なぜ出会えないのか?
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次回の更新は明後日です。
今回、主人公が予想している1~4の仮説の中に正解があります。
何度もループを繰り返す中で、俺には遵守するように心掛けているルールが二つある。
一つは、前回とは違う行動を取ってみること。
これにより、思いがけないところから大きなバタフライエフェクトが発生し、世界線が書き換わって、異なる未来に繋がることがある。
そして、もう一つは(一つ目のルールとは逆なのだが)最善だと思われることについては、毎回、同じ行動を繰り返すことだ。
例えば、クラス分けでA組になってもラップやクランと友人になったのは、それが最善だと判断したからだ。
毎回、人買いグループの犯行を未然に防ごうとしているのも、そうすることが最善であると信じているからだ。
そして、そういった最善の行動の中に「レジーナと知り合うこと」が新たに加わったのだが……。
これが上手くいかなかった。
放課後や休日を使って、どんなに町をうろついても、それらしき人物を発見することができなかったのだ。
攻略ノートによれば、レジーナは褐色の肌をしており、いつもフード付きの厚ぼったい服を着ていたらしいので、比較的簡単に見つけられると思っていたのだが……。
調べものをするために通っていたらしい図書館にも足を運び、司書に尋ねても、それらしき人物には心当たりが無いとのこと。
以上のことから導き出される仮説は、次のとおりだ。
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一、レジーナはまだアセビの町に到着していない。
二、アセビの町に滞在しているが、前回とは異なる名前や服装で行動している。
三、俺がレジーナを探していることに(俺より先に)気がつき、身を隠してしまった。
四、今回のループでは、アセビの町を訪れていない。
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この中で、最も可能性が高いのは三だ。
俺の予想では、レジーナの正体は獣人国のお姫様(失踪中)なのだが、これは祖国に連れ戻すための追手を差し向けられていても、まったくおかしくない立場・肩書きだと言える。故にレジーナ本人も、「自分を探している人物」のことは、無条件で警戒するはずだ。
だから、レジーナの方が先に、人探しをしている怪しい人物――――要するに、俺の存在に気づいた場合、警戒して身を隠すことは十分に考えられるのである。
また、身を隠すための方法として、二の仮説にあるように、名前や服装を変えているかもしれないし、そもそも前の周回で名乗っていた「レジーナ」という名前が偽名だった可能性すらある。そうなると、名前と服装以外に手掛かりを持たない俺には、レジーナを探し出すことは困難になるのだ。
(ここまで捜索が空振りするってことは、多分、そうなんだろうな)
というわけで、仮説の二と三の蓋然性は、かなり高め。
逆に可能性が低いのは、仮説の一と四だ。
無限ループに陥っているとはいえ、世界は毎回、まったく同じ展開を辿っているわけではない。変えることのできない「大きな流れ」は存在するが、本流に影響を与えない程度の小さな変化は、毎日、世界中のいたるところで起きているはずだ。
例えば、本当に些細なことではあるが、毎日飲むコーヒーに入れる砂糖の量である。
誰でも、その日の気分やコーヒーの濃さによって、砂糖の量を少しだけ増やしたり、減らしたりすることはあるだろう。ごく些細な変化ではあるが、それを毎日繰り返すことによって、補充用の砂糖を買いに行く日が、何日か早くなったり、逆に遅くなったりするのである。買い物に行く日が変われば、特売などの理由で、いつもとは違う店に行くかもしれない。そうなると、もう、その日の行動がすべて変わってくるはずだ。
そういう小さな変化が積み重なることによって、大きな変化が起こる。
そして、大きな変化が積み重なることによって、本流すらも捻じ曲げてしまう巨大なうねりが発生するのである。未来を変えるとは、そういうことなのだ。
だが、それはあくまでも小さな変化が積み重なった末に起こることであり、スタート直後の序盤から大きな変化は起こらない。
ループの性質上、スタート直後の行動は、全員、同じはずだからだ。例えば、アミは毎回、俺を起こしに来てくれるし、ペダルは毎回、クランのクラス分け試験を見守っている。
それと同様に、前回、かなり早いタイミングで俺と出会ったレジーナも、選抜試験を間近に控えたこの時期には、既にアセビの町に滞在していなければおかしいのだ。あれだけアセビの町の調査にこだわっていた(多分、人買いグループの潜伏先に関する情報を掴んでいたのだと思われる)レジーナが、ループ開始直後に謎の心変わりをして、他の場所に行ってしまうとは考えにくい。
故に、仮説の一と四の可能性は低いと、俺は結論付けたのである。
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