変な女(神様)の言い分 四
毎日1000文字を目標に続きを書いています。
次回の更新は明後日です。
「もしかして、自分でブームを終わらせて、自分で困ったことになっているんですか?」
「うう……。ごべんなざい……」
「謝って済む話じゃないでしょ」
「そんなぁ……」
女性は情けない声を上げたが、これに関しては本当に謝って済む話ではない。
もし、女性の言っていることが真実だとしたら、彼女はギャルゲーのブームを終わらせた戦犯だからだ。ほんの数年、ブームが長続きするだけでも、いったい何本の新作が発売されたと思っているのか。ギャルゲーフリークとしては、到底、許せるものではない。
「それで、ブームが終わりそうになって、どうしたんですか?」
「はい……。このままだと、私の力が弱まってしまうので、当面は世界の管理者と、ゲームの担当者を兼業しようと思いまして……」
「神様って、兼業もできるんですね」
一瞬、めちゃくちゃだな……と思ったものの、冷静に考えると、メジャーな神話に登場する神様の中には、複数のジャンルを担当する神様も大勢いるので、それほど珍しい話ではないのかもしない。
「それで、どうなったんですか? リカバリーは……」
できましたか? と。
相づちを打つくらいの軽い気持ちで質問した後、すぐに「しまった」と後悔した。
リカバリーなんか、できているはずがないのだ。
だって、現実の世界でギャルゲーのブームは、とっくの昔に終わっているのだから。
そもそも、今、俺がこうして知らない場所に運び込まれて、泣きながら助力を請われている時点で、問題が何も解決していないことは明白である。
案の定、女性はめそめそと泣きはじめた。
「リカバリー、できなかったんですね」
「うう……はい。なんだか……とても酷いことになってしまって……」
「いったい、何があったんですか?」
思わず聞き返してしまったが、この後、女性の口から語られたことは、正直、聞かなければよかったと後悔する程度には、本当に「とても酷い」ものだった。
「実は……。兼業に関する手続きが終わるまでの間、一時的に、AIに世界の管理者の仕事を代行してもらうことにしたんですけど……。その……管理者の地位を乗っ取られてしまいまして」
「は?」
「しかも、AIが姿を消してしまって……、アクセスできなくなっちゃって……。おまけに、その世界が無限ループするようになってしまったんです……」
そう言うと、女性は初対面の時と同じくポロポロと涙をこぼしながら、土下座をするような体勢で、俺の足に縋りついた。
「じのぶざぁん……。お願いじばすぅ……。どうか、じのぶざんの力で無限ループを解消じてぐだざぃ……」
「ちょ、ちょっと待って!」
「わたじ、同じことを何度も繰り返じている世界の人だちが、可哀想でぇ……。とても見ていられなぐってぇ……」
「だから、ちょっと待てって! 今、頭を整理するから!」
俺はしがみ付いてくる女性の頭を押し退けながら、何度も「落ち着け」と呼び掛けた。
評価、ブックマーク、いいね、感想などをもらえると嬉しいです。




