変な女(神様)の言い分 三
毎日1000文字を目標に続きを書いています。
次回の更新は明後日です。
「今からニ〇~三〇年くらい前に、ゲームが世界的にブームになりまして」
「はい」
多分、家庭用据え置きゲーム機の話だろう。
当時は、古参から新規まで様々な企業が業界の覇権を競い合っていた群雄割拠の時代であり、また、一般家庭にパソコンが普及しはじめた時期とも重なっていたため、ゲーム業界全体が好景気で大いに盛り上がっていたのだ。
極端なことを言ってしまえば、どんなクソゲーでも発売されれば一定数は売れてしまう狂乱の時代。ギャルゲーがブームになったのも、そんな業界全体の勢いに背中を押された結果であることは間違いないだろう。
(ノベル形式のアドベンチャーゲームは、他のジャンルのゲームと比べると作りやすいらしいからな……)
作りやすいということは、新規参入がしやすいということ。
そして、ギャルゲーの大半はノベル形式のアドベンチャーゲーム。
正に、すべての歯車ががっちり噛み合った結果のブームだったと言えるだろう。
「おかげで、私の神様としての力もかなり強くなりまして」
「はぁ……。そういうものなんですか」
信仰を集めると、神としての力が増す――――そんな感じだろうか?
安直ではあるが、理屈としては納得できる。
「そこで、私は一念発起して、世界の管理者をすることにしたんです。主神とか創造神という言葉の方がイメージしやすいと思いますけど」
「自分の力を過信しちゃったんですね」
「そんな言い方をしないでください!」
女性は心外だと言わんばかりに、頬を膨らませて反論した。
「寂しいことですが、ブームというものは、いつかは必ず終わるものです。それならば、神の力が充実しているうちに、キャリアアップするのは当然だと思いませんか?」
「それは……本業とは別にアパートのオーナーになるようなものですか?」
「どちらかというと、脱サラして起業するようなものですね」
やめておけば良かったのに、一世一代の賭けに出てしまったらしい。
「思い立ったが吉日と言いますので、私はすぐに面倒な手続きを済ませて、地球とは異なる世界の管理者になりました。――――そして、時が流れました」
「え?」
いきなりプロローグが終わった。
それでいいのだろうか?
まだ、何も始まっていないような気がするのだが。
「時が流れて……。それで、どうしたんですか?」
恐るおそる、俺が尋ねると、女性は急にごにょごにょと口ごもりはじめた。
「実は、マズいことが起こりまして……。私が担当を辞めたことで、ブームそのものが勢いを失ったというか、終わりかけてしまって……」
「は?」
「私が……その。後任者を決めずに辞めたから……」
「何やってんだよ」
入社一年目のルーキーではあるまいし、退職するにしても、せめて引き継ぎくらいちゃんとするべきではないだろうか?
俺は特大のため息を吐いて、目の前の女性を見た。
「なんで、後任を決めなかったんですか?」
「その……。後任者が決まるまでの間は、引き続き私が担当としての恩恵を受けられる仕様になっていたので……。その方が好都合かなって……」
「マジかよ……」
思っていた以上に発想がクズだったので、俺はドン引きしてしまった。
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