第011話 「DeadShot(デッドショット)という男。」
完敗し、倒れているポールに近寄り話しかける男。
男は黒人で、2メートルはあろうかという巨体。髪型はドレッドで、いかにもギャングスターの風貌をしている。
「派手にやられたなー。どうだい、あいつらを一緒に殺らないか?」
ポールが呻きながら顔を上げる。
「お前は誰だ?」
男は不敵な笑みを浮かべながら名乗った。
「俺の名前はDeadShot Jacksonだ。今後はジャクソンと呼んでくれ。」
「目的は何だ?」
「目的は、あのグレゴリーのおっさんが持っている武器が欲しくてな。儲けは半分ずつでどうだ?悪い話ではないだろう?ブラザー。」
「勝算は?」
「なーに。時間は少しかかるが、あるよブラザー。」
「もちろん、あんたの残された部下だけで十分戦えるぞ。」
ポールはしばらく沈黙した後、低く呟いた。
「分かった。教えろ。」
ジャクソンは微笑み、「その前に手当だな。」とポールの肩を担ぐ。
そう言うとジャクソンはポールを抱え、一緒に闇の中へと消えていった。
その事件から数日が経過した。
朝の陽光が差し込む道場に、3人の姿があった。いつものようにトレーニングに励むため、小深山のもとへ向かう。
「お前ら!良い話があるぞ!」
小深山は腕を組みながら、満面の笑みを浮かべていた。
「次回のアリーナで行われる大会が決まった。もちろん3人のパーティで参加するよな?」
「マジすかー!やっとですよ兄貴!」
「やったー!早くあたいも出たい!」
大輔と朱華音が興奮気味に声を上げた。
一方、彼は落ち着いた表情で尋ねた。
「はい!もちろんです!ちなみにアリーナ大会が行われるのはいつですか?」
「うむ。3週間後だ!それまで準備を万全にしておくように。ちなみに、今回はアマチュアトーナメントからの出場になる。アマチュアといえど、かなりの強敵が揃うぞ。予選突破が鍵になるな!」
「はい!わかりました!ありがとうございます!」
彼の胸に、久しく忘れかけていた闘志が燃え上がるのを感じた。
「そうだ!グレゴリーさんに新しい装備を相談してみようか」
朱華音が提案すると、大輔も頷いた。
「そうだな、グレゴリーさんに相談してみよう」
トレーニングを終えた3人は、秋葉原にあるサバイバルショップへ向かった。
店の扉を開けると、奥から威勢の良い声が飛んできた。
「ようこそ!お待ちしていました!この前は本当にありがとうございました!」
地下の奥から現れたのは、グレゴリーだった。
「どうも!実は……」
彼が話し始めると、グレゴリーが手を振り遮る。
「はい!もちろん!分かってますよ。アリーナに参加するので、良いアイテムを探しにきたのですね!」
「流石話が早い!グレゴリーさんは!」
「命の恩人ですからね。今回はみなさんに、私からとっておきをプレゼントさせていただきます。」
「ほんとに!?きゃー!!」
朱華音が舞い上がる。
「はい、もちろんです!今回は私と貴方がたの友情の印として、こちらを差し上げます。」
グレゴリーが差し出したのは、小さな黒い箱だった。
「リング?ですか?」
彼は箱を開け、中身を確認しながら驚いた。
「おっと!これはただのリングではありません。皆さん、まず装着してみてください。」
グレゴリーが3人にリングを手渡すと、それぞれ指にはめた。
「ちなみに、私も装着しています!」
その瞬間、3人の脳内にグレゴリーの声が響いた。
「え???グレゴリーさん、話してないですよね?」
「はい。これは『以心伝心リング』というものです。装着者同士が心の中で会話できるアイテムなのですよ。」
「こりゃすげーな!兄貴!俺の考えてること、ちゃんと伝わってますか?」
「うん、聞こえてるよ。」
「ネコネコネココネコネコ♪」
朱華音がふざけて歌う。
「これをアリーナで使用すれば、相手に作戦がバレる心配はありません!」
「ありがとうございます!」
「あと同じものを用意しましたので、小深山さんにもお渡しください。」
グレゴリーはそう言うと、彼に同じ箱を渡した。
3人はグレゴリーから以心伝心リングを受け取り、新たな装備とともに次回のアリーナへ挑む決意を固めた。




