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148話

「んじゃもう一回行ってくるからよろしく」

「ちょ」


サーベスの近くにいたアルに生贄少女を任せて再び城に侵入。

塔のあった場所を確認すると、多くの人が瓦礫をどかそうとしている。

魔法を使おうにも、元々塔に掛けてあった魔法のせいでまともに使えないようだ。


見学もそこそこに、向かうは城の地下。

注目が塔に集まっているから、そちらは手薄なはずだ。


緊急時だからか、空きっぱなしになっているドアから普通に中に入る。

そして調べた成果を用いて、最短距離で宝物庫まで走る。


「誰もいないな」

『レーダー反応では、地下に一つ反応があります』

「地下に?この騒ぎで上に来ないのか」


しかも魔力反応と熱源反応の両方。

要するに、この地下には生物が待ち受けているということだ。


「まぁ関係ないか」

『警戒が必要です』

「油断すんなってか?わかってるよ」


仮に人間だった場合、この状態でも惑わされずに宝物庫を守る判断をするやつだ。

そういうやつは手強いんだよな。だから油断はしない。


時々メイドっぽい人とすれ違うが、ステルスを起動している俺を見つけることは出来ない。

静かに、だが最大速度で駆け抜ける。

そしてついに、目的地までたどり着いた。


待っていたのは、一人の騎士だった。


「へぇ」

『高魔力反応アリ。警戒度を引き上げます』


見ただけで、その人間の強さが分かる。

そもそも装備がいいのだ。少なくとも、俺が知る限りでいうならこの世界の物なら一番いいまであるかもしれん。

全てに魔力が帯びており、何かしらの強化が施されているらしい。

まぁ残念なのは、全く俺を見つけられていないことか。


「これじゃあ片手落ちだわ」

『現在熱源反応も隠しておりますので、見つけられるわけがありません」

「そらそうなんだけど・・・おん?」


唐突に騎士が剣を振り上げる。

その剣が青い光を纏うと巨大化し、俺のいる場所に振り下ろしてきた。


「あらま」

『腕部、脚部に集中』


こちらも今回特別に持ってきた『アバランチ』を引き抜き迎え撃つ。

正面からのぶつかり合いになった。

そのせいでステルスが切れるが、こちらの方が力は上だ。そのまま押し返す。


「おらよ!!」

「クッ!」


光の斬撃が止められたのを見るや否や、騎士はすぐに盾を構える。

俺がそのまま返してやった斬撃を盾で受け止めてみせたのだ。


「へぇ。案外やるねぇ」

「・・・貴様が賊か」

「まぁ賊だわな。何せ誘拐犯だ」

「自分が何をしたか、分かっているのか・・・?」

「さぁ。怪物なんかに媚び諂う連中なんざ死んで良いと思うけどな」


個人的には、知ってる人間が生きていればそれでいいしな。

まぁこれは俺の理屈だ。一々理解してもらおうとも思ってない。


「それで?あんたは上に行かずに待っていたようだが・・・もしかして、来るの分かってた?」

「初めはあの錬金術師の仲間かとも思ったがな。それにしてはやり方が強引すぎると考えた」

「なるほど。そこから相手が、城の宝を狙う賊だと思ったわけだ」

「かの少女を攫ったのは、こちらに要求を呑ませるためだろう・・・だが甘く見るなよ」

「あん?」

「貴様程度の存在が、我らに楯突こうとすることが、どれだけ愚かな事かを教えてやる」


なんだか随分と的外れな勘違いをされたもんだが・・・まぁ好都合か。


いやそこはどうでもいいな。

こいつ・・・今俺を侮ったな・・・?


「・・・クックック。ハッハッハ!!」

「何がおかしい」

「アハハハ!!!・・・・死ねよ」

















本来ならば、自分がこの城の中を好き勝手に動くのは許されないのは分かっている。

だが今は緊急事態。自分らの味方が起こしたことではあるが、今は好都合ではあった。


「ハァ・・・ハァ。こちとら引きこもりの研究者なんやぞ!」


コーリィが向かっているのは地下の宝物庫だ。


塔が崩れてすぐ、モルトン王国の騎士団長が彼女らのいる部屋に来た。

今回の件に自分達が関わっているかの確認に来たのだろう。

だがその被害の大きさと、本来ならばもっと大人しく出来るはずということを加味して、無関係であると判断された。

勿論完全に警戒が解かれたわけではないだろう。自分達は今までそういう活動をしてきたのだから。


そして騎士団長は地下へと向かった。

相手が賊だと判断して、宝物庫が狙われると思ったのだろう。

それは正解だ。コウは必ず地下に向かう。

そして戦うだろう。


その結果を、コーリィは既に予測出来ていた。

答えは、宝物庫の前で既に出ていた。


「な・・・なんや、これ」


宝物庫の扉に、男の頭が紐に括りつけられていた。

その顔は当然知っていた。先ほど自分達の元に来た騎士団長だ。


だが周囲の様子がおかしい。

騎士団長は、このモルトン王国で最強と呼ばれている。

その団長と戦ったのにも関わらず、一切周りに被害出ていないのはどういうことなのだろうか。


コーリィは再び、コウの能力を再評価した。

そしてそれでも、全く足りていないことも分かった。


「ん?なんだコーリィか」

「ッ・・・コウ。これあんたがやったんか」

「まぁな。ただの人間してはまぁまぁ強かったんじゃないか?」

「まぁまぁて・・・」

「この程度ならどうにでもなるっての。てか、俺はもう取るもん取ったから帰るぞ」

「は!?いや色々聞きたいことが!」

「それはアカリ達と一緒に来た時になー」


そう言って、コウはコーリィの目の前で姿が消えた。

今は王妃の精霊も近くにいないので、コーリィはその姿を見ることが出来ない。

いや、既に対策をしてあるので、いずれにせよ見えないのだが。


コウが去った宝物庫の中、手前にあったもう一つの方は手を出されていないのは確認している。

だが既に、取る物は取ったと言っていた。

嫌な予感を抑えつつ、宝物庫の中を確認する。


「・・・なんもない・・・んなアホな」


そこには何もなかった。文字通り、本当に、何も残っていないのだ。

中にはそれなりの量の物が入っているのを、コーリィは王妃から聞いている。

宝物庫なのだから当然だ。それにモルトン王国はその性質上、多くの宝が集まる。

その半分が、一瞬で消えた。


「マジでどうなっとるんやあいつ・・・」


数時間後、地下の様子を確認した兵の報告により、王は今回の事件の被害を知ることになる。

そして、一体何に襲われたのかと恐怖におびえることになる。


結果、ルイーズに嫌疑が及ぶことは無くなった。


















「いやぁ。帰ったら戦闘データ見直さないとな」

『得る物は無いと思われます』

「いやいやそうでもないだろ。剣と盾の王道な戦闘データだ。貴重だろ」


これはマジだ。

全く持って、あの男は俺の敵ではなかったがデータは貴重だ。

ストレングスギアが人型の物を作る際には、人間の実際に動いたデータを元にした方が効率がいいからな。

それに技術って点なら十分見どころはあった。

俺がやったのは、ぶっちゃけ性能のごり押しだし。


まぁ今はそこはいいか。

確認したいのは宝物庫からぶんどったお宝だ。


中身をそっくりそのまま持って行けたのは、異次元倉庫のおかげだ。

これは基地やサーベス依存ではなく、俺という個人に依存している。

中の装備を切り替えたりって使い方は出来ないが、とにかく物を持って行くというだけなら十分だ。

これを使って、中身を全部持ってきてみた。


「大漁ですなぁ!!」

「いやどんだけ持ってきたんですか・・・?」

「半分くらい」

「よく持ってこれましたね」

「そういう物を持ってるからな。まぁ何が価値があるかとか分からんからなんだけど」

「とんでもない理由ですね・・・」


いや実際見極めてる時間なんて無いと思ったのだ。

そもそも知識が無いから鑑定なんてできないし、どういう魔道具かもわからない。

だから全部持って行くかという発想になったのだ。


「普通に泥棒ですよ?」

「人の命踏み台にして得た利益だろ?そのまま残しておく方がムカつくわ」


別に報酬云々とか関係なしに、これはやろうと思っていた。

てかこれは報酬とは言わないんだ。俺の手に入れた『成果』だ

略奪なんてゲーム内じゃ普通にあることだし。


「あと別にお金は盗んでないからな」

「・・・そうみたいですね。全部何かしらの武具が魔道具のようです

 狙ったのですか?」

「いいや。まぁ中の魔力反応見てそういうのが多いなって方を狙いはしたけど」


もう片方の扉。そちらの中にも魔力反応はあった。

だがそちらと俺が奪った方では魔力反応の数に差があったのだ。

だから多い方を狙って襲撃した。

死ねばいいってのは結構マジで思っているが、何も知らない国民はそこまでだ。

だから国民の生活に支障が出ないが、王家にダメージを与える。

それを考えた。


「まぁ嫌がらせ以外の何物でもないけど」

「最低では?」

「相手が最低じゃ無きゃ俺だって考えるわ」


今回の場合はって限定の話だしな。

後、これはこれで俺の興味だけで取ってきたわけじゃないし。

いや7割・・・8割ほどは興味なのは否定しないが。


「とりあえず生贄娘に会うか。確認は後で出来るし」

「それでしたら、今は食堂ですよ」

「サンクス」

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