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町はずれの教会

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

 アミを見送った後、俺はラップを引き連れて、町はずれにある教会に向かった。


 前回のループの最後に鳴ったという鐘の音について、詳しく調査するためだ。


 プリムラの書き残した「あの鐘を鳴らすのは貴方?」という要領を得ないメモについては、今でも真意を読み取ることができない。攻略ノートを見る度に「ふざけんなよ」という思いでイライラするが、重要なヒントであることは間違いないので、無視するわけにもいかない。


 調べたところ、アセビの町にある大きな鐘は、アカデミーにある時計塔の鐘と、町はずれの教会にある聖堂の鐘の二つだけのようだ。


 そのうちの一つ。アカデミーにある時計塔の鐘については、既に調査済み……というか、毎日のように聞いているものなので、今更、調べるまでもない。講義や訓練の開始時間を告げる時報としての役割を果たす「学校のチャイム」的なものだ。


 アカデミーの敷地内ならどこにいても聞こえるため、それなりに大きな音で鳴っているが、近隣の住民に対する配慮も必要なので、北の山の展望台まで響くような大音量で鳴ったことは一度も無い。アカデミーが町の中心にあるのだから、当然といえば当然だろう。


 よって、前回のループの最後に俺が聞いた鐘の音は、アカデミーにある時計塔の鐘ではないだろう……と、俺は結論付けた。


 そして、今日は残りの一つである町はずれの教会にある鐘を調査しに行くのである。


「なんで、休みの日に、お前と二人で教会に行かなきゃならないんだよ」


 休日の予定を潰されたラップは、あからさまに不満たらたらの様子だ。


「たまにはいいじゃないか。お前も選抜試合で無事に敗北したことだし」


「無事に……ってなんだよ! 武器を持ってこいなんて言うから、てっきり模擬戦をするのかと思ったのに!」


「ふふふ……。今日は模擬戦どころじゃないかもしれないぜ?」


 俺は不敵に口角をつり上げて、教会への道を歩き続けた。


 今日、俺がラップに声を掛けたのには、勿論、理由がある。


 一つは、町長の息子というラップの肩書きを最大限に利用して、教会にいる人たちの信用を得るため。

 もう一つは、教会にある聖堂の鐘を調べた後、そのまま北の山に向かって人買いグループに対処するためである。


 現在は選抜試合が終わった直後のタイミングなので、前回のループと同じであれば、人買いグループは既に北の山に潜伏しているはずなのだ。


(……結局、今回のループでは、レジーナと会うことができなかったけど)


 それでも、人買いグループを放置してよいことにはならない。


 ラップを連れて山に登り、空き家になっているはずの別荘を何者かが無断で使用している状況証拠(足跡で十分だろう)を見つけてしまえば、その後はラップが勝手に動いて、衛兵を呼んでくるなり、町長である父親に報告するなりして、人買いグループの問題を解決してくれるはずだ。


「お前って、本当に最高の便利屋だよな」


「は? 何の話だ?」


「いや、こっちの話」


「お前さ……。たまに意味の分からないことを言ったりやったりするの、やめろよ」


 怖いんだよ、と。


 ラップが俺の発言に恐れ戦いたところで、俺たちは町はずれの教会に到着した。


 町はずれというだけあって、周囲には建物が多くない。市街地と比べると人通りは皆無に等しく、物寂しい雰囲気があった。


「この辺って、普段は全然来ないな」


「俺もそうだな。教会なら、町の中心にも幾つかあるし」


 わざわざこんな町はずれの教会に足は運ばない、と。


 ラップは聖堂の鐘を見上げながら、俺との会話に応じた。


「で、あの鐘がどうしたって?」


「お前、あの鐘が鳴っているのを、聞いたことあるか?」


「ねーよ。普段、こんなところまで足を運ばないって言っただろ」


 俺とラップがそんな話をしていると、教会から一人の少女が出てきた。

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