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変な女(神様)の言い分 ニ

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「私がただの人間だったら、誰にも気づかれることなく、シノブさんをここに連れてこられるわけがないじゃないですか!」


「む……」


 たしかに、それは一理ある。


 俺は間違いなく、自分の部屋で仮眠を取っていたはずなのだ。意識の無い人間を運ぶのは、とても大変だという話を聞いたことがある。眠ったり、気絶したりしている人間は、運び手のことを考えて、体勢を変えるなどの協力的な行動を一切取らないからだ。


 少なくとも、目の前の華奢な女性が単独で俺を運搬することは、不可能だろう。


(でも、仲間がいれば……)


 ふと、そんなことを考えたが、それでも、眠っている俺を起こさないようにして運ぶのは、難易度が高いような気がする。


「何かの薬品を嗅がせて、完全に気絶させてから運ぶとか」


「そんな非人道的なことはしません! シノブさんは私を何だと思っているんですか!?」


 女性は憤ったが、そういえば、初対面であるはずの女性が、当然のように俺の名前を知っていることも疑問だ。まあ、個人情報の流出など珍しい話ではないし、名前や住所くらいなら、簡単に調べられてしまうのかもしれないが。


「それで、神様がいったい俺に何の用なんですか?」


 このままではラチが明かないので、いったん、俺は女性の話に乗っかることにした。


「信じてくれたんですね!?」


「まあ……はい」


 ろくな説明をしなかった相手に「やっと苦労が報われた」みたいな顔をされるのは癪だが、言い返したところで、話が堂々巡りになるだけだ。


 ここは油断(安心)させて、少しでも有益な情報を引き出すべきだろう。


 女性は丁寧に言葉を選びながら、自分の正体について語りはじめた。


     *


「私、元々は付喪神の系譜に連なる神様だったんです」


「付喪神って……。道具に宿る神様ですよね?」


 万物に神が宿るという、多神教の極致のような神様だ。


「そうですね。私は道具の中でもゲーム部門に所属していまして」


「部門……?」


「はい。その中でも男女間の恋愛を楽しむジャンルのゲームを担当していました」


「……それってギャルゲーですよね」


 なんだか、急に俗っぽい話になった。


「いくらなんでも、ピンポイントすぎませんか? 範囲が限定的というか、狭すぎるというか……」


「仕方ないじゃないですか。私に、この世に存在するすべての道具を司れるとでも?」


「なんで、ちょっと開き直ったような言い方なんだよ」


 要するに、目の前の女性は、道具の中でもゲームだけを、ゲームの中でもギャルゲーだけを担当する神様らしい。


(絶妙に下っ端というか、平社員というか……)


 全知全能などと言い出していたら鼻で笑っていたのだが、ここまで格下感を出されてしまうと、逆に信憑性があるというか、妥協して受け入れてしまいそうになる。


(いかんいかん)


 どんなに下っ端でも、神様を自称していることには違いないのだ。妥協して受け入れるべきではない。


 俺は、もう少し詳しい話を聞くことにした。

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