一気に撃ちだす。

一発一発が必殺の広範囲破壊兵器。それは撃ち落とせば通常なら死が確定する。


あの弾幕を考えれば、迎撃されるのは必須だろう。

だが俺はちゃんと勝算があって撃ったし、無ければそもそも持ってこない。


先ず、海魔のサイズが非常に大きいのは分かっていた。

これは様々な証言から判明したことだ。


更に、これは推測だが・・・海魔は眼が悪い。

これは深海の生物のあるあるだ。暗いから目で見る必要性が薄いのだ。

その代わりに発展したものがあるはず。それは魔力だと考えた。

つまり、海魔は魔力に対する感知能力が非常に高いはずなのだ。


ならば、相手の危険度を測るのにも魔力が使われているはずだ。

要するに・・・相手は魔力の無い攻撃に対して脅威だとは思わないはずなのだ。


実際先ほどの触手も『シャイク』じゃなくて俺に向かっての攻撃が殆どだった。

それで確信を持った俺は、だからこそ『アトミックサブマリン』を撃ったのだ。


事実、撃ちだされたミサイルは偶々巻き込まれてない限りは落とされていない。

そしてミサイルの光が見えなくなった後に・・・強烈な海流が俺を襲った。


「お、おおおお!!」

『機体制御不能。ブースター全開での現状維持に努めます』

「固定しろ!『シャイク』から離れたらマズイ!」

『機体固定開始』


覚悟はしていたが、恐ろしい威力だ。

かなり離れているはずだったがそれでも体が持ってかれそうだ。

海流自体は僅か数秒で収まったが、俺が感覚を取り戻すまで更に数秒を要した。

本来ならこの時間は隙だらけなのだが、一切攻撃が来ない。


「・・・魔力は」

『健在です。初期段階から40%軽減中』

「それは健在とは言わんが・・・まぁいいか」


いや待て、あれ食らって40?馬鹿げてるなおい。

一発でも当たれば、リアですら大ダメージは必須なんだぞ?

それが20発・・・全弾命中とはいかないだろうが、それでも複数当たっていると思うんだがな。


「結果は」

『着弾解析の結果、6発が命中。7発が撃墜。7発が至近弾です』

「6食らって4割?怪物か何か・・・怪物だったな」

『対象のサイズが大きすぎた結果、体積を削り切れなかった模様』

「想像以上ってか?サーベスの残りのサブマリンを全部降ろさせろ」

『到着に時間が掛かります』

「コンテナごとでいい」


最初に作ったのは20発だったが、念には念を入れて追加しておいてよかった。

海中移送用のコンテナには、追加ブースターが取り付けてある。

キクヒメの補助があれば、こっちに来るまで10分くらいのはずだ。

体の事考えなくていい分速度もっと出せるしな。

だから俺は待てばいいが・・・相手は待ってくれないようで


『反応上昇中』

「流石にキレたか。まぁこっからが本番だな」


この世界に来て割とすぐに、俺はこいつの眷属を倒している。

眷属だとは知らなかったが、とにかくデカい奴だった。

だからこの海魔は、もっと大きいのだろうと何となく想像はしていた。

だが『アトミックサブマリン』での効果を見誤ったように・・・俺はまだまだ小さくこいつを見積もっていた。


「あー・・・なんだこれ、壁か?」

『ここまで魔力が多い壁は存在しないかと」

「分かってるよ。言ってみただけだ・・・ほほー。目だけで高層ビルよりデカいなこりゃ」


まるで特撮に出てくる怪獣だなこりゃ。

なるほど、切り札の効果が思ったより出ないわけだ。

むしろ良く4割消し飛ばせたなと思うレベル・・・まぁその部位も何か再生されてるけど。


「あー・・・こいつって喋れるんだったっけか?」

『状況を察するに、怒りで理性を失っていると思われます』

「でしょうね」

『追加情報です。天候が荒れ、海上が大きく荒れています』

「アッハッハッハ!怒ると海が荒れるってそういうことか!!」


まさに海を征する者。王者と呼ぶにふさわしいというわけだ。

だが関係ない。『アトミックサブマリン』で削れた以上、倒せない敵ではない。

『シャイク』の武装も含めれば、十二分に勝ちが狙える。


「『シャイク』は離しとけ、帰り道が大変になるからな」

『了解しました』


んじゃまぁ・・・やりますか。

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