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第60話 驚きしか出てこない地獄旅part3〜クビカリ・クビナシ〜

「なぁ、深淵地獄ってさ、この世界で人族に危険視されて化け物達が集まったんだよな?」


「は、はい」


「…弱くね?」


新たな階に向けて階層間の通路を通っている間、じゅんきはそう心の声を漏らした。


「…王混さんが強すぎるんですよ!!なんなんですか!あの化け物は!歪な見た目をしていて初見では実力がわからないというのにいざ対面すると鬼のように強いなんて!」


ぐいっと顔を近づけながら目を見開いてタトマは語った。


「召喚士ってのは大体自身の力が弱かったりするんですよ。自身の従えている奴らに戦闘とかを任せるから。なのに王混さんは従えている魔物が強いだけじゃなく、王に認められるくらいの強さと、その強さに拍車をかけるように王の力も持っている。全く。俺の今までの苦労はなんだったんですかね…」


どよどよと暗い顔になっていくタトマ。じゅんきはさらに暗い顔にならないように言葉を選んで励そうとした。


「だけど!今までそんな奴は見たことなかった!この出会いは素晴らしいものですよ!さぁ!行きましょう!」


さっきまでの暗い顔から一気に明るい顔へとなった。こいつは深淵地獄と言われるこの場所で生きている人とは思えないなと、この時じゅんきは思ったのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「うおぉお。すげぇなぁ」


穴を通り抜けたのちに見えた光景を見て、じゅんきは驚いた声を上げた。


森、沼地、炎地獄という意味のわからない場所を変えた先には、ドエラと同じような江戸時代の日本のような景色が浮かんできた。しかし、空は赤く不気味で、建物も、ドエラの時よりも遥かに酷い有様である。所々が壊れており、言うなれば、戦が終わった後の敗戦地のような。そんな感じである。


「…人が居る」


ドエラで見たような優しそうな人たちではなく、ゴロツキのような世紀末にいるような人間のような…THE・悪役って奴らが居た。


「ここで基本的に魔物は出ません。なのでここはボロボロではありますが、住める環境ではあるので、深淵地獄へとやってきて、ここまで辿り着けた者の大半がここに住んでいるのです」


「そうなのか。だけど…」


「察しがいいですね。はい魔物が出ないだけであって、基本的にここに居る奴らは基本的に気性が荒いです。王混さんの強さなら身を守ること等の問題はないとは思いますが…」


ボスを楽々倒していたから忘れかけていたが、ここは元より、こんな化け物しか居ない場所であり、じゅんき含め、目の前にいる人は何かしらのことを起こしてここに送り込まれているのだ。隣のタトマだって、最初は俺のことを倒そうとしていたのだ。それに、事情はあれど、結構な重罪を犯している。今でこそじゅんきに優しく、色々なことを教えてくれる人となったが。


そう思いながらも、ほぼ廃墟のような建物を歩く。明るく、がやがやと賑わっていたドエラの街とは大きく異なり、いかにも悪って感じの奴らがこちらを睨んでいたり、今の人生に価値を見出せなくなった瞳で無気力に座る浮浪者と変わらないような人たちが居たりとドエラの街を反転させたかのような景色である。


悪って感じの奴らは全員、言葉を交わすことなく、自身の知る人以外を睨んだりしているものの、そこから一歩踏み出して喧嘩をしようとはしない。


全員何かしらの罪を犯してこの場所に流れ着いた者達の為か、一見普通そうな見た目のやつだったとしても、何が楽しくて生きているのだろうって感じの人であっても、もしかしたら…ということを考えているのか、皆手を出さずにいるようである。


じゅんき自身としては、このまま大人しく街を抜けられそうなので、安心していた。


「…おいタトマ!ひっさしぶりだなぁ?」


「…げっ」


タトマと同じくらいの体型の男達が四人ほどやってきた。リーダー格の男は刺青がタトマよりもあったので、どれだけの罪を犯してきたのかがよくわかった。


「げっとはなんだよげっって、俺様、かなーり傷つくぜ?」


まぁ、全員が全員大人しくしてるとは限らないわな…と、ありふれすぎた展開を見たじゅんきは思った。


「おっ!にいちゃんは見かけない顔だなぁ。新人か?」


「えぇ。まぁ」


「ならちょうどいいや。にいちゃん。俺達と勝負しな。勿論拒否権はねぇぜ?」


そう言いながら、拳を振りかぶった。


じゅんきはどうやら、周りの皆からは弱く見られているらしく、こういうこと状況によくエンカウントするかと思った。


こうなった時の末路は大体が同じである。


振りかぶられた拳を避けるのではなく今回は受け止めた。理由は単に避けられなかったからである。


やはりここまで来るだけはあるのか、拳の威力は凄まじく、防御の姿勢のまま後ろの方へと吹き飛ばされ、防御した腕の部分はジーンと赤くなっていた。…めっちゃ痛い。


なのでじゅんきは


「腕痛てぇ!…このやろー!許せん!呼出(ヨビニング)!ダイナオーツインク!」


筋肉自慢には筋肉自慢(?)を。じゅんきのリスフォースの中で現在最も基礎パワーのあるツインクの登場である。


歪な見た目の魔物の突然襲来に周りの奴らは驚き逃げ出す者もいたものの、目の前の男達は逃げ出すことなく、むしろ全員がやる気全開となった。


…だがしかし、この男達は知らない。目の前の魔物の強さを。



まぁ、全員が全員大人しくしてるとは限らないわな…と、ありふれすぎた展開を見たじゅんきは思った。


「おっ!にいちゃんは見かけない顔だなぁ。新人か?」


「えぇ。まぁ」


「ならちょうどいいや。にいちゃん。俺達と勝負しな。勿論拒否権はねぇぜ?」


そう言いながら、拳を振りかぶった。


じゅんきはどうやら、周りの皆からは弱く見られているらしく、こういうこと状況によくエンカウントするかと思った。


こうなった時の末路は大体が同じである。


振りかぶられた拳を避けるのではなく今回は受け止めた。理由は単に避けられなかったからである。


やはりここまで来るだけはあるのか、拳の威力は凄まじく、防御の姿勢のまま後ろの方へと吹き飛ばされ、防御した腕の部分はジーンと赤くなっていた。…めっちゃ痛い。


なのでじゅんきは


「腕痛てぇ!…このやろー!許せん!呼出(ヨビニング)!ダイナオーツインク!」


筋肉自慢には筋肉自慢(?)を。じゅんきのリスフォースの中で現在最も基礎パワーのあるツインクの登場である。


歪な見た目の魔物の突然襲来に周りの奴らは驚き逃げ出す者もいたものの、目の前の男達は逃げ出すことなく、むしろ全員がやる気全開となった。


…だがしかし、この男達は知らない。目の前の魔物の強さを。







「な、なん…だと」


「俺達が…」


「負ける」


「なぁんてぇ…」


悔しさを胸に男達は言葉を搾り出した。


「ふふふ。どうだ俺の従える魔物は!」


「…ひ、ひぃ!」


「す、すみませんでしたー!」


典型的な奴である。ボロボロとなった男達は慌ただしく、情けなく逃げていった。


「王混さんの従える魔物はやっぱりすごいですね」


「当然。さぁて……どこ行けば良いんだよ」


「……ハァ…着いてきてくださいな」


タトマにはわかりきっていたことである。ため息をつきながら、タトマは次のボスのいる場所へと案内するのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「次のボスはここにいますよ」


ボロボロで、廃墟と言われても信じてしまうほどにボロボロの城に来た。最初ここへ到着した時に見えていた城である。


「結構趣のある…肝試しみたいだな」


「きも…だめし?」


「…なんでもない。忘れてくれ」


肝試しという言葉はやはりこの世界では知られてないか…そんなことを思いながら、じゅんきは城へと入るのだった。





「…うるさいしうざいなこいつら」


ボロボロで、木から形成されている今にも崩れてしまいそうな床を歩いている途中、各部屋の扉を不気味な音をあげながら開け、出てきたのはまるで落武者のようなボロボロの鎧を纏った骸骨がカタカタと音を鳴らしながらじゅんきたちに襲いかかってきている。


骸骨単体はクソ雑魚に過ぎず、呼び出したカースとタトマによってどんどんと魔法石に変えられてゆく。もしかしたら役に立つかもしれないので、じゅんきはそれを回収する。


ほぼほぼ作業ゲーと化している。


歩いて、倒して、階段を登って、歩いて、倒して、階段を登って…また歩いてという作業を10回くらい繰り返した。


「…ボス部屋に来たな」


「そうですね。俺も初めて来る場所です。気を引き締めていきましょう!」


「まっ。どうせカース達が入れば即死よ即死〜」


階段を登ると、いつものボロボロの廊下ではなく、明らかに敵の親玉がいるであろう大きな扉の前にきた。扉は襖を大きくしたものであるが、綺麗な山や雲などの絵が描かれているものの、長いこと手入れされてないのか色褪せており、色濃くなって染み付いた返り血が絵をすごく不気味なものにしている。


そして漂わせる雰囲気もかなり異質であり、骸骨達のいた部屋…というより、深淵地獄で初めて、緊張感の高まる空気感を漂わせていた。


じゅんきはその扉をゆっくりと開け、中に入る。


カース、タトマはそれに続くようにして同じ部屋に入る。


そうしてじゅんきたち全員が入り終わると、扉は勢いよく閉まった。タトマが「ヒウッ!?」という情けない声を上げたと共にカースにひっついた。カースは何のそぶりをすることもなくタトマの引っ付いてきた腕を振り回し、タトマを引き剥がした。


そんな現場を「ハハハ…」と乾いた笑みを浮かべてながら見ていたじゅんきは視線を前に戻す。


目の前にはいかにも戦国武将と言われるような豪華な鎧を着ているのだが、その鎧赤く、金色の模様が入ってる美しさを出してはいるものの、その鎧はボロボロで、ヒビの入っていたり、色褪せていたりしている。そして、その鎧の持ち主は首が無かった。人間…とゆうより、目の前の魔物は長い剣…じゅんきには見覚えのある物を目の前に置きながら煩悩を取り払っているかのような佇まいで、正座をしていた。


辺りはいわゆる将軍の間とも言えるようなそんな感じの作りをした部屋。畳に木製の壁達…この城…いや、ドエラにいた時からじゅんきは、まるでタイムスリップしたかのような感覚に陥っていた。


そんな気持ちは一旦置いておくとして、今は目の前にいるボスの討伐が先である。じゅんきは余裕そうな感じでカースに指示を出した。


カースは指示に従い、ファストバード自慢の素早さを活かし、一気に距離を詰める。


杖を逆向きにして鋭い方を刺そうとするようにして持ち、何もしてこない首無しの侍の心臓部を…


ガキン!という音が鳴り響き、カースは首無し侍の正面から背の方に行っている。


首無し侍は、さっきの正座辞めて立ち上がっており、目の前にあった武器…()を抜いている。


刀の刀身は綺麗であり、見惚れるくらいである。


そんな刀に見惚れていると突然、爆発音が首無し侍の後方で鳴り響いた。


「な、なんですか!?王…混さん?」


タトマは驚いているが隣にいるじゅんきは完全に硬直した。


爆発の煙の中、黒い影がじゅんきたちの方角に飛んできて、「ドドドド」という音を立てる。そこにはカースがいた。


「や、やばぃい!?カースは戻れ。そして呼出(ヨビニング)!ダイナオーツインク!」


カースを戻し、ツインクを呼び出した。


「王混さん?何で魔物を入れ替えたんすか?」


「いけ!ツインク!」


タトマの疑問を無視し、じゅんきはツインクに指示を入れる。ツインクは得意の突進攻撃を繰り出すのだが…侍はシュバっとカースとは比べ物にならないくらいの爆速を繰り出し、そのままツインクを容赦なく真っ二つに切り伏せる。


体がお腹からわかられてさようならしたツインクは爆発した。


「おーまいがー!ツインク戻れ!!」


ツインクを戻した。じゅんきは、目の前に佇む侍と向き合う。


「王混さん。このボス…強いですよ」


「あぁ。前までの奴らみたいな雑魚ではないな…」


「雑魚て…あれでも強いんですよねぇ…」


「…タトマ。ちなみにあいつなんて名前だ」


「…知りません」


「はっ?」


「知りません」


まさかの事態である。じゅんきたちの目の前で威厳のある構えをしている侍は、なんとタトマもエンカウントしたことないやつらしい。今まではこの階層のボスはでっかいオーガがボスだったらしい。


こんなイレギュラー。次の階層で待ち構えているであろうラスボスの為にリスフォース達の残機などを取っておきたいじゅんきは、自分自ら戦うことにした。


「知らないならこの戦い終わったら俺の技能で情報色々見るとして!取り敢えずはやるか!形態変化(ライドオン)!天命王ホナークル!」


ホナークルのような聖騎士のような姿へと変化するじゅんき。少し薄暗いこの部屋を眩く照らした。


「タトマ!支援をしろよ!」


「り、了解!」


じゅんきとタトマの何気初の共闘である。首無し侍はじゅんきの姿を見るなり、昂ったかのように刀を構え直し、両者は戦闘へと入ったのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「…はぁ…はぁ…つ、強かった」


「俺…限界ですよ…」


戦闘を開始して結構な時間が経った後に、決着はついた。じゅんきとタトマの勝ちではあったものの、勝ちを決めるまでには相当な苦難を強いられた。


普段戦闘をそこまでしないかつ、戦闘が起きても基本カース達リスフォース達に戦闘を任せているじゅんきは、ホナークルやフォービドュンなどの王の力を持ってはいるものの、その力を使わない為、戦闘慣れしていないプラス技術もまだまだ甘ちゃんであることを思い知らされた。


戦闘には慣れているのであろうタトマの支援と指示のおかげもあり、僅かな隙を突いて倒したのである。


「俺も前に獣人達に戦闘を教えたけど…俺自身もまだまだだな。…精進しなければな」


「…まぁ、それでも王混さんほどにまで王の力を巧みに使いこなす人は見たことないですよ。…そもそも王の力を継承したら人なんて超レアですけどね」


そんな会話をしつつも、じゅんきは侍の落とした魔法石を調べた。魔法石の持ち主の侍の名は「クビカリ・クビナシ」というまるでじゅんきのような日本人らしい名前である。


じゅんきが名前を見た瞬間に固まった為、タトマは?って感じの表情を浮かべていたものの、じゅんきの予想しているこの街は同郷の人物が…という説がなんだか濃厚になった気がした。


そんなこんなをしていると、今までの感じとは違い、真っ暗な穴ではなく、青紫に不気味に光るワープホール的な物がでてきた。


いよいよラスト。この深淵地獄からも解放されるかもしれない。全くと言って良いほどに内容は濃い物ではなかったものの、そんなことにかまけてる暇ではない。


一刻も早く帰還し、自身の愛する者達を取り戻して旅の再開をしなければ。じゅんきはそう思いながら、タトマを引き連れ、ワープホールに入るのだった。

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