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144話

一足早かった連休が終わるので毎日投稿は終了です。

あと二週間くらい休みたい

モルトン王国の王都『アトラス』

広大な海に面したその国の港には、様々な国の船が泊まっていた。


この国に行く時だけ、絶対に海上での事故が起きないからだ。

他の国に行く船もあるが、この大陸に来る商船は大方ここに集まる。

港は王都の外からでも分かる程大きく、この国がどこに力を入れているか、一目で分かった。


「だが街並みは案外普通だな」


白い石造りの建物が並んでいる。

城以外には特に変わった物も無く、竜国に比べると普通と言った感じだ。


一通り上空から街を観察してデータを取る。

そしてサーベスを郊外に止めて、ここからは個人での行動だ。


上から見た時分かったが、ここの街に入るには検問を越えないといけない。

だが俺はこの世界の身分証など持ってない。

リアに言えばくれたかもしれないが、今回は俺がこの街に入ったということすら記録に残さない方が良い。

故に・・・城壁を登って不法侵入する。


「無影ステルスモード」

『ステルス、レディ』


久しぶりに『無影』の上に何も着ずに行動する。

サーベスにも使われているステルス機能を起動すると、俺の体は段々透けるように消えていく。

説明するとこれも長いが、物凄く短く話すとこれは光の屈折を利用している。


完全に消えたのを確認して、アンカーを壁に引っ掛けて登っていく。

この際消えてはいるが出来るだけ早く終わらせる。

城壁自体は当然そこそこ高いので、登り切るのに数分かかったが問題は無かった。


「周辺に人は?」

『建築物内に複数。こちらは認識しておりません』

「そうか。ステルス解除」


周囲に目が無いことを確認してステルス解除。

そして急いでこの世界で目立たない服を着る。

何も今すぐ城に突入するわけではない。救助対象を助けた後、退路がどうするかも考えなければいけないからだ。

あまり城に近づきすぎても怪しまれる。故に旅人を装い、周囲から不自然にならない程度に観察するのだ。


カメラ自体はキクヒメの操作で城の観測をしてもらい、俺は怪しまれない演技を行う。

俺が最初にいたのは路地裏だったようで、そこを抜けると人で賑わっていた。

どうやら商店街的な場所に出たらしい。


「へぇ。結構活気はあるんだな」


何というか・・・俺の世界の商店街より人がいるな。

勿論通勤時間の駅とかそんなレベルで人がいるわけではない。

だが活気があり、ここに生活があるのだということを示している。


野菜や果物を並べている店、大きな肉をつるして切っている店などもある。

だがやっぱり魚介系の店が多いな。海に近いからだろう。


「フィアに聞いてた相場より全然安いな・・・」


この世界での魚介類というのは、基本的高価な部類になる。

海に面している国には他にもあるが、絶対に安全に漁が出来るという国は無い。

そもそもそういう国は、漁村がいくつかある程度で国を挙げての事業と言うわけじゃないというのも大きい。

故に、魚介を安全に、大量に手に入れられるところは貴重なのだ。


このモルトン王国が、その筆頭であろう。

海運業で儲けてるとは聞いていたが、これだけでも十分そうだと感じる。


「だけど案外面白そうな店ってないな・・・」


この辺の問題なのか、ある店は大体日用品などを扱う店が多い。

やはりもっと大きな通りに出るか、中心に行かないと駄目か?

街の中心から見て、俺が今いるのは西側。反対側は建物の様子から見て貴族とかそういう連中の住居が集まっている感じだった。

だからそういう連中向けの店はそちらだろう。俺が品を見たいのはそっちの方だ。


何せにちゃんとこの世界の街並みを見るのは初めてなのだ。

竜国の時はキイナさんもいたからな。


「調子は?」

『現在43%観測完了』

「・・・じゃあ反対側行くか」


小声でキクヒメに状況を確認し、時間があるのが分かったので街の反対側に向かう。

向かうにつれて、やはり徐々に店の種類が変わっていく。

中心の大通りに付近に着くと、もはや日用品店の方が少ないくらいだ。

あるにはあるが・・・どうにも建物の感じが、高級品を扱ってそうな感じに見える。

流石に外から売り物が見える感じじゃないから確かめられないが・・・まぁ確かめる気も無いが。


「さてさて。魔力の反応は・・・あっちか」


俺のお目当ては、今回は決まっているのだ。

まぁ時間があったら程度の目的だが。

アカリに聞いておいて良かったという物だ。


「・・・ここだな」


再び大通り外れて小道に入る。

人の喧騒が遠くなる。そのまま更に魔力を辿って進んで行く。

すると、ある家の前に辿り着く。

アカリから聞いてた通り、扉には赤い鈴が掛かっている。

これは、この街に置いてある職業についていることの証なのだ。


「いらっしゃいませー」


中に入ると、やる気の無さそうな声に出迎えられる。

目を向けると、本を読みながらこちらにピクリとも視線を向けてこない女性店員の姿がある。


・・・・


「・・・アカリに聞いてた通りだなおい」

「・・・ん?」

「ストレングスギアって言えば、俺がどういう客か分かるか?」

「・・・ほほー。ほんまにいたんやな。ちょい待ち。店閉めてくるわ」

「悪いな」

「ええてええて。こっちも聞きたいことあるんやわ」


ふむ。アカリは俺の事・・・というか、自分以外のランナーがいることを予測していたのか。

いいや。自分以外にランナーがいた場合、ここに来るように言うとかそういう感じか。


店員はすぐに本を机に置いて、入り口に掛けてあった鈴を室内に入れる。

話には聞いていたが、あれが本当に営業中の印だったとは。


そして、店の奥に通された。


「あー。お茶大したもんないねんけど。大丈夫やな?」

「お構いなく」

「おー。アカリの知り合いやろうに普通やな。あいつなら買ってこい言うところやで」

「だろうな。てかあいつこっちでもそんなんか」

「ん?そっちの所でもそうやったん?」

「機体の修理だけじゃなくて改造すると言ったのは間違いだったなと思うよ」

「・・・ホンマにホンマもんみたいやな。ほれ、お茶」

「あんがとよ」


緊張感ゼロ。互いにこれが初対面とは思えない程のリラックスさだ。

出されたお茶は嗅いだことのない甘い匂いがする。


「・・・これ、豆か?」

「お、正解や。一発で分かるんはすごいわ」

「今世話になってる村でも偶に出るからな」


俺は勝手に豆茶と呼んでいる。

まぁキイナさんがあまり好きじゃないから本当に偶にしか飲まない。

結構な頻度で、村のエルフからおすそ分けと言う形で色々貰うんだがその中にあるのだ。

偶に家に招かれてお茶したりする時にも飲む。


飲んでみると、やはり同じ豆茶だった。

だが何というか・・・


「若干渋いな」

「そらうちが改良した豆やし」

「改良?」

「眠気覚ましの効果があるんよ。結構効くんやで?」

「へぇ~」


味は変わらないが、通常の豆茶と比べるとそういうことらしい。

恐らくカフェインを多く抽出する何かをしているのだろう。


「それ。アカリと同じこと言うてるで」

「まぁ俺達ならそういうだろうさ」

「ん~・・・ところでええ加減自己紹介せんか?」

「そうだな」


何かしなくてもこのまま会話出来ちゃいそうなレベルだったな。

だが自己紹介は大事な。今回俺がこの街に来た目的にも関わっているし。


「俺はコウ。本名は違うが、何かそう呼ばれるからそれでいいぞ。

 んで、当然ランナーだ」

「うちは錬金術師のコーリィ。ついでにこの店の店長やな」

「ついでなのか?」

「まぁお金稼ぐ手段でしかないからなぁ」

「大変だな。研究職も」

「ほんまなぁ」


錬金術師というのは、少し変わった魔法使いというイメージで大体合っている。

だが当然違う所もある。それが研究職かそうじゃないかということだ。

魔法使いでも当然魔法の研究を行っている者はいる。だが総数で見れば、凡そ2割程度しかいない。

しかし錬金術師というのは、総じて研究を行っている。

そもそも研究を行っていない者は、錬金術師と呼ばれないのだ。確か錬金使いと呼ばれているはずだ。


そして今目の前にいるコーリィは錬金術師。

錬金術や様々な魔法と使って、研究を行っているのだ。


だが研究と言うのは、いかんせん金がかかる。これはどの世界でも共通らしい。

だからこそのこの店なのだ。主にコーリィの研究成果・・・の一部が売られている。


「まぁ売り上げは常連以外さっぱりやけど」

「アルカナが言ってたが、もっと宣伝したらどうだ?」

「いややよ。めんどうなるやん」


ちなみにその常連というのは、アルカナの両親などの一部の貴族らしい。

金払いがいいから、それらだけでも十分な資金を確保できるんだとか。

だけどまぁ。今日はこんな世間話をしに来たわけではないのだ。


「それで?こんな世間話しに来ちゃんちゃうんやろ?

 アカリと一緒に来る思てたんに」

「まぁそうだな・・・アルカナ達の旅の目的は?」

「お姫を助けることやろ?その方法探し・・・それに関係あるんか」

「あるな。それもあいつらがいない方が都合が良いやり方だ」

「・・・詳しく聞かせてもらおうやないか」


コーリィの目が細く、真剣な物になる。

良い集中力だ。『紅月』を解析して、エネルギーの補給を行っただけはある。


さて・・・悪だくみを始めますか。


とは言っても、口裏合わせてもらうだけなんだけどな。


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