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王命の婚約者〜この婚約は絶対に潰します〜  作者: 白雲八鈴


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第7話 婚約破棄すると言ったではないですか

 昨日はどうでもいいことで一日が潰れてしまいました。

 しかし、メラにゃんを撫で回したので、許してあげます。


「主よ。それでどうするんだ?」


 昨日、休暇だったため、私の机の上に積み上げられた書類に目を通しているとトラにゃんが聞いてきました。


「トラにゃん。今日はねぇ! これが終わったら薬草畑で採取するの!」

「いや、今日の予定は聞いていない」


 今日は元々予定は入れていないので、やることはありません。


「魔道師団長の素質とは、使い魔にメロメロにならないといけないという条件でもあるのですか?」


 父が魔道師団長だった頃から仕えてくれている書記官が、バサリと私の机に書類の塔を作ってくれました。


 また増えました。


「そんな条件はありませんよ」


 私は黒いローブのフードを深く被り、書類を魔法で仕分けていきます。今日は急ぐ書類だけみましょう。


 なんだか、嫌な予感がします。


「壁の端に寄ったほうがいいですよ」

「え?」


 書記官に忠告をした途端に、私の執務室の扉が勢いよく開け放たれました。


「ノックぐらいして欲しいですね」


 無言でカツカツと侵入してくる者に文句を言います。

 そして、書類をのけた執務机にバンと紙が置かれました。


「リュクシオン。妹と婚約をすることにした」

「……」


 目に痛いほどの白い隊服に勲章をつけて威圧してくるものが、おかしなことを口にしています。


「フェルアラン。何を言っているんだ?」


 眼光が鋭い青い瞳が私を見下ろしてきます。


「リュクシオン、妹がいるだろう」

「十歳の妹はいるが?」

「……ん?」


 十五歳としの離れた妹はいます。私のような魔法バカではなく、普通の可愛い妹です。


「違った?」


 何かボソリとつぶやいていますが、もしかして昨日会った私が魔道師団長リュクシオンの妹だという結論に至ったのですか?

 どこからですか?


「そういえば、婚約者と会うと言っていましたね。その御令嬢の名前は?」

「リュメリア・カサランドラ」

「では、私のフルネームは?」

「リュクシオン・ヴァスディス」

「リュしか合っていませんね。あと、婚約破棄すると言っていたではないですか。まさか、一目惚れでもされたのですか?」


 私はおどけたように口にする。『いいや』という答えがくることを予想してです。


「そうだ」

「は?」


 え? いやいやいやいや……昨日のどこに一目惚れ要素があったのです?


 ちょっと待ってください。フェルアランが婚約破棄すると言っていたから、私は悠長に構えていたのですよ。


 それが、婚約するつもり……これは、私の魔法に埋もれて暮らしたいという夢が崩壊するということです。


 早急に対処しなければなりません。


「だが、リュクシオンが好きという気持ち……」

「待て! ここで何を言っている!」


 ヤバいことをいう口を慌てて塞ぐ。

 執務机の上に乗ってしまいましたが、書記官がいる部屋で馬鹿なことを言わないでください。


 めっちゃ聞き耳を立てているではないですか!


「はぁ、貴様の婚約者は私の妹ではない。私を好きだと公言するな。わかったな」


 頷いたので、手を離して椅子に座り直す。


「国王陛下には言った」

「は?」

「リュクシオンが好きと」

「何を言っているんだ!」

「ブハッ!」


 私の怒鳴り声と書記官の吹き出す音が重なった。

 ここここれは……最悪のパターンじゃないのですか?


 これは急いで国王陛下に直談判しに行かねばなりません。


「これ」


 フェルアランは思い出したかのように、先程机の上に置いた紙を私に見せてきた。

 そんなことよりも私は……。


「あ? 北の街道でドラゴンが巣を作り出した? こっちの討伐要請のほうが、重要だろう! このデカブツが!」


 イライラがMAXにきていた私は、話す順番が違うと怒ります。


「リュクシオンのそういうところがいい」

「……第一部隊を貸してやるから、さっさと行ってこい!」


 私はおかしなことを言うフェルアランを睨みつけ、魔道師団の協力要請書にサインをする。

 一部隊を貸すからドラゴン討伐に行けと。


 私は今から国王陛下に直談判です。交渉カードはいくつか持っていますからね。


「ここ、ドラゴンが六体。リュクシオンに来てもらわないと困る」

「そこも確認した! だいたい六体と言っても小型の飛竜だろう! 私が出なくても……」

「トラ殿もいくと」


 いつの間にか、トラにゃんを抱えているフェルアラン。


「まぁ、ドラゴンの肉をくれるならよろこんで行くぞ」

「トラにゃんがそういうなら〜」


 トラにゃんが、ドラゴンの肉を所望しているのであれば、狩ってくるのが主としての務め。

 よし、がんばろう!



 *


 バタンと閉じた扉を見てため息を吐く書記官。


「使い魔基準の団長もヤバいけど、その団長スキスキオーラが出すぎている騎士団長もヤバいよな」


 そんな書記官の独り言が静かになった執務室に響き渡ったのだった。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


良かったよと作品を推していただけるのであれば、下の☆☆☆☆☆で評価していただけると嬉しく思います。



追記

”スタンプ”で応援ありがとうございます。

ブックマークありがとうございます!

1日でたくさんの☆評価ありがとうございますm(_ _)m



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― 新着の感想 ―
えっ、そんな、ここで終わりなんて生殺しだー。゜(`ω´)゜。 追加のお話とっても楽しみですー!
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