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お邪魔キャラ

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「あ。勿論、シノブくんの予定が空いていたら、嫌じゃなかったらでいいんだけど……」


「行くとも!」


 俺が興奮して食い気味に返答すると、クランは安堵した様子で胸を撫で下ろした。ちなみに撫で下ろす胸の大きさは、アミよりもクランの方が大きい。


「良かったぁ。シノブくん、最近、弓の練習も頑張っているみたいだから、興味あるかなーと思って、誘ってみたんだよね」


 どうやら、クランに付きまとう理由を作るために、本腰を入れて、弓の訓練をはじめたのが功を奏したようだ。


(それにしても、向こうからデートに誘ってくるとは……)


 厳密にはデートではなく弓の訓練なのだが、それでも、まったく気の無い相手を、わざわざ休日の訓練に誘ったりはしないだろう。


 やはり、ヒロイン攻略の基本は「とにかく一緒に行動すること」のようだ。地道な努力を積み重ねた結果、クランの好感度はしっかり上昇していたらしい。


「興味しかないよ。弓のことなら何でも知りたい」


「そんなに……?」


 クランが反応に困って苦笑いを浮かべたところで、


「ちょっと待て」


 横からラップが口を挟んできた。


「どうした?」


「その訓練、俺も同行する」


「は?」


 俺は思わず「マジかこいつ」という顔をして、ラップを見返してしまった。


 ヒロインとのデートイベントに付いてくる男キャラなど、聞いたことがない。


「お前……お邪魔キャラだったのか」


 情報屋ポジションのお助けキャラだと思っていたのに、油断していた。


 そういえば、過去の周回でラップはクランをナンパしていたことがあったはずだ。適当に声を掛けたのがクランだったと解釈していたが、もしかしたら、クランに狙いを定めてナンパしていた可能性がある。


 ギャルゲーでは稀にあるのだ。主人公以外の男キャラも「実は裏で恋愛しています」という、そんなことをして誰が得をするのかと開発者を問い詰めたくなるようなシステムを導入している作品が。


 個人的な意見を言えば、俺はこのシステムに関しては否定派である。


 ヒロイン全クリをモットーとする俺にとって、この仕様は攻略済みのヒロインを寝取られるシステムに他ならないからだ。


 それに、このシステムが存在することで、複数のヒロインを同時攻略する難易度も上がってしまう。ヒロインが十人以上いるようなゲームでは、途中まで複数のヒロインを同時攻略しなければ時間効率が悪すぎるのだが、このシステムのせいで男キャラとの予期せぬヒロイン争奪戦が始まり、緻密に計算された同時攻略プランが破綻してしまうのである。


 ドロドロした三角関係や横恋慕は、ゲームには必要無い。


 リアルな恋愛はリアルですればいい――――というのが俺の持論だ。


 もっとも、この世界はリアルな世界なのだが。


「おい、空気を読めよ。これはデートだぞ」


「訓練だよ!?」


 そう言ったよね? と。


 慌てた様子でクランは否定したが、やや赤面しているので、俺の読みが完全にハズれているわけではなさそうだ。


「もう……。シノブくん、たまに変なことを言い出すから焦っちゃうよ」


「それについては、俺も同感だ。――――で、俺も同行していいのか?」


「それは、勿論、構わないけど……。ラップくん、弓の訓練はしてないよね?」


 それでもいいの? と。


 クランが確認すると、ラップはすぐに頷いた。

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