↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/90

重要人物?

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

『レジーナと名乗る女性。


 アセビの町に出没する。厚ぼったいフード付きの服を着た女性。


 変わった人や物、事件などを探し、調査しているらしい。


 目立つ存在なのに、過去の周回では出会わなかった。今までも、アセビの町に滞在していたのだろうか?


 見るからに重要人物っぽいが、まだ詳細については不明。これは予想だが、いつもフードを被っているのは、獣耳を隠している(正体は獣人である)からではないだろうか』


     *


 レジーナとは、その後も街でばったり遭遇する機会が何度かあった。


「シノブ、その後、何か変わったことはあったか?」


 第一声は、いつもこれだ。


 変わったものを探しているというのは、どうやら、本当のことらしい。


「特に何も無いよ」


「そうか……。シノブにも見つけられないのなら、きっと無いのだろうな」


「そこまで、俺に全幅の信頼を置かれても困るんだけど」


 そもそも、変わったことの定義が、俺とレジーナで異なる可能性がある。


 俺にとっての「変わったこと」は、例えば、人買いグループが起こした失踪事件のように、どう対処するかによって、その後の未来が変わる転換点のことだ。


 レジーナにとっての「変わったこと」が、本当に言葉通りの珍しいものや、面白いものだとするならば、俺とは見ている景色が違うことになる。


「レジーナにとっての変わったものって、例えば、どんなことなの?」


「そうだな……。山のように大きな怪力の男や、百年以上生きている魔法使いとか……かな」


「そんな人間はいないと思うけど」


「私もそう思う」


 レジーナはあっさり同意すると、俺の服の袖をクイクイと引っ張った。


「ここで会ったのも何かの縁だ。先日、美味しい紅茶を出す店を見つけたので一緒に行こう。小腹が空いているなら、何か食べてもいいぞ」


「じゃあ、お言葉に甘えて」


 ここまでが、町でレジーナに遭遇した時のテンプレートだった。


 変わったものを探す一方で、レジーナはアセビの町の観光もしっかりしているらしく、毎回俺を知らない店に連れて行って、ご馳走してくれるのである。一度、今回は俺がお金を払うと申し出たことがあるのだが、その時は余計な気を遣うなと、逆に怒られてしまった。


(ぶっきらぼうな喋り方をするけど、何気ない仕草とか、妙に上品なんだよな)


 こういう意識していないところの所作が上品なのは「育ちが良い」からだろう。


 変わったものを探すなどという道楽めいた理由で一人旅をする資金があることを考えても、レジーナが貴族――――あるいは良家のお嬢様である可能性は高いと思う。


「レジーナって、いつもフードを被ったままだよね?」


「そうだな。だが、これを外すことはできないぞ? 個人的な事情で、素性を明かすわけにはいかないんだ」

「その個人的な事情についてなんだけど……。レジーナって、もしかして、良いところのお嬢様だったりする?」


 俺が思い切って、直球ど真ん中の質問をぶつけてみると、


「な、何の話だ? 私は、なな何も知ら……知らないぞ?」


 レジーナはあからさまに動揺して、俺の質問を否定した。これで誤魔化しているつもりなら、演技が下手くそすぎるにも程がある。


(この反応……。もしかして、当たりなのか?)


 もし、レジーナが良家のお嬢様だとするならば、一つ、心当たりがある。


 過去の周回でラップが言っていた「獣人国はお姫様が失踪しているせいで、政情が不安定になっている」というものだ。


 失踪したから政情不安が起きたのか、政情不安だから嫌になって失踪したのか、厳密なところは分からないが、いずれにしても、一国の姫の失踪とその国の政情不安がまったくの無関係ということはないだろう。

 それはつまり、お姫様が失踪したりせずに、何事もなく祖国に帰還すれば、獣人国の政情が安定するかもしれないということだ。

評価、ブックマーク、いいね、感想などをもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。