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主人公になってください

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

 女性の話をまとめるとこうだ。


 ギャルゲー担当の神様を辞めて、別世界の管理者に就任した女性は、管理者の権限を駆使して、自分が管理する世界を平和で素晴らしいものにしようと意気込んでいた。


 だが、女性が後任を決めずに辞めたことが原因で、隆盛を極めていたギャルゲーのブームが終わりかけてしまう。


 焦った女性は、慌てて世界の管理者とギャルゲー担当の神様を兼業することにしたのだが、事務的な手続きをしている間、管理者の仕事を一時的に代行させたAIが失踪して、事実上、その地位を乗っ取られる形になってしまった……ということらしい。


「おまけに、その世界が無限ループしてるんですか?」


「はい……。多分、三年くらいの周期で時間が巻き戻ってしまっていて……。原因も分からないし、そもそも、今の私には管理者の権限が無いから、どうすることもできなくて……」


「打つ手が無いと」


「はい……。もう、シノブさんに何とかしてもらうしか……」


「なんでだよ」


 自称神様に解決できない問題を、ただの大学生である俺に解決できるはずが無い。


「俺に、いったい何ができるっていうんですか」


 単刀直入に尋ねると、女性は半べそをかきながら、予想外の答えを口にした。


「シノブさんには「主人公」として世界に転移していただいて、無限ループの原因を突き止めてほしいんです」


「主人公?」


「はい。私、兼業という形でゲーム(ギャルゲー)の神様に復帰したので……。そっちの力を使って、なんとか「主人公」枠を作り出すことに成功したんです」


 世界の管理者も、ギャルゲー担当の神様も、どちらも同じ「神様」なので、横やりを入れる形での干渉はできるらしい。


「それで、俺にその世界に潜り込んで、無限ループの原因を突き止めろと?」


「はい。原因を突き止めて、できることなら解消してください。ついでに、行方不明になっているAIを探し出して、私に管理者権限を返すように説得してくださると助かります。あと、余裕があったらでいいので、ループする世界で助けを必要としている人たちを救っていただけないでしょうか」


「やることが多いですね」


 そして、どれもこれも、俺にできるとは思えない。


「というか、なんで俺なんですか? 候補者なんて、他にいくらでもいるでしょうに」


「それは、前任の人に推薦されたから……」


「前任?」


 どうやら、女性は俺以外にも声を掛けて、問題の解決を依頼していたらしい。


「シノブさんは記念すべき百人目の主人公でして……」


「多いな!」


 ということは、今までに九十九人の主人公(拉致被害者)が挑戦して、悉く失敗したということだ。ますます、俺に解決できる問題だとは思えない。


「そもそも、俺を推薦した前任者って誰なんですか?」


「天堂ジュンさんです」


「兄貴じゃねーか!」


 俺は思わず大声でツッコんでいた。


「え、本当に? 同姓同名の別人じゃなくて?」


「〇〇病院にお勤めの天堂ジュンさんです」


「それは兄貴だな」


 職場まで特定されてしまったら、疑いようがない。まごうことなき俺の兄貴だ。


「手紙も預かっています」


 追い打ちをかけるように、女性は折り畳まれた便箋を手渡してきた。


 恐る恐る手紙を開いて見ると――――


「……兄貴の字だ」


 見覚えのある綺麗な文字が並んでいた。


 見間違えるはずがない。なにしろ、俺は中学・高校の六年間、兄貴が学生時代に書き残したノートを参考書の代わりに熟読して、中間考査と期末考査を乗り越えてきたのだから。これは疑いの余地なく、兄貴の字だ。


 手紙には次のように書かれていた。

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