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レジーナ無双

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「お前たち、ここで何をしている?」


「……は?」


「大の男が揃いも揃って、薪割りでもするつもりか?」


 男たちが手にしているナタのような武器を指して、レジーナは口元に薄笑いを浮かべた。


 ――――間違いない。


 レジーナは意図的に、男たちを挑発しているようだ。


「私はお前たちのような、弱いくせに、徒党を組めば強くなると勘違いしている輩が、あまり好きではないんだ」


「何を!?」


 男の一人がいきりたったところで、レジーナはため息を吐いた。


「やれやれ……。これだけ言っても、自分たちが正当な権利者であると名乗りもしないし、私たちに「立ち去れ」の一言も無いのか。どうやら、お前たちも他人にどうこう言う資格の無い不法侵入者のようだな。――――麓の町に報告した方が良さそうだ」


「ちっ」


 レジーナに痛いところを指摘されて、男たちは武器を持ち直した。


 それを、臨戦態勢だと判断したのだろうか?


 レジーナは気を付けろと言わんばかりに俺を一瞥すると、


「――――無法者には、おとなしくしていてもらおうか」


 そう言って、あまりにも不用意に、ひょいっと男たちに近づいた。


『***』


 聞き慣れない言葉。


 次の瞬間、男たちの上着が一斉に燃え上がった。


「うわぁ!」


「なんだ!?」


 思わず武器を手放し、手で服を叩いて火を消そうとする男たちを尻目に、レジーナは足下に転がったナタのような武器を拾い上げると、


「――――ふっ!」


 刃の付いていない峰の部分で、男の側頭部を殴りつけた。


「ぐっ!」


 鈍い音がして、殴られた男が卒倒する。


「てめぇ!」


 それを見て、急いで武器を拾い上げようとした男を、レジーナは同じようにして殴った。


「身を屈めてどうする。殴ってくださいと、頭を差し出しているようなものだぞ」


 呆れたような声で呟くレジーナに、最後の一人が拾い上げた武器で襲い掛かった。


 ビュンと風切り音がして、レジーナの顔のすぐ近くを鉄の刃が通り過ぎる。


 それでもレジーナは表情を崩さず、再び聞き慣れない言葉を唱えた。


『*********』


「うわぁぁぁ!」


 直後、男の持っていた武器が激しく燃え上がった。


 万歳をするように武器から手を離した男の鼻っ面を、レジーナは峰の部分で強打する。


 あっという間の出来事。


 武装した大の男三人を、レジーナは一人であっさりと撃退してしまった。にわかには信じられない光景だ。


 だが、呆気に取られている場合ではない。


「あ、ちょ、ちょっと……!?」


 レジーナが、今度は倒れた男の首筋に刃の部分を当てて、トドめを刺そうとしたので、俺は慌てて声を掛けた。


「殺すのは……」


 言いかけて、思わず言葉を飲み込んだ。


 ――――こいつらは人買いグループだ。


 放っておけば、アセビの町の住人を拉致して、連れ去ってしまう悪党だ。しかも、さっきは間違いなく、レジーナを殺すつもりで攻撃していた。


 そんな連中にトドメを刺そうとするレジーナを制止する権利が、はたして俺にあるのだろうか?


 俺はただ、目の前で人が死ぬのを見たくないから、人道的な建前を口にして、善人ぶろうとしているだけではないか?


「……ふむ」


 思考の迷路に迷い込んでしまった俺を見て、レジーナは納得したように頷いた。


「そういえば、民間人を攻撃してはいけないのだったな。そういうことなら、ここはシノブの価値観に従おう」


 そう言って、男の首から武器を遠ざけたレジーナは、


「うぐっ!」


「ぎゃあ!」


 舌の根も乾かないうちに、峰の部分で男たちの脚をへし折った。


「拘束する縄が無いので、無力化するにはこうするしかなかった」


 許せ、と。


 レジーナは笑いながら俺の肩を叩いたが、俺はすぐに言葉を返すことができなかった。

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