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第51話 王子の陰謀

「王子の陰謀だと…?」


「急に出てきてなんなんだあいつは…王子の大事な式を破壊して…」


長椅子が壊れて、あちこちに破片が散らばり、タイヤ痕が付き、ぐちゃぐちゃとなった会場で、会場をぐちゃぐちゃにした張本人のじゅんきは、王子を車で跳ね飛ばした後、王子には陰謀があると言い出した。


その突然の出来事に、周りの人たちはぜんいんざわめき始める。当たり前だろう。唐突にやってきて王族の結婚式をめちゃくちゃにした挙句、その結婚式の主役の1人である王子様が陰謀を抱えているとかなんとかを言われたら、誰だって困惑するだろう。


式に来ている者、兵士、天野達勇者パーティ、そしてシストリエスさえも、からの言動には理解を示していなかった。


「い、陰謀だと?そんなでたらめを言ってなんになるってのさ?」


「でたらめではないぜ?…お前、父親の国を自分のものにするどころか、獣人の国…ガタル達の国デミズさえも自分の元へと置こうとしているだろう?」


「何処にそんな根拠があるのさ?」


「…少し前にデミズはブルテナ兵士達の侵攻によって、ピンチに陥ったのさ。それこそ、国を揺るがすくらいのね。その軍の指揮をしていたのはお前だろう?王子様?」


「…っ!!」


その時、皆が驚きの表情で王子様を見た。皆そんなことをしていないとは思っているのだが…という、疑り深くなっている目で。


「そ、そんなわけないだろう」


「じゃあこれはなんだろうなぁ?」


そうしてじゅんきは自身の持つ空間魔法から()()()()を取り出した。


「…なっ!?そ、それは…!」


「ああ。これはお前の操っていた兵士の着ていた服だ」


そう、じゅんきが取り出したのは所々が紅い色に染まり、所々が焼け焦げているブルテナ帝国兵士の軍服である。


その服をみて、王様は驚きの表情をしており、来賓客の人たちはバツの悪そうな顔をし、兵士は同士の来ている服が見るも無惨な姿となっていることにさまざまな感情を抱き、天野達は戦慄した目で見てくると言うカオス状態となった。


そんな風にして騒がしくなった会場を、じゅんきの「静粛にしてもらおうか」と言う事と共に静かになったことで、じゅんきは話を続けた。


「デミズの民、そして国は素晴らしいもんな!女は美人でスタイルの良い奴が多いし、男も負けず劣らず、なんなら力もあって労働力としても十分。国にはたくさんの資源が眠っている。俺も実際、デミズ製の鉄などを沢山使わせて貰ったが、それでもまだまだ掘れば出てくるだろう。そんな素晴らしい国を手に入れないわけにはいかないよな?王子様?」


「…っ」


王子は言葉を詰まらせた。実際にそうだからである。実際に嫁にしようとしたガタルだって、美人である。


「ここ数十年とかで出来たぽっと出の国。己の持つ力を示し合うしか脳のない国だからな。奪い奪われるしかなかった奴らが国を広げるために取る方法は略奪侵略だよな!」


「…そ、そんなこと」


「あるぜ?実際にお前ら…いや、お前は兵を使い、デミズを侵略した。ま!そんなつまらない計画は俺たちによって阻止され、拡張は失敗。それどころか、デミズの国の兵力をつけられるきっかけとなった。そして、お前は国の兵力を大幅にダウンさせた野郎だ。大人しく父親の背中を見たけばよかったものをな!」


「…黙れ。黙れぇぇえええ!」


王子の怒りのアベレージは限界に突破してしまったのか、王子は顔を真っ赤にしながら、じゅんきに向かって叫び、近くの兵士の兵士の剣を強引に奪い、巡気に向かってゆく。そんな彼の顔に浮かぶ表情には、婚約の儀が始まるまでの余裕のある表情は何処にもなかった。


「…呼出(ヨビニング)…ダイナオーツインク」


ヨビニングにより出てきたツインクのシンプルだけど、遅いが、パワーのある一撃をじゅんきに向かって一太刀浴びせようとしていた王子が避けれるはずもなく、見事に吹っ飛ばされ、柱に激突した。痛そうである。


「…うぐぅ…」


「…愚かな奴よ。親父を見習って知的に物事を進めていれば、今頃お前の勝手にやろうとした獣人奴隷政策で捕えられた可哀想な獣人は解放されているだろうな」


「な、んだと…お前にそんな…」


「俺には、お前の出来なかった交渉術…もとい、会話による協力と呼べる素晴らしいことを俺はしているのさ」


「…ボス!獣人全員救出完了です!お先に帰宅しています!」


そんなこんなを言っているとタイミング良く、ユイイトからの伝言が来た。…流石デミズの獣人である。


「…よくやった!俺のところもすぐ終わらせる」


そう、ユイイトに伝えた。


「了解です!」


会話が終わり、じゅんきは不敵に笑った。


「んで…なんでお前は俺の…政策を知っている!お前は…この街にいたのは本当に一瞬ではないか!」


悔しがる声…かつ、痛さを我慢した声で王子は叫んだ。


「俺に過去の歴史をまとめられた本を貸してくれたいい奴が居てな。そいつから貰った本をいろんな時間の合間合間に見ていたからな。お前の行った愚策も、今の帝王様が行った素晴らしい政策なんかも知ってるぞぉ?」


じゅんきはそう言いつつ、あの時の店主に感謝した。あの時じゅんきに渡されたのはこのブルテナ帝国の大まかなではあるが、細かいことも載った歴史書。国の成り立ちから王様のやってきた政策や行いまでもが書かれていた。


じゅんきはそう言いつつ、あの時の本を渡してくれた店主に感謝した。あの時じゅんきに渡されたのはこのブルテナ帝国の大まかなではあるが、細かいことも載った歴史書。国の成り立ちから王様のやってきた政策や行いまでもが書かれていた。


割と最近のことも記載されており、学ぶにはうってつけだったものの、こんな本はどうやって制作されているのか、なぜこんなにも詳しいことが書いてあるのか、そしてなぜ民間人で、王族との関係性なんて少なそうな店主が持っていたのかは不思議に思ったが、気にしても仕方ないのでじゅんきはそのことについて考えるのを諦めた。


「デミズを吸収してこの国をさらに強くしつつ、自分は美人な奥さんができて、この国を自分の思うがままに動かそうと言う計画だったのだろうが、残念だったな!」


勝ち誇った顔でじゅんきはそう言った。


政策のことも実際に獣人を奴隷にしていたことで裏が取れていたりなど、言い逃れのできなくなった腹黒王子を、来賓の皆は冷めた目線で見た。


「タイクーン。貴様。余のいないところでそんなつまらない政策をしていたのか!通りで獣人の奴隷が増えていたりしていたのか!…貴様ももう良い年で、余の跡を継ぐものとして国の統治のやり方を実践を持って指導しようとしたのだが…他の国…しかも大切な隣国に迷惑をかけ合って!それに留まらず、その国を強制的に手に入れられないと悟るとすぐにこのような形で再び迷惑をかけるとは…恥を知れ!」


帝王様大激怒である。どうやら王様は今日に至るまでこのことを知らなかったらしい。…ここまで隠せていたのか、それとも単に王様が馬鹿なのかは知らないが、王様がまともな人で本当に良かったとじゅんきは思った。


「タイクーン!貴様に余の跡を継ぎ、王様となる次期帝王の資格はない!勝手な政策で大切な民を殺した罪、隣国であるデミズに、そして、今日来てくださった来賓の方達への多大なる迷惑など、もろもろの罪で貴様を現時点を持って処刑にする。この結婚も破談とする!」


帝王の怒りは止まることを知らず、とうとう処刑という言葉まで出てきた。ここまでのことになるはずではなかった王混も、ここにきていたほぼ全員の奴が驚きの表情をあらわにした。


「ち、ちょっとまってください!父様!」


「なんだ!貴様に話すことはない!」


「父様のご期待を裏切り、国の宝とも言える兵士を動かし、そしてその兵を返らない人にしてしまったのは私の責任です!ですが!この国を、より強靭な国にしようと思ったのです。決して自身のためなどではないことは知って欲しいのです!」


王子の屁理屈とも言えそうな発言、涙目で、斬首されかけの体制で叫ぶように自身の親に訴えかける王子。その姿はなんとも醜く、シストリエスやガタルは勿論、来賓できていた人(特に女性)やクラスの女子達がほとほと呆れたような顔をしていた。


「…うぅむ…」 


そして王様は自身の息子の涙を持って訴えた言葉にはやはり弱いのか、王様は王子を手にかけさせることを一旦辞めさせ、考えた。


やはりこんなにも腐っていても息子は息子。大切なのだろう。ならば、王子自身で諦めてもらうのが効率的であるとじゅんきは考えた。


「なら、こうしようじゃないか王子様よ。このブルテナ帝国は戦いによって物事を決めたり、領土をここまで広げた過去があるだろう?なら、王子よ、俺と戦おう。ガタルとの婚姻はまだ完全には破局していない。その婚姻の続きを続けられるか、そして、ここで奴隷となっていた獣人の権利で争うことにしよう。その方が王子だって、この国の来ている来賓の人達だって、そして獣人達も満足するだろう」


ガタル、驚愕。じゅんきの突然の発言により、ガタルはものすごく涙目になりながら首を横にブンブンと振った。このことにはシストリエスも驚きを隠せずにいた。


王子自身も望んでいた結果が敵の、しかも自身がこんな仕打ちに合わせた張本人からの誘いである。ぱぁっと顔を明るくした。


「勝負は簡単。今から俺と、お前、お前は好きな部下を3人までつけていいぜ?俺が全員を倒せば俺の勝ち。奴隷になっていた奴も、ガタルも俺が自由にする。婚姻なんて当然取り消しだ。…そして、お前が勝利した場合は、逆にガタルのことも、デミズのことも好きにしていいし、奴隷になった獣人も、元に返す。それでいいな」


「はっ。2つ忘れているぞ?」


「あ?」


「一つは、お前の連れてきた女。あいつをよこすこと。そして、2つ目はお前が逆に私に逆らった罪を背負ってもらうことだ」


どこまでクズなんだこいつは…とじゅんきは思った。


「いいだろう。あと、最低保証として、帝王様、仮にこいつが負けたとしても、処刑はなしにしろ」


「…なぜだ?」


「死んでしまえば、そこで罪は終わる。だが、生きさせ続けると、罪は死ぬまで消えない。業を背負い、自分のしたことに悔いながら生きさせることが大事だからな」


「…いいだろう」


「嘘だろ…帝王様が…ごく一般の奴の意見を聞くなんてな…」


そんな風にしてざわめく会場で、婚姻ではなく、唐突なるバトルが始まろうとしているのだった。

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