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エスタ攻略法

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「は? なんで? 初戦はA組とB組の生徒を戦わせるんじゃないの!?」


「普通なら、そうするんだけどさ。……なんで、それを知ってるんだ?」


 ペダルは不思議そうに首を傾げたものの、特に追及することなく、理由を説明した。


「お前をB組の奴とぶつけるのは違うかなーって思ったんだよ。ほら、お前って、どちらかと言えばB組寄りのA組……というか、ぶっちゃけA組の中では底辺だろ?」


「ぶっちゃけ過ぎだろ! そうだけども!」


 いくら事実でも、指導者の立場なのだから、もっとオブラードに包んだ表現をしてほしい。


「だったら、お前には最初からA組の奴と戦ってもらおうと思ってさ」


「だとしても、いきなり頂点!? 底辺を頂点にぶつけるとか、もはやイジメでは?」


「いや。でも、一位とニ位を戦わせて、ニ位の奴が交流戦に出られなかったら、それはそれで不公平だろ? 選抜試合なんだから、きっちり上が勝ち残るように試合を組むべきなんだよ。下の奴が交流戦に出るには、番狂わせを起こすしかないんだ」


「ぐぬぬ……」


 ペダルからド正論を返されてしまい、俺は言い返すことができなかった。


「ほら。納得したなら始めるぞ」


 さっさと武器を構えろ、と。


 ペダルに言われて、俺が正面を向くと、既に木剣を構えているエスタと目が合った。


「よろしく。お手柔らかにね」


「それは、こっちのセリフじゃい!」


 エスタはA組の剣のエースにして、クラスの精神的支柱――――要するに、リーダーでもある。強くて、爽やかで、イケメンで、性格も良くて、正にラップの完全上位互換なのだが、今、この瞬間に限っていえば、余裕の笑みを浮かべている嫌な奴だ。俺に負けるなどとは、微塵も思っていないのだろう。


(……まさか、いきなりA組のラスボスと戦うことになるとは)


 普通に考えれば、俺に勝ち目は無い。クラスメイトなので、何回か模擬戦で手合わせする機会はあったのだが、正直、大人と子供くらい技術に差がある印象だった。


 とはいえ、これは模擬戦ではなく、より実戦に近い形式の選抜試合だ。


 そして、選抜試合でエスタと対戦するのは、これが初めてではない。エスタとは過去のループで一度だけ対戦したことがあり、その時は奇襲が功を奏して(結果的には瞬殺だが内容的には)善戦している。


 エスタは、技術面ではA組の中でも頭一つ飛び抜けているものの、素の身体能力はそこまで高くなかったはずだ。訓練で延々と走らされた時も、俺より先にギブアップしていた。


 つまり、守りに徹して、粘って、粘って、スタミナ勝負に持ち込むことができれば、俺にも僅かな勝機があるのではないだろうか?


(これだ! これしかない!)


 俺は泥仕合に持ち込むべく、守り重視の構えを取って、エスタの出方を窺った。


     *


「そこまで! 勝者、エスタ!」


「あざました!」


 結局、猛攻を捌き切れずに一撃を食らってしまった俺は、敗北を喫してしまった。


「もう少しだったな。まあ、狙いは良かったんじゃないか? お前が勝つには、相手が疲れるのを待つしかないもんな」


 でも、動きがワンパターンすぎたな、と。


 ペダルは俺の作戦をきちんと理解した上で、敗因を説明してくれた。


 俺がこの試合で取った戦法は、とにかく相手に木剣を振らせて、自分より先にバテさせるというものだ。


 そのため、俺は試合開始直後から木剣を振ってエスタを牽制しつつ、後ろに退いたり、横に回り込んだりして、とにかく剣の攻撃が届かない間合いに身を置くことに専念したのである。


 模擬戦でこれをやると、教官から「真面目にやれ」と怒られてしまうが、選抜試合では何も言われない。時間を掛けて相手の体力を削るのは、立派な戦術だからである。


 だが、ペダルに指摘されたとおり、ワンパターンすぎたようだ。

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