↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/90

奴隷商

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「落ち着いたか?」


「うん……。なんとか」


 その後、這って逃げようとした男たちを、レジーナが(再度攻撃して)完全に気絶させた後、俺たちは貴族の別荘だった建物まで歩いてきた。


「すまないな。シノブを驚かせたり、怖がらせたりするつもりはなかったんだ」


「いや、大丈夫。それより、助けてくれてありがとう。レジーナ、めっちゃ強いね」


「そうか? それほどか?」


(嬉しそうだな……)


 ドヤ顔でニヤニヤするレジーナを横目で見ながら、俺は先程の大立ち回りを思い出した。


「炎を出したのって、魔法?」


「そうだ。基礎の基礎だけどな」


 それにしては、アミが訓練でよく唱えている基本的な呪文とは、違うものだったような気がする。まともに聞き取れなかったので、何とも言えないが。


「なんだ、この建物は。まったく手入れをされていないじゃないか」


 別荘の正面入口の前に立ったレジーナは、憤慨した様子で建物の周囲を見回した。


 遠目には立派な屋敷だったが、近づけば雑草が生え放題。外壁の塗装も剥げて、見るからにボロボロの状態だった。


「今は、誰も管理していないみたいだね」


「そんなことだから、あんな連中に利用されるんだ!」


 レジーナはぶつぶつと文句を言いながら、正面入口の扉に手を掛ける。


「他にも仲間がいるかもしれないから、気を付けないと」


「警戒しているから問題無い。もし、何かあっても、私が守ってやる」


(いちいちイケメンだなぁ……)


 もし、レジーナが男だったら、完全に主人公の座を乗っ取られていただろう。


 俺も、これくらい実力があったら、こんなイケメンムーブができるのだろうか? いつかは、そうなりたいものだ。


 扉を開けて別荘に入った俺たちは、屋内の光景を見て――――絶句した。


 虚ろな目をした何人もの人たちが、拘束された状態で、床に座り込んでいたからだ。全員、侵入者である俺たちを一瞥しただけで、まったく騒ごうとしない。


 そして、多くの人の頭には、犬や猫のような獣の耳が付いていた。


 ――――獣人だ。


(これは……予想が当たったみたいだな)


 どうやら、人買いグループの男たちは、隣国である獣人国からやって来たようだ。


 だから、男たちを生け捕りにした前回は、取り調べの過程で獣人国の政情不安を知ることができ、翌年の奇襲に備えることができたのだろう。


「なるほど。そういうことか」


 人知れず答え合わせをする俺の隣で、レジーナも納得したように頷いた。


「こいつらは奴隷だな。あの男たちは奴隷商だったというわけだ」


 思案する様子もなく、あっさりと正解を口にする。


「見ただけで分かるものなの?」


「反抗的な奴隷は、薬を使用して、無理やりおとなしくさせるんだ。こいつらが全員、反抗的だったとは考えにくいが、恐らく、逃走防止のためだろう」


 限界を超えて、廃人になるまで薬物を投与しなければ、時間を掛けて元の状態に戻すことはできるのだという。


「奴らにとっては、こいつらは人ではなく商品だからな。人道に対する倫理観が、一般人とは乖離しているのさ。すべての奴隷商が、同じことをしているとは言わないが」


 屋敷の中を歩き回り一部屋ずつ確認していくと、人買いグループの男たちが寝起きしていたと思われる部屋に、小分けされた大量の粉薬が入っている袋が置いてあった。


「多分、これだ。一つ、証拠として持ち帰ろう」


 そう言って、小さな手紙のように折り畳まれた薬包紙を俺に手渡すと、


「さて。――――それじゃあ、町に戻ろうか」


 レジーナは当然のように、アセビの町に引き返すことを提案した。

評価、ブックマーク、いいね、感想などをもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。