綺麗に折られている
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次回の更新は明後日です。
その後、現場に駆け付けた衛兵と、なぜか一緒にやって来たペダルによって、現場の検証が行われた。
ペダルの話では、麓からここまで来る道中、誰ともすれ違わなかったらしい。
山道は一本道なので、一足早くレジーナが下山してしまったか、あるいは木陰に身を潜めてペダルと衛兵をやり過ごしたのだろう。
「たしかに、報告を受けて急いで来たけど……。うーん、気づかなかったかぁ」
ペダルは釈然としない様子で、ため息を吐いた。気づけなかったことに、ショックを受けている様子だ。
「物陰に潜んでいたのが弓矢を持った敵なら、死んでいた可能性もありますね」
「うっせーな。とっくに下山した後だったかもしれないだろ」
「まあ、そうですね」
俺と別れた後、レジーナが走って下山したのなら、その可能性はあるだろう。
だが、去り際と同じように、悠然とした足取りで下山したのであれば、途中でペダルたちと鉢合わせていた可能性の方が高いように思える。
だとすれば、やはり、レジーナは面倒事を避けるために適当な物陰に身を隠し、急いでいたペダルと衛兵をやり過ごしたのではないだろうか。
「それにしても……。これ、本当にレジーナっていう女がやったのか?」
「そうですね。縄を持っていないからって」
足を折られて歩くことのできない男たちを見ながら、ペダルが顔をしかめた。
「えげつねぇな」
「何がですか?」
「全部、一撃で折ってやがる」
力任せに何度も武器を振り下ろすような真似はせず、事務的に、丁寧に、淡々と、薪を割るように、すべて一撃で骨を折っているのだという。
「普通の人にはできませんか?」
「お前には、できるか? 無抵抗の奴の脚を六本、鈍器でへし折れと言われたら」
「……それは、ちょっと無理ですね」
当たり前のことだが、武器を使って相手を躊躇なく攻撃できるのは、それが「やるかやられるか」という、ある意味、極限の状況だからだ。無抵抗の相手を一方的に痛めつけろと言われたら、どうしても躊躇が生まれてしまう。
でも、男たちはすべて一撃で、両脚を綺麗にへし折られているらしい。たしかに、記憶の中のレジーナは、一切の躊躇なく武器を振り下ろしていたように思える。
「何者なのかは知らんけどな。そのレジーナって女、間違いなく実戦慣れしているぞ。正直、どれくらい強いのか、俺にも分からん」
戦場では会いたくない、と。
ペダルは面識すらないレジーナに最上級の評価を与えて、話を締めくくった。
*
その後、今回の事件は、人買いグループの不法侵入と、彼らに対するレジーナの傷害(または過剰防衛)として立件された。
俺は重要参考人して事情聴取を受けたが――――調査の結果、人買いグループが不法侵入以外にも色々とやらかしていたことが判明したらしく、犯罪者を現行犯逮捕しただけなら違法性も無いだろうという(非常に雑な)判断が下されて、晴れて自由の身になった。
「よくよく考えれば、お前の剣の腕前で、武装した大人を三人まとめて返り討ちにできるわけないもんな。魔法だって使えないし。あはははは」
ペダルのこの証言も、最終的な判断に影響を与えて、俺は事件に巻き込まれただけの第三者に過ぎない(そもそも共犯と呼べるほど強くない)と、結論付けられたようだ。
それはそれで、釈然としない話ではあるが。
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