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エキシビジョンマッチ

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「シノブ・テンドーとコレット・スクラットは、壇上に上がってください」


 対戦の機会は二日後に訪れた。


 予定されていたすべての試合を消化しても時間が余っていたため、出番の無かった補欠の選手によるエキシビジョンマッチが、急きょ執り行われることになったのだ。


 そして、分校側の代表(補欠)として壇上に上がった俺が相対したのが、本校側の代表(補欠)であるコレット――――先日、俺とアミのことを「補欠だから意識が低い」とディスってきた女生徒だったのである。


「……そっちだって補欠じゃん」


「何ですの!? 私と貴方では、補欠としての意識の高さが違うんです!」


「意識の高い補欠なんてウザいだけでしょ」


「私を侮辱しましたね!? もう許せません!」


 コレットは木剣をびゅんびゅんと振り回しながら、俺を威嚇した。


「貴方のような無礼者は、私がコテンパンにして差し上げます!」


「お手柔らかに……あ!」


「……何ですの?」


 警戒するように俺を見るコレットに、俺は優雅に一礼した。


「ごきげんよう」


「今更、遅いですわ!」


 せっかく上流階級の挨拶を思い出したから実践したのに、不評どころか、火に油を注ぐ結果になってしまった。


「大勢の前で恥をかかせて差し上げます!」


「言うほど注目されていないけどね」


 その言葉のとおり、俺とコレットの試合を見物している生徒は、殆どいない。


 大半の生徒が、隣で行われる魔法部門の試合を観戦しているからだ。補欠ではあるが実力はエース級というアミの試合なので、分校の生徒は勿論、噂を聞きつけた本校の生徒も多く観戦している。


 ちなみに交流戦は、今年も本校が分校に大きく勝ち越して終了したようだ。


 だからこそ、分校側としてはアミに対する期待が大きいのだろう。必然的に俺とコレットの試合の注目度は低くなるわけだが。


 俺としてはその方が気楽だし、なんなら、さっさと自分の試合を終わらせて、アミの試合を観戦したいとさえ思うのだが……。


「だからといって、負けるつもりはさらさらないけど」


 たとえ、補欠同士の試合でも、俺にとっては同格ないし格上の相手との貴重な試合なのだ。無駄にはできない。


「それは、こちらのセリフです!」


 俺が木剣を構えると、コレットも半身の体勢になり、片手で木剣を構えた。切っ先がこちらを向いており、明らかに突いてくる気満々の構えだ。


「剣の錆にして差し上げます!」


「それなら、こっちは経験値にしてやるぜ」


「訳の分からないことを!」


 コレットは試合開始の合図と同時に突進して、予想通りの突きを繰り出してきた。


(危なっ!)


 訓練用の木剣とはいえ、殴れば普通に殺傷力のある鈍器だ。攻撃がくると分かっていても、足がすくんでしまう程度には、プレッシャーを感じる。


 俺は横に移動して攻撃を回避したが、コレットは追撃を放ってきた。


(しまった)


 うっかり、追撃を受けやすい方向に避けてしまった。


 武器を持っている相手の攻撃を避ける時は、体の外側――――敵の背後に回り込むように動くのがセオリーだ。体の内側に避けてしまうと、足の位置や体の向きをちょっと変えるだけで、相手は簡単に追撃できてしまうのである。


 ただ、今回に限って言えば、コレットが最初に全力で突っ込んできたせいで、その分、次の攻撃が遅れて、なんとか避けることができた。

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