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第2話 スタンピード

こんにちは異世界、初っ端から大変だねぇ


「みんな、よく集まってくれたな」


薄暗い部屋の中、煌々と映し出されたスクリーンに室内にいる全員が目を向けていた


「本日正午、タゲリの街郊外で正体不明の魔力反応を検知した」


次々と映し出されていくクレーターや薙ぎ倒された木々の写真


しかし、それらに反応を示す者は1人としていない


大陸戦争が終結してから今日に至るまで20年の歳月が経つが、この程度の問題は日常茶飯事であり珍しく無いからだ


何かしらの大型魔獣か、どこかの阿呆がボヤ騒ぎでも起こしたのだろう

今回もその程度だと結論付けていた


だからこそ、次に発せられた言葉に驚く


「驚くなよ、魔力の規模は何と勇者級だ」


映し出された魔力計の数値と司令官の言葉に、部屋がにわかに騒がしくなる


勇者級

それ即ち女神の加護により異世界から召喚された膨大な魔力量を誇る戦略級戦力と同等の何かがいるということであった


もしも、下手人が悪意を持って行動すれば国ひとつなど容易く消し飛ぶだろう


「我々の把握していない勇者召喚が行われた可能性がある。これを受け同盟軍司令部はこの地域一帯の警戒レベルを引き上げることにした・・・みんな、心してかかれよ」


司令官の言葉に皆が頷く

今までに無い事態であり、表情は硬いがそれでも強い意志を感じる

それを見届けると手元にあるファイルを手に取り、司令官は目を向けた


「では本日の担当エリアを伝える。ゼーベック、君の哨戒チームは・・・」


そうしてブリーフィングを終えた後。彼らは各々の空へと飛び立っていく


異様な魔力反応

その存在が災厄の前触れとならない事を祈りながら






ーーーーーーーー


ーーーーー


ーーー





一方その頃、キャーウィグとの戦いを終えた健司と灯華は、再び街へと向けて歩みを進めていた


先程と変わらない2人旅だが、少しだけ健司の足取りは重い

あの戦いで、彼は2つのことを学んだ


ひとつは、この世界が思ってた以上に一筋縄ではいかないこと

3mはある魔獣キャーウィグのような存在が、野生動物の代わりにたくさんいるからだ


そして、ふたつ目は


自身の魔法について


ーーあんな怖いモノだったなんて


知らなかった


灯華を助ける為に必死になって魔法を発動させたが、まさかあれ程の破壊をもたらすとは

この魔法を使いこなすには学び、練習していく必要がある


そして、同時に思うのだ

危険な目に遭わせてしまった彼女に、どう接したら良いのかと


一体、今彼女はどう思っているのか


「ねぇ聞いてる?」


「え、あっごめん、何だっけ?」


対して気にしていなさそうだった


健司が自分の世界に入っていて、話を聞いていないのがわかると「もう」と頬を膨らませる


「そんなに気負わなくても良いよ、気にし過ぎだって」


「お前は気にしなさ過ぎだよ」


健司の想いを察して声をかけてくれるが、あれだけの破壊を前に何故ここまで平然としてるのかと、逆に不思議に思い顔を歪め呆れてしまう


だが、そんな健司に対して彼女はあっさりと言い放つ


「そりゃぁね、魔法を暴発させるなんてありがちだからね」


「・・・ありがちなんだ」


あのレベルの被害はそうあるものでは無いと思うが、などと考えていると彼女は「うん」と首を縦に振ると空へと目を向ける


「・・・僕も初めて使った時は家燃やしたし」


どこか遠い目をしながら


「家を、燃やした・・・?」


しかし、健司には聞き捨てならない言葉だった

この世界ではそんな芋を焼くような感覚で家を焼くのかと


そんな彼の態度に灯華は表情を赤らめる


「しょ、しょうがないじゃん! なんか使ったら手から火柱上がったんだよ!」


「ひ、火柱!? 何でそうなったんだよ! てか・・・それどうなったの・・・?」


恐る恐る尋ねると、灯華は顔を背けながら言った


「・・・お父さんと一緒に、お母さんに怒られた」


「・・・怒られた」


「めちゃくちゃ」


「めちゃくちゃ・・・怒られた・・・」


ひょっとしたら自分のやったことは割とありがちなのかも知れない


この世界の常識を知り、そう思えてきた健司は彼女の肩へとポンと手を置く


「ま、まぁ・・・もう終わったことなんだし、気にするなよ」


「何で僕が慰められてるわけ!?」


慰めようとして逆に慰め返される事態に納得いかず、頬を膨らませた灯華はズンズンと早歩きで彼を置いて行く


その様子を見て、流石に言い過ぎたかと思った彼は慌てて彼女の後を追いかけた


「待て待て待て、悪かったって・・・いやでもまぁ、スゲェ元気になったよありがとうな・・・ごめんなさい許してください」


最初こそ笑いながらではあったが、向けられた冷ややかな目に「あ、これはマズイ」と思い心の底からの謝罪へと切り替えた


「・・・本当に反省した?」


「してる・・・」


「なら、良いよ、許してあげる」


「ありがとう・・・」


満面の笑みを浮かべる彼女にホッと胸を撫で下ろし、ひとつの事を胸に誓うのだ


ーー怒らせないようにしよ・・・


固く、強くその想いを胸に抱く

そうして2人は再び街へと歩みを進めるのであった



ーーーーーーーーーー


ーーーーーーー


ーーーー



タゲリの街

その歴史は古く、初代勇者による新大陸開放後の開拓時に作られた開拓村がこの街の元となっていた


街を覆う巨大な壁、その周囲に間隔を開けて立つアンテナのようなモノ


そして、壁の向こうから僅かに顔を見せる巨大な城の存在に健司は目を輝かせた


「着いたーー!!」


「いえーーーい!!」


2人して巨大な門の前で手を振り上げて叫ぶ


あれから幾らか歩いた後に、2人は無事に街へと辿り着いた

目の前に聳え立つのは巨大な壁、その姿を見て健司は興奮を隠しきれないでいる


「スゲェな異世界の街! 城あるじゃん城!」


「へへん、凄いでしょ」


「いやなんでお前が自慢げなんだよ・・・でも、スゲェな!」


そう言うと、彼女も得意げに「でしょ!」と胸を張り上げる


「ところで・・・どっから入れば・・・あ、あそこか」


壁の外周を見渡すと少し行った所に人だかりが出来ているのが見えた


あそこに門でもあるのだろうと思い、灯華と共にそこへと向かう


門にたどり着いたのはそれからすぐだった




だったのだが



「ん・・・んん?」


「どうしたの?」


何か異世界で見えてはいけないものがあった気がして凝視してしまう


そんな彼を不思議に思い灯華が首を傾げ尋ねてくると、健司は彼女へと恐る恐る尋ねた


「あれって車?」


「うん、車だよ」


平然と彼女は答えた


ーー頼むから、そんな平然と言わないで・・・


巨大な壁に、そこから見える城が見えてようやく異世界に来た気がした筈なのに


そこにあったのは思った以上に進んだ文明の利器の姿だった


思わず天を仰ぐ


「俺の異世界中世ライフはどこに・・・」


「逆にそれ・・・大変じゃない・・・?」


「・・・確かに」


少なくとも民家に必ず上下水道設備の完備くらいはしてもらわないとキツイ

ある意味で車があるくらいの技術力が現代人には丁度良いのかもしれない


そう思うと気を取り直して門へと向かおうとするがーー


「・・・ん?」


またしても足が止まる


そんな彼を見て「今度は何?」と、灯華は疲れたような表情を見せるがそれどころでは無かった


「あの・・・灯華さん・・・」


「何、異世界人の健司くん」


「あのでっかい鎧・・・何・・・?」


ワナワナと指差す方向に灯華が目を向けると、そこにあるものを見て「あぁー」と声を上げる


「MRAね」


「何それ・・・」


「軍用魔導鎧、確かフルネームが・・・Magic Reinforced Armor suitー魔導強化装甲服ーだったかな、それの頭文字をとってMRAだって」


「はー、オラ田舎から出たばっかだで何も知らなかただ・・・」


「何そのキャラ・・・」


彼を見て額に手を当て呆れる灯華ではあったが、現実逃避している最中の健司には反応出来ない


身長2m

全体的に緑色の塗装がなされた重厚な全身鎧

足は下に行くにつれて太くなり、僅かにだが浮いているのがわかる


両腕には砲と見間違う程の大きな銃ー70mm速射砲ーが装備されていた


それが見える範囲に2機と、他にも小銃を持った同じ身長のシンプルな人型をした緑の全身鎧が5機いるのだ


一体この世界の軍事力はどうなっているのか

ひょっとしたら一部技術は元の世界すら超えているのでは無いかと想像してしまう


「・・・俺一体どんな世界に来たの?」


そう遠い目で見つめ続けるのであった


読んでくださりありがとうございます!


これより第2話始まりでございます!


もしよろしければ星1〜5の評価か、続きが気になる方はブクマの方をよろしくお願いします!


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