連続失踪事件を阻止せよ
毎日1000文字を目標に続きを書いています。
次回の更新は明後日です。
「はぁ……。貴族の人たちって、立派なんだね……」
「まあ、たしかに、最後はカッコよかったな」
高貴な立場には義務が伴うという価値観――――いわゆる「ノブレスオブリージュ」という考え方だろう。コレットが事あるごとに「意識の高さが違う」と口にするのも、貴族としての責務を自覚しているからなのだろうか?
「私も特別な立場になったら、コレットさんみたいに考えなくちゃいけないのかな……?」
「そういうことは、なった時に考えればいいよ」
四六時中、そんなことばかり考えていたら気疲れしてしまう。常在戦場ではないのだから、大事なのは緊張感を常に持ち続けることではなく、メリハリを持つことだ。
「コレットだって、列の先頭で開店待ちするくらいには、日常を満喫しているんだから」
「……ふふっ。それもそうだね」
アミは思い出したようにぷっと吹き出して、笑顔に戻った。
「のんびりしちゃったね。急いでお土産を買って回らなきゃ」
「そもそも、リストに書いてある店が多すぎるからな」
俺とアミは慌ただしく席を立ち、混みはじめたカフェを後にした。
こうして、俺の初めての王都訪問は幕を閉じた。
*
『重要かもしれない人物(攻略ノートより)
コレット・スクラット。
アカデミー本校の生徒で貴族。交流戦の補欠に選ばれるくらいの実力。本人曰く「魔法も使える」らしい。
高飛車だが、近寄りがたい雰囲気は無く、わりと失礼な口の利き方をしても、怒りはするけれど、無視はしてこない。根は良い奴なのだと思う。
スパッツを穿いているのでノーチャンス。』
*
交流戦が終わり、夏休みが近づいてきた頃。
俺は、やる気スイッチがオンになったラップを相手に、日々、剣の訓練に取り組んでいた。
もうすぐ、回避することのできない、重大なイベントが起こるからだ。
それは、人買いグループによる犯行だと思われる、アセビの町の住人の連続失踪事件。
このイベントにより、クランは高確率で行方不明になってしまうのである。
――――絶対に阻止しなければならない。
前の周回では、俺はC組だったため、クランが失踪するまで気づくことができなかったが、今回は同じB組のクラスメイトだ。クランと行動を共にする機会は自然と増える。
(教官たちの山狩りに同行するには、剣の腕が未熟だからな……)
ラップの発言を鵜呑みにするなら、A組の中でもエース級――――選抜試合で戦ったエスタくらいの実力がなければ、生徒である俺は、山狩りには参加させてもらえないことになる。
というか、そもそも、山狩りイベントの発生トリガーになっているのが、アカデミーの生徒(つまり、クラン)の失踪なのだから、クランを助けたければ、事件が発生してから動いても手遅れなのだ。事件の発生そのものを防がなければならない。
そんなわけで、この時期、俺はアミやラップも巻き込んで、可能な限りクランと行動を共にするように努めていた。
その結果――――
「シノブくん、今度の休日、もしよかったら、弓の特訓に付き合ってくれないかな? 場所はアカデミーの訓練所じゃなくて、町の北にある山なんだけど……」
クランの方から、失踪の原因だと思われるにイベントに、俺を誘ってきた。
評価、ブックマーク、いいね、感想などをもらえると嬉しいです。




