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第42話 ちゃんと説明してください

「あっ! エインさん! こんなところで何やってんスか?」


「おお、リヒトか。暇してたからちょうどお前の家まで遊びに行こうと思ってたところだったんだ」


 ホロスと離れて十数分、偶然にも遭遇したのはリヒト本人。今日も元気そうで何よりだ。


「ホロスさんはいないんスね。また何かやるんスか? エインさんも懲りないですね~」


 前回協力してもらったからあまり文句は言いたくないがなんかムカつくなこいつ。


「違うが。ホロスはいま女子会に参加しているんだ」


「女子会ですか? これはまた珍しい。ちなみに誰とッスか?」


「メイメイとリサ」


「罰ゲーム受けてんスかホロスさん」


 酷い言い様だな。少なくともメイメイはそこまで言われるような奴ではないだろ。リサは…まぁ…うん……悪いが俺には庇う言葉が見つからない。いやそもそも悪いとも思えていない。何故なら100%リサの普段の言動に問題があるからだ。


 といった具合でリヒトと話しているとまたしても見知った顔が。


「お? エインとリヒトじゃねぇか」


「ホロスちゃんはいないんだね」


 通りかかったのはガデロンとフェルド。今日は知り合いとよく出会う。そんなことを思いながらホロスがいない理由を二人に話した。


「かわいそ~」


「リサかぁ……」


 パーティメンバーにも信用されてないのかよ。ガデロンなんか頭抱えているし。


「あ、話は変わるんだけどさ、エイン君聞いた? ルイグの通行制限解除されたって。今戻ればあの村出身の知り合いと会えるんじゃない?」


「ああ、その話なら支部長から聞いた」


 聞いた……が、知り合いと会うのは少し不安がある。言い訳にはなるが俺は千年生きている。この世界とは切り離された空間、時の止まった空間での出来事ではあったが俺は確かに千年生きたという記憶がある。

 何が言いたいかというとあの村で俺が暮らしたのは少なくとも俺の中の認識では千年前。はっきり言って記憶が曖昧になっている。最後まであの村に残って俺を逃がしてくれた村人たちのことは覚えている。俺が力を求めた理由があの人たちにあるからだ。

 だが村を離れていった人たちは申し訳ないが顔も名前もぼんやりとしてきている。話したら間違いなくボロが出るだろう。会いたくないと言えば嘘にはなるがそんな状態で会うのはリスクしかない。だから……


「……帰るのは今じゃなくてもいいかな」


「そっか」


 と、一言だけフェルドは言葉を返した。


「あっ! そういえば聞いたよぉ。この前ホロスちゃんと大喧嘩したんだってね」


 フェルドは肘で俺をグイグイとつつく。


「いやぁあれは驚いたぜ。ボロボロになったお前と魔力が枯渇寸前のホロスちゃんが町に戻ってきた時は一体どんな化け物と戦ったのかと思ったら結局二人が痴話喧嘩しただけだったって話なもんで」


 ……言い訳をさせてほしい。これは魔王と戦った日のことを言われている。が当然魔王と戦ったなんてことを言えるはずもなく誤魔化した結果がこれだ。ちなみに痴話喧嘩とか言い出したのはリヒト。誤魔化してくれたのはありがたいがもっといい誤魔化し方はなかったのだろうか。だが俺とホロス二人がかりで苦戦する魔物が現れたと言うのもそれはそれで問題があるし癪だがこれが最善の言い訳だったのかもしれない。


「でももうホロスさんとは仲直りしましたもんねエインさん」


「……ああ。だからもうこの話は二度としないでほしい。二度と」


 客観的に見れば俺は年下の女の子とマジ喧嘩したということになる。正直本当にキツい。マジでキツい。魔王と戦った時よりキツいかもしれない。

 とりあえずこの話を続けるのはまずいと思い他の話題を考えていると……


「おおっ! いたいたフェルド! エインもいるじゃん! お前ら全員ギルドまで来てくれよ!」


 話しかけてきたのはギルドの一員の男の魔法師。本当に今日は知り合いとよく会うな。しかし何の用だろうか。様子からして切羽詰まった感じはしないから緊急でクエストが発注させたとかではなさそうだが。


「ええ~、めんどくさいから僕はパス。折角の休みなんだからさ」


「右に同じ」


「頼むよフェルド、エイン~。支部長に強い奴探してこいって言われたんだよ~」


 支部長命令……? 一体何の用なんだ?


「せめて要件を言ってよ」


 フェルドも同じく疑問に思ったようだ。


「要件? さぁ?」


「……君も支部長も随分と適当だなぁ…」


 いや本当に。よくそれで来てもらえると思ったな。


「まあまあとりあえず行くだけ行ってみてもいいんじゃないスか?」


「おう。どうせ暇なんだしよ」


 こいつら他人事だと思って。


「なあ~、頼むよ~!」


 目を潤ませながら頼みこまれてしまった。男の泣き落としほど醜いものはない。だが……


「仕方ないな。今回だけだぞ。次からは何か頼まれても安請け合いしないように。せめてちゃんと要件は確認しとけよ」


「おぉ~っ! ありがとうエイン!」


 と使い走りにさせられた魔法師は俺に感謝を述べる。そしてちらりとフェルドを見た。


「……はあ~、これで僕だけ断ったら僕だけ悪者みたいに見えるじゃん。わかったよ。僕も行けばいいんでしょ?」


「ありがとなぁ! これで怒られないですむ!」


 それにしても強い奴を連れてこいってどういうことだ? 厄介な魔物でも現れたのか? いやそれなら流石に支部長もちゃんと説明するとは思うが……。まぁ行けばわかるか。


◇ ◇ ◇ ◇


「お! 来たなフェルド。エインもいるのかこりゃちょうどいいな」


 ギルドに到着すると早速支部長のワルドに声をかけられた。というかこれはどういう状況だ? ギルドの前に大量に魔法師がいるが。今日は祭りか何かか?

 なんて思っていると支部長の口が開く。その内容は全く予想だにしていなかったもので……


「お前ら二人、今からここで戦え」


「「はぁ!!?」」


 本当にどういうことなんだよ!!



    第42話 ちゃんと説明してください


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