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兄の手紙

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

 忍へ。


 お前がこの手紙を読んでいるということは、俺は無事に元の世界に戻ることができたのだろう。


 今、お前の目の前には、話し掛けるのも躊躇してしまうほど綺麗な容姿の女性がいて、にわかには信じがたい話と頼みごとを、お前にしているはずだ。


 結論から言うと、彼女の話はすべて真実だ。


 彼女は俺たちが神や天使と呼んでいるような人間よりも高位の存在で、世界に干渉する力を持っている。


 俺は彼女に請われるまま、彼女が管理する世界に「主人公」として飛び込み、問題の解決を試みたようだが……。残念ながら、無限ループを解消することも、原因を特定することもできなかった。


 どうやら、俺は三回ほどループを経験したらしい。


 間違いなく「経験した」と断定できないのは、ループする際に記憶にもリセットが掛かってしまうため、手に入れた情報を次の周回に持ち越すことができないからだ。現に、今の俺には主人公として世界で過ごしていた日々の記憶が、まったく無い。


 だが、日記をつけたり、メモを残したりすることで、この問題はある程度解決するので、お前もメモを取るようにしろ。俺が今までのループで書き溜めた三周分のノートも置いていくので、是非、有効活用してほしい。


 残念ながら、俺は三周しても無限ループの原因を特定することができなかった。


 三回やっても、何も進展が無いのであれば、恐らく、この問題を解決することは、俺には不可能なのだろう。このまま続けても効率が悪いと判断し、ギブアップすることにした。


 お前を次の候補者に推薦したのは、お前なら無限ループの謎を解き明かすことができるかもしれないと思ったからだ。


 お前にならできる。大学生にもなって、アパートに引きこもり、飽きもせずにゲームばかりやっているお前になら、きっと世界の謎を解き明かすことができるはずだ。


 いつものようにゲームをクリアする感覚で、問題に挑むといい。なにせ、ギャルゲーの神様が管理者を務めている世界だ。絶対に何らかの影響を受けている。


 そう考えると、ちょっとだけやる気が出てこないか?


 いっそ、ギャルゲーの主人公になったつもりで、行動するのもありなんじゃないか? 案外、そうすることが問題を解決するための近道なのかもしれないぞ。


 何だかんだ、いろいろなことを書いてしまったが、所詮、地球とは関係の無い別世界の話だ。辛いと思ったら諦めてしまっても、全然、構わないと思う。気楽にやるといい。


 自慢の弟の健闘を祈る。


 追伸 プリムラさんは想像以上にポンコツだから、注意するように。


 兄より。

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